仕事の未来ポッドキャスト・シリーズ
ジンバブエのグリーン経済の先駆者
4月22日の国際マザーアース・デーの2021年のテーマは「私たちの地球を回復しよう」です。国際デーに合わせて発表された「仕事の未来ポッドキャスト・シリーズ第4話」では、環境に優しいグリーン経済に焦点を当て、ILOのグリーン企業計画から助成金を受けたジンバブエの二つのグリーン企業の創業者に話を聞きました。気候変動のもたらす課題を認識した2人は興味深い解決策を編み出し、今はそれをビジネスとして成功させています。
2021年04月23日
4月22日の国際マザーアース・デーの2021年のテーマは「私たちの地球を回復しよう」です。国際デーに合わせて2021年4月23日に発表された「仕事の未来ポッドキャスト・シリーズ第4話」では、環境に優しいグリーン経済に焦点を当て、ILOのグリーン企業計画から助成金を受けたジンバブエの二つのグリーン企業の創業者に話を聞きました。気候変動のもたらす課題を認識した2人は興味深い解決策を編み出し、今はそれをビジネスとして成功させています。
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タンバ・ウォシャブル社の創業者エリザベス・ニャムダさんは再利用可能な布おむつを製造しています。赤ん坊が自分でトイレに行けるようになるまでに消費する使い捨ておむつの数は平均4,000~6,000枚に達しますが、これは巨額のコストになるだけでなく、赤ん坊1人当たりの炭素排出量は約550キロになります。加えて、言うまでもないことですが、埋立地に捨てられる数十億トンのプラスチックや有毒廃棄物の存在もあります。
ジンバブエではまた、約1,600万人が住む非都市部では、電力利用の機会が乏しいか限られているため、しばしば女性や子どもが毎日10キロも歩いて調理や暖房のための薪を拾っています。これはジンバブエのみならずアフリカ全土における貴重な森林地の乱伐に寄与しています。ルーク・マカリチさんが創業したグリーンTECエネルギー社は、一般世帯が台所ゴミや動物性廃棄物を再生可能エネルギーに転換できるバイオガス消化槽を販売することによって、薪用に木を伐採する代わりにこのエネルギーを調理や食事に使うことを可能にしています。
マカリチさんがこの事業アイデアに出会ったのは、2015年に持続可能なエネルギー管理の調和を図ることによって地球温暖化を緩和する方法に関する短期講習を受けるために東南アジアのある国を訪れた時です。着想のもとになる複数のエネルギー・プロジェクトを視察しましたが、その中にプーケットの廃棄物発電所がありました。帰国後、廃棄物からのエネルギー素材回収の活動が自国内であまり行われていないこと、そして電力利用の点で大きな課題が存在することに気付きました。ジンバブエでは人口の約68%が電力利用の機会が限られている非都市部に住んでおり、都市部でも頻繁に停電があります。電力需要は2,400メガワット近くあるものの、発電量はわずか1,200メガワット程度に過ぎません。このギャップに気付き、人々が家庭内で日々作り出す台所ゴミから農場で生み出される家畜の廃棄物に至る廃棄物素材から人々がエネルギーを回収できるようにするビジネスに参入する余地があると考えました。つまり、廃棄物を利用してそれをエネルギーに転換し、電力不足に資することができると気付いたのです。
自治体の固形廃棄物や一般世帯から生み出される有機廃棄物、主として農場で生み出される家畜の廃棄物など数多くの廃棄物の流れからエネルギーを回収できることに気付きましたが、出発点として他の国で見られるような廃棄物を焼却装置で処理する大規模商用プラントで始めるのは非常に困難であろうと認識し、ずっと単純なバイオガスで始める方が簡単であろうと思いました。国内には既に主として援助機関・国の資金で作られた複数のバイオガス・プラントが配備されています。小規模バイオガス・プラントから出発して、より大型の商用プラントに移ることを考えました。そこでチームを作り、ビジョンを共有したところ受け入れられ、鼓舞された人々はアイデアを買ってくれました。直ちに実際の活動に乗り出し、最初の顧客になってもらえそうなところに話をもっていき、このようにして事業を始めたのです。
