広報記事:若者の技能研修

モーリタニアのムベラ難民キャンプで若者に建築業の訓練を提供するILO

 PECOBATプロジェクトの建設現場における実務研修で若者たちが就業能力を高めるスキルを習得しつつ、難民キャンプの子どもたちのために小学校を建設しています。

2020年06月19日

 モーリタニアの南東角にあるムベラ難民キャンプには60キロ離れたマリから内乱を逃れてやって来た5万人以上の難民が2012年から住んでいます。ILOは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連携してキャンプに小学校を建設することを目指し、若者に建設現場における実務研修を提供しています。

 このプロジェクトは、モーリタニアのアサバ、ゴルゴル、ギディマカの3州の地元経済の発展を目指すILOのPECOBATプロジェクトの一部です。欧州連合(EU)フランス開発庁(AFD)の任意資金協力を受けて2016年から開始されたこのプロジェクトは、若者の就業能力を高め、前途有望な職業分野に組み込むことを促進しています。プロジェクトの対象は、無資格で学校を後にした16~28歳の若者です。難民だけでなく、近くのバシクヌ町の出身者も参加しています。プロジェクトは、研修生が建築業・道路部門といった需要の高い経済部門で、モーリタニア及びマリの経済を築く煉瓦工や配管工、電気技術者、測量士、道路作業員といった職業に就けるよう指導しています。

 自分の作品を誇らしげに眺めるファティマタ・ウォレット・モハメドさん(25歳)はプロジェクトに参加して地形図作成者になりました。9カ月前には地形学についても、今では不可欠な作業道具となった奇妙で強力な計量器についても何一つ知りませんでした。角度や水平線、距離など、「最初は複雑だった」と説明するモハメドさんですが、「その気があれば学習するものよ」と言い切ります。とりわけ、座学と実務を織り交ぜたサンドイッチコースについては、「素晴らしい」と評価し、「理論しか学ばなければ実務が分からないし、実務だけだったらその逆だったでしょう」と説明します。研修を受けるまでは、学校を出た後で何のあてもなかったモハメドさんですが、今は「一生、地形図作成者としてやっていくつもり。仕事があればどこにでも行きますよ」として、難民キャンプの境界を越えた未来を見据えています。

 PECOBATプロジェクトは男女平等の促進も目指しており、研修現場のどの職業でも研修生は男女半々で構成されています。2018年からチームリーダーを務めるマリアマさん(23歳)はティンブクトゥ地方からキャンプにやって来た難民です。昨年、煉瓦工の仕事を習い、今では「現場の雰囲気と建設の仕事が大好き」と言います。

 現場監督の回りに集まった研修生は、建設中の小学校の周囲に柵を立てるという次の作業の指示に耳を傾けます。研修生は既に何日もシャベルとツルハシでコンクリート基礎用の直線の溝を掘っていますが、ここの砂は非常に細かいため、1日がかりの仕事も一晩で崩れ、翌日またやり直さなくてはならないこともしばしばです。PECOBAT計画のもう一つの目標は、現地資材の促進であるため、プロジェクトでは泥煉瓦が使用されています。熱帯及びサハラ地帯で昔から建設に用いられてきた泥煉瓦の断熱性は、雨期には気温が50度まで上がることもあるこの国では貴重です。この煉瓦がいまだにこの地域で広く用いられているということは、煉瓦工の将来の就業可能性を占う吉兆です。

 建設現場における実務研修は、つい最近まで建設業の仕事は何一つ知らなかった若者にとっては実に挑戦的ですが、次の学年には本物の学校の建物で開かれる授業を受けることになるムベラキャンプの子どもたちにとっては大きな希望の源です。学校は乾期が始まる10月以降に開校される予定です。

 以上は2020年6月19日付のムベラ発英文広報記事の抄訳です。