ILOブログ:労働監督

タイの労働監督官と共にドックで過ごした1日から学んだこと

2014年12月08日

シリパッタナコル調整官

 タイの漁業における労働条件と雇用慣行に関する2013年のILOの報告書によれば、調査に回答した漁業労働者の17%が意思に反して働かされていることが判明しています。タイの人々は漁船で働きたがらないため、漁業労働者は圧倒的に外国人で構成され、10人中9人近くがミャンマー人かカンボジア人で占められています。今年は人身取引や強制労働も含むタイの漁船の搾取的な労働条件がマスコミで広く報道されました。脆弱な労働者、とりわけ移民労働者に特別の重点を置いた労働監督能力の強化は労働省労働者保護・福祉局とILOの重要な優先事項です。

 大メコン地域を対象とした「労働搾取からの移民労働者の保護ILO政労使行動(TRIANGLE)プロジェクト」のタイ国調整官を務めるクアンルタイ・シリパッタナコルは、プロジェクト活動の一環として実施された5日間の労働監督官研修コースに同行して訪れたサムトサコーンの漁港などで視察した労働監督現場の感想をILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に12月8日付で投稿し、受けた感銘と課題を報告しています。

 サムトサコーン漁港で点検した小さな剥きエビ工場では労働時間と最低賃金支払い日額との間に不一致があることが見出されました。沿岸部のトラン県では、1時間に4隻のスピードでドック入りする漁船の検査に同行したシリパッタナコル調整官が最初に気づいたのは、窮屈で湿気の多い労働条件ときれいな飲料水がほとんどないことでした。続いて襲ってきたひどい船酔いを何とか克服して働いている人たちに話しかけてみたところ、使用者の面前で当局の人々と口を交わし、情報を与えることに躊躇している様子が見て取られ、当局の人々が短時間で労働者と信頼関係を構築することは極めて難しいことが分かりました。そして、研修時には非政府組織(NGO)の通訳が同行してくれたものの、通常の検査時にはそうはいかないため、言葉の障壁をどうにかする必要もあります。さらに、ほとんどの労働者が正規の書類を持っていない移民労働者であるため、労働者の身元確認や年齢確認が困難です。一方で調整官は、時には危険を伴う男性中心職場で自分たちの役割に専念して職務を遂行する高い能力を備えた多くの女性労働監督官の勇気と強さに感銘を受けました。

 効果的な労働監督には様々な課題があることは関係者の間で認識されていますが、能力構築などを通じて解決策を見出す努力が払われています。ILOは引き続きこの分野で支援を提供し、移民労働者の権利をより良く保護することを目指すこの国の努力が実を結ぶよう手助けしていくと調整官は結んでいます。

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 以上は大メコン地域TRIANGLEプロジェクトのクアンルタイ・シリパッタナコル・タイ国調整官がILOのブログ「Work in progress(進行中の仕事)」に12月8日付で投稿した英文記事の抄訳です。