広報記事:シリア難民危機に対するILOの対応
レバノンの農民が支払っているシリア危機の高い代価
2015年05月21日
2011年にシリアで紛争が勃発して以来、隣国レバノンに避難してきた難民は100万人を超え、この地中海沿岸の小さな国の人口の5分の1に達しています。その多くが定着したレバノン北部では、住民は伝統的に沿岸部の肥沃な土地で農業を営んできました。難民の到来は農家、とりわけジャガイモ農家に直接的な影響を与えています。
ILOは北レバノン県地域経済開発庁などと協力し、同県アッカー地区の地元コミュニティーを支援する野心的なプロジェクトを開始しました。この「シリア難民危機の影響を受けている北レバノン県農村共同体における就業強靱化及び人間らしく働きがいのある労働条件の保護ILOプロジェクト」は、ジャガイモ農家と葉物野菜農家を中心に農民が直面している困難の原因を調査し、生産コストの上昇、競争激化、市場喪失といった問題に対する必要な解決策を実行するものです。
| 動画:シリア難民を受け入れるレバノンの農村コミュニティーを支援するILOの活動(アラビア語、英語字幕付) |
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十分な資金のあるシリア人難民はレバノン人の地主から土地を借り、営農を始めました。これは土地賃借料の上昇を招き、地元の小作農家でも生産コストが上昇しています。加えて、レバノン政府が最近、国境通過に制限を課したため、従来頼っていたシリア人移民の労働力を当てにすることができなくなり、今年に入ってから労働コストも上昇しています。必要な労働力を確保することができずに昔は1日100トンだったジャガイモの収穫量が今では20~30トンに激減し、残りは畑で腐るにまかされています。一部をイスラエルと接している以外はシリアに囲まれているレバノンにとって国境通過に対する制限は伝統的な輸出市場であるアラブ世界との隔絶を意味します。ジャガイモの輸出はほとんどが陸路を用いていたため、シリア危機によって中断してしまいました。
シリア危機の影響が最も大きいアッカー地区で開始されたばかりの地元農民を支援するILOのプロジェクトの介入活動はそこで、農民協同組合への支援、生産プロセスの改善、対象を定めた輸出支援の提供、新しい国際市場への進出企画を通じてジャガイモ及び葉物野菜のバリューチェーン(価値連鎖)の向上を図っています。プロジェクトを監督するアナベラ・スコフ主任技術顧問は、調査研究によって実質的に未開拓の市場であることが判明した欧州向け輸出計画が現在進行中であることを明らかにした上で、農家が活動を続けられるようにすることには、経済的な緊急性に加え、社会の結束が損なわれないようにするという意味合いもあるとして、支援が遅れれば遅れるほど、レバノンの民が状況に不満を募らせる可能性を指摘しています。そして、これはとりわけ若者の過激化を促し、レバノンの人々が地域のシリア人を非難するようになり、ますます周囲の難民を歓迎しない態度をとるようになる危険性に注意を喚起しています。
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