他方、ニャムダさんの発想は自身の経験に根ざしています。使い捨ておむつの廃棄の問題に関して、そして自身の暮らしている都市でゴミ収集が不十分なことから経験している家庭ゴミの処分の問題に関して、自分自身が家庭内で何とかして解決しようと試みたところから発しています。濡れた使用済おむつは何トンにもなりますが、それを世帯レベルで減らそうとした時、洗えるだけでなくゴミを減らし、家計の節約にもなる再利用可能なおむつを選択できることに気付いたのです。そして、他のお母さんにも同じ経験をしてもらいたいと考え、タンバ・ウォシャブル社を起業しました。
再生可能エネルギー部門にはとりわけ若い人々にこのグリーン経済に参入する多大な機会が存在しますが、とりわけアフリカ諸国ではまだ非常に若い産業であるため、利潤性がよく知られていません。ジンバブエの電力供給は過去には非常に安定していたものの、2000年以降、非常に不安定になっているとの事実から主としてもたらされる多大な課題があるものの、この産業の利潤性は極めて高いとマカリチさんは考えています。これは電力供給部門における再生可能エネルギーの普及が非常に低い主因であるものの、ビジネスとしての利潤性は極めて高いと考えるマカリチさんは、ソーラー発電装置の設置事業からバイオガス・システムまで、多くの若者がこの部門に参入してきている姿が見られると言います。まだ非常に新しい産業部門ですが、大きな進展が見られ、なおも非常に大きな余地があり、日々参入する人々が増えていると言います。
これに関し、ニャムダさんは、グリーン・ビジネスが一般に、事業が損益分岐点に達し、その後利潤を生むようになるのに時間がかかる傾向があるのは、人々に依存しているからと指摘します。つまり、顧客に消費者としての視点を変えてもらい、行動パターンや消費方法を変えてもらう必要があるためであり、人々が自分たちの日々の決定が環境に与える影響をもっと意識するようになれば、グリーン・ビジネスの収益性の増大をも意味するだろうと語っています。
そして、啓発活動に集中させたマーケティング戦略を重要事項の一つに挙げ、人々が解決策の存在を知り、より多くの情報の提供を受けると環境に優しい製品の購入を決定するに至る可能性があるため、これに多くを費やすべきと説いています。時に製品の存在を人々が知らない場合があるため、単に啓発し、グリーン代替物の存在を確実に知らせるマーケティングに大いに努めていると言います。
マカリチさんもこの意見には完全に同意し、意識の問題を挙げます。例えばバイオガス産業の科学技術は既に何年も前から存在していましたが、まだあまり多くの人に知られておらず、顧客や潜在的な顧客からは非常に多くの質問を受け、話をもっていくたびに、素人だからと言って、バイオガスの機能についての説明を求められます。最終的にバイオガスについて非常に多くのことを説明すると、関心をもってもらえ、マカリチさんの企業が市場にもたらしている革新的な取り組みに興奮を感じてもらえます。そこで、人々がこのグリーン製品についてもっと多くを知ってくれるよう啓発するために、できる限りマーケティングと啓発キャンペーンの強化を図っていると説明します。
認識の問題に加えて、最も重要な障害の一つとして費用の問題があります。バイオガス消化槽は最も小型のものでも例えば、500~700ドルかかります。時に費用はバイオガスを導入するか否かの決定を阻む最大の障壁となるため、マカリチさんの会社は顧客が費用と無関係にサービスの利益を得られるよう確保する革新的な方法を探っています。例えば、開始したばかりの仕組みとして、バイオガス都度払い方式がありますが、これは建設費の支払いを受ける前から顧客がバイオガス・プラントを所有できるようにする仕組みです。これは費用の問題を回避する試みの一つですが、プラントを建造した後で費用は18カ月または36カ月払いの少額分割払いで回収します。プラントを利用し、そのメリット、バイオガスを利用する利点を享受するようになれば、事業費を少額分割払いで完済してもらうことが容易になります。このように最大の障害の一つである費用の問題を革新的な方法で回避することを試みています。
