広報記事:コソボの児童労働
コソボの児童労働を抑制し、子どもを子どもに戻す
2015年02月09日
コソボのブラヤク村に住むセビジエ・モリナさんの5人の子どもは母親を手伝ってタマネギやブドウの収穫という重い農作業に従事しています。子どもたちはしばしば農薬や危険な農具を扱い、12歳のハジェレちゃんは鍬で怪我をしたり、斧で手を切ったことがあると言います。学校に行って普通の子ども時代を楽しむ代わりにこのような危険で有害な労働に従事している子どもたちはハジェレちゃんたちだけではありません。貧しい家庭の子どもたちは、時には10歳から農業やゴミ廃棄場で働き始め、健康を害したり、極端な場合には命を失う危険にさえさらされています。学校と仕事の両立は多くの子どもにとって最大の課題です。
ミトロビカ町の郊外にあるゴミ廃棄場でゴミを拾う子どもたちの労働条件はさらに過酷で、ゴミを拾っている時やゴミを積んだトラックめがけて競い合って走っていく際に怪我をすることが多くなっています。非政府組織(NGO)と協力してこういった子どもたちを救おうとしている文化・青少年・スポーツ省の活動に個人的に関与しているある労働活動家は、このような仕事が子どもたちの日常になっていることに心を痛めています。
路上で物乞いをしたり、物を売っている子どもたちにとっては、警官がストレスの要因です。加えて、一定の金額を持ち帰ることを期待している家族からの精神的なプレッシャーもあります。子どもたちが直面している一つの大きな問題であるストレスは、何年もの積み重ねによって不眠や学習問題、果てには鬱状態などのもっと深刻な不調につながる場合もあると心理学者のナチラ・アガニさんは説明しています。
ILOは労働・社会福祉省と協力して、こういった問題に対する迅速かつ適切な解決策を見出そうと努力しています。ILOがコソボで展開している児童労働プロジェクトの責任者を務めるリンディタ・ボシュトラカイは、「児童労働が貧困及び高失業と密接にリンクしているからといって、児童労働も遠い将来にはなくなるとして、貧困根絶や失業者削減という長期的な活動に努力を集中しているわけにはいきません」として、そんなに長く待たせておくことのできない、危険で有害な労働に従事している多くの子どもの保護に向けて即座の行動が必要と説いています。
プロジェクトは既に「最悪の形態の児童労働防止・撤廃コソボ行動計画」の策定を終えています。行動計画は児童労働問題に取り組み、地域社会や家族の啓発に努めるために、公的機関、労使団体の対応力の強化を図っています。2014年7月に承認された「コソボにおける危険有害児童労働の防止と禁止に関する行政通達05/2013号」にはILOの手助けを得て起案された危険有害児童労働の新しいリストが含まれています。コソボ商業会議所は2013年3月から児童労働の撤廃を含むILOの四つの基本労働原則の遵守を会員に義務づけており、ILOの支援を受けて、農業、建設業、採掘業、くず鉄回収業の企業及びその下請けネットワークにおける児童労働の状況をまとめた報告書を作成しました。この結果、会員40社が自社の下請けネットワーク及び地域社会からの児童労働追放を目指した行動規範を採用し、会議所自体も2014~20年を期間とする児童労働防止・撤廃戦略を承認しました。
加えて、2015年の新学期から義務教育第8~9学年と後期中等学校のカリキュラムの主流に労働安全衛生事項が盛り込まれることになりました。教育科学技術省の承認を得たカリキュラムの編纂にはILOも支援を提供しました。また、農林業・農村開発省の提供する農業助言サービスの訓練モジュールにも農業における危険で有害な児童労働に関する農家向け助言が盛り込まれました。
しかし、児童労働との闘いにおいてやるべきことがまだたくさんあることは関係者全員の共通認識であり、労働・社会福祉省のベージェット・ゴジキ社会問題顧問官が指摘するように、最悪の形態の児童労働から子どもを引き離す介入活動を拡大するには、さらなる活動と追加資金が求められています。
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以上はILO中・東欧ディーセント・ワーク技術支援チーム(DWT)兼国別事務所によるプリスチナ発英文広報記事の抄訳です。