ILOブログ:新技術とインフォーマル経済

デジタルツール:アフリカの非公式部門にとっての機会

 デジタル技術は先進国経済だけのものではありません。インフォーマル経済にとっても、とりわけアフリカのインフォーマル経済にとっても有用となり得ます。

2018年08月30日

ILO調査研究局のギヨーム・ドゥロートル専門官とILO西アフリカDWT兼セネガル・カーボベルデ・ガンビア・ギニア・ギニアビサウ国別事務所のディアヨ専門官(写真右)

 2015年に採択された「非公式な経済から公式な経済への移行勧告(第204号)」は、非公式(インフォーマル)経済から公式(フォーマル)経済への移行をILOの優先事項の一つとし、移行の円滑化、人間らしく働きがいのある仕事の創出、インフォーマル化の防止を目指しています。この議論の過程で、各種サービスの利用や登録の円滑化における科学技術の有用性が強調され、これらの目的を達成する上での科学技術の重要性が認められました。

 デジタル技術に関する議論は先進国とフォーマル部門の労働者を中心にしたものとなりがちですが、科学技術はとりわけ西アフリカの都市部でインフォーマルな事業を後押しできる可能性があります。ダカールにあるILO西アフリカ・ディーセント・ワーク技術支援チーム(DWT)兼セネガル・カーボベルデ・ガンビア・ギニア・ギニアビサウ国別事務所が最近、世界的な電気通信事業オレンジ社の調査研究部門であるオレンジ・ラボと開いた調査研究セミナーで紹介されたゲジャワイ女性革なめし職人協同組合はその好例です。

 ダカールの郊外で86人の女性を雇用するこの協同組合が2016年2月の創設後急成長を遂げたのは新技術のおかげでもあります。携帯電話によって市場参加の機会が拡大し、供給業者との交渉を有利に進めることが出来ました。モバイル金融アプリは女性の金融機会の利用を後押しし、女性に初めて短期貯蓄の選択肢が開かれました。

 このほかにもまず約500のインフォーマル企業の代表標本による計量的調査を経て2016~17年にダカール地域で実施された現地調査をもとにした野心的な研究の成果が発表されました。企業50社を対象とした半体系的な面談調査から得られた質的データで最初の数量データを補足したこの調査結果は、デジタル技術の利用とインフォーマル事業の企業成績の間にある種の関係性が存在することに光を当て、四つの異なる事業集団の存在を明らかにしました。

 スペクトルの一端には、大半の場合業績が悪く、デジタルツールをほとんど用いない小売業や食品部門の小規模事業所から構成される非公式経済における生き残りがやっとの小規模事業が存在し、その対極にはネットにつながっている場合がずっと高く、インフォーマルな企業であるにもかかわらず、銀行や信用貸付を利用する機会が与えられ、経験豊かな企業主が経営している、ずっと規模が大きく、すっと成功している事業体が存在します。この中間には、若く教育水準が高く、とりわけソーシャルネットワークを通じてつながっている企業家が経営している場合が多い、「経験年数の浅いガゼル群」と、サービスに積極的で、他の企業と調整を図るために情報通信技術を活用する場合が多く、より年長の起業家が経営する「成熟したガゼル群」の集団がそれぞれ存在します。

 オレンジ社の現地関連会社であるソナテル社とウィービーやユックスダカールといた複数の現地新興企業が参加して開かれた最初の円卓会議ではインフォーマル事業体特有の要件にデジタルツールを適応させ、ツールの可能性についてそのような企業の注意を喚起し、その利用を手助けする必要性が強調されました。ゲジャワイ協同組合などの例が紹介された2回目の会議では、デジタルツールがインフォーマル経済で働く人々を束縛から解放する可能性が強調されました。セネガル労働省からはデジタル技術が将来的に社会保険料の徴収を容易にし、小規模拠出者向けに簡略化したシステムを通じて社会的保護の機会を提供する可能性が指摘されました。

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 以上は、会議に参加したILO調査研究局のギヨーム・ドゥロートル専門官とILO西アフリカ・ディーセント・ワーク技術支援チーム(DWT)兼セネガル・カーボベルデ・ガンビア・ギニア・ギニアビサウ国別事務所のヤクバ・ディアヨ専門官が、ILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に2018年8月30日付で投稿した英文記事の抄訳です。