ニャムダさんのビジネスの場合も長期的なサービス提供の点で現金前払いの要素は常に課題でした。費用の完済状況に関してのニャムダさんからの質問に答え、マカリチさんはこの仕組みはまだ始めて2カ月しか経っていない非常に新しいものであると断った上で、それでもなお、顧客の反応は非常に良く、既に利用者は2人おり、さらに多くの利用者が期待できるとして、今後長く続ければ信用貸しや支払い遅れなど幾つかの課題が見えてくるかもしれないものの、今のところあまり課題は感じていないと答えています。そして、今後3年間で、10立方メーターの設備を100基、20立方メーターの設備を100基、計200基のプラントを設置する目標を立てていることを明かしました。
事業を始めてみて出会った最大の驚き、戦略変更を余儀なくされた要素について、ニャムダさんは事業が損益分岐点に乗るまでにかかった時間を挙げます。当初は、まず損益分岐点に達してそれからさらに進んで利益を得ることになるとは気付かず、事業を始めたらすぐに利益が得られるものと考えていたニャムダさんは、その点で、ILOのグリーン企業・革新チャレンジ計画で受けた研修に感謝を表明し、訓練を受けていなかったら利潤がなかなか出ないために世のほとんどの小規模事業と同じように挫折していただろうと告白します。
マカリチさんも自分の収入が得られるようになることを課題とし、労働者を雇っている場合には、まずその賃金支払いを優先させなくてはならず、自分と2人の役員の収入は考えることさえできないとして、これは非常に重要な要素と強調しています。
マカリチさんの事業は小規模プラントと公益事業となる規模のプラントに2分されているわけですが、最大の驚きは大規模プロジェクトの資金集めに要した時間であったとし、最大約20立方メーターまでの寸法のバイオガス・プラントという小規模プロジェクトについては非常にうまくいっていたものの、昨年契約を締結した5年ほど続くと見込まれる資本集約的なプロジェクトの場合は資金集めが非常に困難で実際、12カ月もかかったと明かします。
もう一つの大きな驚きとしてマカリチさんは新型コロナウイルスを挙げます。政府が不可欠業務以外の事業の閉鎖を命じた時、従わざるを得ず、2~3カ月操業を停止したことは本当に大きな打撃だったと言います。
一方で、コロナ禍の中でグリーン・ビジネスを営んでいることの利点として、ニャムダさんは、コロナ禍がやってきた時は事業の終わりだと思ったものの、グリーン・ビジネスとして、布マスクを作って国内の新型コロナウイルス感染者数を減らす助けになる役割を演じることができると気づき、その活動に乗り出しました。それは困難な時期における事業の底上げに大いに役立ちました。また、母親が自宅に滞在していることや、失業者が出ていることから人々が家計節減の重要性に気付き、製品の需要も大幅に増加しました。新型コロナウイルスがもたらした状況は、使い捨ておむつよりも環境に優しい布おむつの利用を人々に決定させるいわば消費者側の推進要素になりました。
布マスクの製造については、コロナ禍の最初はその機能に確信が持てなかったため、少し挑戦でした。様子見をしているうちに世界保健機関(WHO)や疾病対策センター(CDC)などから手作りの布マスクでも機能するとの報告書や指針が出されたので、この機会に飛びつき、製品の効能を見るために実験室で検査をして効果を確かめた上で、その報告を受けて製品を売り出すことに決めました。布マスクを製造すると同時に研修も行い、農村共同体に出かけていって仕立屋や縫製作業者の方々に、何層布を重ねるか、デザインはどうかといった効果的な布マスクの製造方法を教えています。このような役割を演じられたことは本当に誇りに感じています。
ニャムダさんの会社で作っている布おむつは伝統的なものを幾分改善した近代的なものです。手触りは使い捨ておむつと変わらないものの、様々な柄をつけて素敵で魅力的なものに仕上げています。さらにあらゆる家族のニーズに対応した布おむつを少なくとも使い捨ておむつに相当する価格で提供できることが分かっています。素材は防水性・吸水性を持ち、コットン、竹、麻といったオーガニックの布地を使っています。
