論評:ディーセント・ワーク

ディーセント・ワークに対する公約を示すリベリアの新労働法

2015年07月24日

アエネアス・チャピンガ・チュマILOアフリカ総局長

 2006年6月に世界で初めて「海上の労働に関する条約」を批准したリベリアが再び世界初になる出来事が起こりました。2015年6月25日に約60年ぶりに改正された同国の新しい労働法はディーセント・ワーク法典と名付けられ、世界で初めてディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をその名に冠しています。

 「ディーセント・ワークをすべての人へ」という目標に対するリベリアの公約は、法の名称だけに留まらず、その目的にも明示されています。法の掲げる第一の目的は国内全土におけるディーセント・ワークの促進支援ですが、これは何よりも質の高い仕事の創出を助け、すべての労働者に就労に係わる権利の行使を許すような環境を意味しています。法はまた、企業の効率的な競争を阻む障害の削減などを通じて経済開発と成長を促進することも意図しています。こういった主要な政策目標の起源は、リベリアにふさわしい基本的人権を促進しつつ、従業員、使用者、投資家のニーズにより良く応える方向に旧労働法を改正することを約した同国の第1次貧困削減戦略に遡ることができます。新法は結社の自由と団体交渉権や強制労働・最悪の形態の児童労働に服さない権利、職場における平等な権利など、就労に係わる基本的な権利の促進を明記しています。個々の労使、労使団体の権利を保護する新たな制度、手続きの整備についても規定しています。

 新法の実施及び労働市場関連事項についての労働大臣諮問機関として、政労使代表で構成される政労使全国審議会が新たに設置されます。幅広い任務が付託された審議会の実効性ある運営は、市民社会と政府の社会対話を制度化し、促進することによって、全ての当事者を強化し、より良い政策成果を導く助けになることが期待されます。審議会は例えば、従来とは異なり独立した専門家で構成される予定の最低賃金委員会の構成員の指名やストライキ権に制限を付すか否かの決定などを行います。

 新労働法にはまた、労使が雇用・労働条件に関する実効性ある団体交渉に従事できるよう、独立した強い労使団体を設立するための枠組みも含まれています。有効な雇用契約締結のための手続きは簡素化され、個別労使の新たな権利と義務に加え、ILOの諸原則や多くの国の慣行に依拠し、有効な解雇事由の必要性や差別的な理由による解雇の禁止などを含む雇用終了のための新たなルールも盛り込まれました。休暇最低日数や職場における安全と健康の促進に向けた包括的な規定も含まれ、これを支えるものとして、労働監督官の役割と権限に関する規定も改正されました。

 法は成立しましたが、適用のための規則の制定や、透明で説明責任が果たされるように制度・機構が法に従って機能し始めること、理解促進のための大規模なキャンペーンなど、残っていることはまだたくさんあります。

 ILOは構想の当初から新法の策定作業に関与し、専門家による助言の提供に加え、政労使間の幅広い協議プロセスの円滑化・促進を手助けしました。労働省が国内全域で実施した幅広い協議のプロセスは多くの点で新法の充実・改善に寄与しました。このような協議手続きは、リベリアの法によるしっかりとした統治に今後も同法が大きく寄与する潜在力を発揮する際の堅固な基盤となることでしょう。

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 アエネアス・チャピンガ・チュマILOアフリカ総局長は以上のようにリベリアのディーセント・ワーク法典について紹介し、ディーセント・ワークの実現に向けたリベリアの公約を賞賛すると共にILOが法の制定に関与できたことに対する喜びと誇りを表明し、新法が将来に対して掲げる野心的なビジョンの達成を支援する用意があることを記しています。以上はチュマ総局長による英文論評の抄訳です。