広報記事:レバノンの移民労働者

クリケットの試合を通じて浸透させる平等意識

2014年11月06日

 10月最後の日曜日、レバノンの首都ベイルート近郊で移民労働者のクリケット・トーナメントが開かれました。家事労働や建設業など、経済の様々な部門で働いている、主にスリランカやバングラデシュ、パキスタン出身の労働者が女子3チームを含む20チームに分かれて競い合いました。今年の夏の自由時間のほとんどを大会の準備に費やしたスリランカ出身の移民労働者フェルナンド・スガスさんは、クリケットのゲームは、日曜が休みである少数のラッキーな移民労働者としての「自分たちの生活の一部」であると語っています。

 レバノンの法の下では週休が定められていますが、移民労働者の多くはこれを含み、自分たちの権利を知らないため、しばしば個別に労働時間や休暇について使用者と交渉することを余儀なくされています。他のほとんどのアラブ諸国同様、レバノンでも移民労働者にはカファーラ(保証人)制度が適用され、この制度の下では、その国に居住し、そこで働く移民労働者の権利が1人の使用者に結びつけられるため、強制労働となる恐れがあります。その上、地域で働く移民労働者の多くには団結権が保障されていません。カファーラ制度の改革を求めるILOは、中東における労働力移動の統治の改善と人身取引の撲滅に向けたMAGNETプロジェクトを実施して移住政策の改革について域内諸国の政府に助言を提供しています。

1日がかりのクリケットの試合のためにベイルート近郊に集まったレバノンの移民労働者

 一日がかりの大会となった試合会場では、ILOの「レバノン女性移民家事労働者権利促進プロジェクト(PROWD)」がベイルートに拠点を置くファーマーズ・マーケットと協力して立ち上げた仕出し店の女性たち手作りのバングラデシュとスリランカのお国料理が販売されました。PROWDを通じてILOは女性移民家事労働者が職業技能を育み、家事労働から得られる乏しい収入を補う手段を得られるよう職業訓練を提供しています。

勝利を喜び合う優勝した女子チーム・メンバーら

 多くの観衆はこの大会を、労働者としての役割以外の楽しみを持つ個人としての移民の姿を目にする貴重な機会であったと同時に社会的に低い立場の人として移民労働者を見下しがちな社会において平等を促進する手段になったと見ています。大会に参加したレバノンの男子高校生は「問題の出発点には社会的地位の違いがある」と指摘した上で、「競技場ではこの違いが消えて誰もが本当に平等になる」として、こういったイベントが競技場の外でも人々にそのような平等意識を奨励することへの期待を述べています。女子クリケットチームのキャプテンを務めたスリランカ出身のある移民家事労働者は、「今日はレバノンにいるということもお金のことや悩みもすっかり忘れることができた」として、この一日が単なるスポーツ以上の意味を持ったことを語っています。

* * *

 以上はILOアラブ総局による英文広報記事の抄訳です。