ジンバブエ及びアフリカ大陸全体が直面している課題に関連して地球を回復させるのに事業がどう役に立っているかとの質問に対し、マカリチさんはバイオガス・システムが廃棄物を有用なエネルギーに転換している点を挙げ、国際デーのテーマに沿って、環境に排出され、多くの公害、多くの課題を引き起こしたかもしれない廃棄物を利用していると説明します。最新の報告によれば、ジンバブエの廃棄物産業は国の温室効果ガス排出量の約4%に寄与しています。廃棄物、とりわけ有機廃棄物からエネルギーを回収することによって温室効果ガスを創出することになったかもしれない廃棄物を環境から取り除いています。そして、システムから生み出されるものが全て燃焼工程で二酸化差炭素に転換されることを確実にしていること、つまり、大気中に温室効果の潜在力が高いメタンを放出する代わりに、顧客がメタンを燃料として使えれば脅威の少ない二酸化炭素と化すことができ、これは環境を救うのに大いに役立っていると説明します。同時にまた、プラントの建造は石炭その他のバイオマス・エネルギー源への依存度を減らすことによって伐採される木を減らすことを意味し、バイオガスだけに頼ることによって森林保全にもある意味役立っており、環境内に得られる炭素吸収源の保全を助けているといったようにきわめて多くのことを手がけているとします。
加えて、バイオガス・プラントからは消化素材という副産物が出ますが、これは栄養価が高い製品で化学肥料に置き換えられます。つまり、同社のサービスを利用する農家は硝酸アンモニウムなどの化学肥料をたくさん買う代わりに、それを相殺するものとして、バイオガス・プラントから出る消化物を作物の有機肥料として使うことができるといったように、環境を助けると同時に事業の持続可能性を確保していると説明します。
他の人々、とりわけアフリカでグリーン・ビジネスを始めることに関心をもっている女性に対するアドバイスとして、ニャムダさんは、「見せること」と言います。アフリカが経験している課題、人々が日々感じている課題を、地域社会と国にとっての解決策となるような一石二鳥のビジネスモデルを用いて解決する方法、そして同時に今のアフリカで大いに必要とされている就業機会を自分自身や他の女性のために創出できると示すことであると語っています。
マカリチさんが今後5~10年に考えていることは、まずは都度払い方式の小規模バイオガス・プラントを今後3年間で約200基建造・配備すること、加えて、ジンバブエでは始めてのこととして現在手がけている大規模バイオガス発電プロジェクトが挙げられます。住宅開発に付随した形で工事が進められているこのプロジェクトが成功すればこの部門に多くの投資を呼び込むことができると考えています。国内全土で既に多くのそのような住宅開発が進んでおり、今後5年間でこの種のプロジェクトを多く手がけたいと希望を語っています。さらに長期的には、し尿埋立地の廃棄物からガスを回収して発電するような、より大規模なプロジェクトに移行する計画もあります。
ニャムダさんの5年計画は伝統的なおむつさえ補うような形で自社製品使用の増加を図ることです。コロナ禍における経験からおむつのニーズは母親にうつや不安症を発症させる上で大きな役割を演じていることに気付いたため、今は母親の精神衛生の分野にも積極的に参入し、その改善を図ることを考えていると明かします。
アフリカのグリーン・ジョブの未来についてマカリチさんは次のように語ります。持続可能な開発、経済のグリーン化、エネルギー供給基盤への再生可能エネルギーの普及などについては大いに語られており、それと共にグリーン・ジョブを作り出す余地が大いに増えてきたように感じます。とりわけエネルギー供給やエネルギー効率に関連してますます多くの革新的な製品が市場に出てくることによって多数のグリーン・ジョブが創出され、アフリカの多くの国の経済改善が大いに促進されるのではないかと語っています。
ニャムダさんも同感を示し、気候変動の問題に取り組み、経済グリーン化の事業計画の始動を確保する点でアフリカ諸国の政府は公約を示してきており、自分たちは先駆者として大変な思いをしてきたかもしれないものの、将来的には政府その他の様々な利害関係者からの支援と公約の点で他のグリーン・ビジネスの参入が容易になるのではないかとの観測を示しています。
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