ILOブログ:より多くのより良い仕事
仕事に至る道は岩だらけ、でも生産的
紛争にさいなまれるアフガニスタンのただ中において、「仕事に至る道」プロジェクトのトンデライ・マノト主任技術顧問が目にしたのは、一見紛争には無頓着に自分たちの暮らしを送る勤勉で平和を愛する人々でした。自らの生活と地元経済の再建を目指し、断固とした希望と深く根ざした決意に突き動かされて、人々は日々、細々と生計を営んでいました。
2019年05月31日
| アフガニスタンで実施されている「仕事に至る道」プロジェクトのトンデライ・マノト主任技術顧問 |
スウェーデン国際開発協力庁(SIDA)の任意資金協力を受けて、農村道路網拡大の経済的潜在力を解き放ち、より多くのより良い仕事の創出を目指して2015年からアフガニスタンの農業部門で開始されたILOの「仕事に至る道プロジェクト」は、初年度は全く成果が上がらず、2年目にはわずか332人分の仕事しか創出できなかったものの、3年目にようやく軌道に乗り、今では5万人以上に貧困線を上回る収入をもたらす仕事を提供することに成功しています。
プロジェクトのトンデライ・マノト主任技術顧問(CTA)は、2015年7月にアフガニスタンに初めて降り立った時に驚いたことが二つあったと言います。一つは銃弾が飛び交い、爆弾がいつ何時爆発するかと考えて不安いっぱいで到着した時に、辺りを囲む静寂さでした。紛争にさいなまれる国のただ中において、マノトCTAが目にしたのは一見紛争には無頓着に自分たちの暮らしを送る勤勉で平和を愛する人々でした。自らの生活と地元経済の再建を目指し、断固とした希望と深く根ざした決意に突き動かされて、人々は日々、細々と生計を営んでいました。
二つ目の驚きの発見は、山だらけでほこりっぽい環境にもかかわらず、羊や牛、鶏、ブドウ、木綿、アーモンドなど、アフガニスタンは資源が豊かなことでした。
教育を受けた国民のほとんどが国を出たために引き起こされた頭脳流出が復興を妨げていることが見て取れたため、「仕事に至る道プロジェクト」は雇用創出の可能性が最も高い農業に焦点を当てることにしました。失業率は非常に高く、就業者の所得は低く、バリューチェーン(価値連鎖)を通じた情報の調整はうまくいっておらず、政策も弱かったため、隠された富の存在にもかかわらず、企業はほぼ失敗する定めを担っていました。以上の課題に加え、商売相手同士の信頼感の欠如という重要な問題がありました。そこで、市場成績の改善と雇用創出を手助けするには、社会対話を通じた信頼感の構築が必要であると認識しました。しかしながら、ただでお金をもらえるという期待を生む、盛んな援助と紛争を背景に、部外者であるプロジェクト関係者が社会対話を促進するのは耐えきれないほど時間のかかるプロセスでした。
にもかかわらず、プロジェクトは毅然として前進を続けました。企業が集まって自分たちの成長を抑えている課題に対する解決策を探ることを奨励する場を構築しました。提携相手が女性や無職の若者、国内避難民、帰還民、その受入社会のための仕事につながるような革新的な取り組みに投資することを許すプロセスに対する投資を行いました。企業が貧しい農家にサプライチェーンに加わる機会を開く結果を招いた革新的な取り組みも進められました。
プロジェクトは3年にわたり、企業とそのサプライチェーンを対象とした対話の仕組みの構築を助け、新しいプロセスに関連した金銭的なリスクの一部を負担して企業が雇用創出に投資するのを奨励しました。このプロセスに対する信頼感の構築を目指して企業パートナーを指導し、先輩による助言を提供しました。地元のラジオ局と提携して良好な農業実務に関する助言を農家に与える「農民の声」という番組名のラジオショーを開始しました。以上の全てが実を結び、ついにプロジェクトは味方であると認識され、次第に受け入れられました。こうした長く複雑な4年間のプロセスを経て、5万人分以上の仕事が創出あるいは改善され、生み出された収入の総額は300万ドルを超えています。この8割近くを農家と労働者が占め、残りが企業になっています。
結果は確かに感動的ですが、マノトCTAにとっては数字以上の意味を持っています。マノトCTAにとって本当に重要なのは、今や企業が自社のサプライチェーンの構築に投資し始めたため、プロジェクトが終わってからも長く残り、成果を生み続けるであろうプロセスを始動させたという点です。例えば、乳製品会社は360人の女性酪農家の就労状態を改善し、絨毯輸出会社は難民社会の女性300人以上に仕事を創出しました。ブドウ輸出会社は今や冷蔵企業と提携し、農民を対象に農村部における助言サービスを提供していますが、これは農民の技能向上、それによる生計向上を助けています。60羽の鶏で事業を始め、大手鶏肉会社に納入していたある農民は、この企業モデルを模倣することを思いつき、今では1,000人以上の女性供給者から鶏を買い付け、昔の納入先であった大手企業を上回る成績を上げています。
ここで学んだ教訓の一つはプロセスの重要性です。市場の様々な関係者が集結して企業ネットワークを構築すると、一定のプロセスが育まれ、自然発生的に進んでいきます。もう一つの決定的に重要な教訓も学びました。それは部外者が働きかける場合には、人々が既に保有する希望を土台とし、その夢をさらに大きくカラフルに育むよう鼓舞する方がうまくいくというものです。
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以上は、アフガニスタンで実施されている「仕事に至る道」プロジェクトのトンデライ・マノト主任技術顧問が、ILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に、2019年5月31日付で投稿した英文記事の抄訳です。