論評:男女平等
バングラデシュの女性たちが展開する男女平等に向けた静かな革命
2014年01月29日
女性国家元首の在任期間が世界で最も長く、1990年に10%であった女性国会議員比率が2011年には20%に上昇したことも一因となって、政治的エンパワーメントにおける男女格差が少ない国のランキングで世界第8位に位置するバングラデシュは、後発開発途上国の中では男女格差における取り組みの首位を走っています。女性の政界進出は家族構造にも重要な影響を与え、社会は女性を経済的負担と見、女の子より男の子を望む伝統的な風潮を次第に改めてきています。女性は過去20年のバングラデシュの経済成功を率いてきた輸出向け既製服部門労働者の80~85%を占め、アジアでも際立って高い生産性を示す農業部門の労働力の重要な担い手であるといったように、経済面でも女性は重要な役割を担ってきました。過去30年間の保健面での改善も目覚ましく、1980年に54.3歳だった女性の平均寿命は2010年に69.3歳と、地域で最も高い伸びを示しています。社会面でも、意思決定に女性が関与すると何が可能かを示す教科書的な例として、社会の革新(イノベーション)と開発を助ける上で大きな役割を担っている小規模金融の利用者の92%が女性ですが、これは女性のエンパワーメント感の向上につながっていることが挙げられ、例えば、子どもの教育における母親の発言力が高まり、あらゆる教育水準で男女格差の縮小が達成されています。
昨年発表されたILOの刊行物『Bangladesh: Seeking better employment conditions for better socioeconomic outcomes(社会経済面のより良い成果に向けて雇用条件の改善を図るバングラデシュ)』は、このような経済・社会におけるバングラデシュ女性の貢献を詳しく報告しています。報告書の著者であるILOのエコノミスト、サミール・カチワダは、このような進展はあるものの、女性の就業率が男性より30ポイント近く低い58%であること(2010年)、失業者、不完全就業者、脆弱な就業形態にある人の中で女性の割合が不均等に高いこと、女性が労働力の大半を占める既製服部門で最近発生した産業災害が労働安全衛生上の深刻な懸念に光を当てる結果になったことなど、女性は今も数々の課題に直面しているとして、前に進むには雇用面でのより公平な成果と全ての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の目標に向けた道を敷設するような、性差の問題に対応した労働市場政策の導入が重要と説いています。
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以上はILOのエコノミスト、サミール・カチワダによる英文論評の抄訳です。