小規模保険
カカオ農家の窮地を救う小規模保険
大手カカオ買付業者及び保険会社と手を組んで、ILOはカカオ農家の窮地を救っています。この記事は最も脆弱な人々の一部に小規模保険がもたらすことのできる違いを示しています。
2019年07月19日
カカオ農家のカン・ジョエル・ンゲサンさんは父親が病に倒れた時に、自分たちが築き上げてきたものを全て失うと覚悟しました。医療費がかさみ、近所の人から借金をしました。数カ月後に父親が亡くなると、出費には葬式代が加わりました。借金を返済できず、カカオ農園の一部を手放そうと決心した時、良い知らせが飛び込んできました。カカオ農家の協同組合を通じて父親がかけていた生命保険が支払われることになったのです。これによって借金を完済できただけでなく、幾らか残った分を家計の足しにすることができました。
ンゲサンさんは父親が保険をかけていたことを知りませんでした。農業協同組合の職員は必要な情報を与えてくれただけでなく、保険金を請求し、迅速に支払いが行われるよう手伝ってくれました。
ンゲサンさんのようなカカオ農家は多くのリスクにさらされています。世界最大のカカオ生産国であるコートジボワールですが、90万軒を数えるカカオ農家の9割が、所有する土地が5ヘクタールを下回り、公式の金融サービスを利用できる機会も限られている小自作農です。収入は非常に収穫の善し悪しに左右されます。気候の変化や価格変動が収穫に与える影響は大きく、例えば、2017年には豊作の後で国際カカオ価格が急落しました。
カカオ農家の生計はまた、家族の病や死亡などのような日々のリスクにもさらされています。世帯や農業に降りかかるこういったリスクに対処するために農家はしばしば非公式な金貸しに頼りますが、わずか数カ月の借金でもその利子は最大10割になります。
そこで、ILOの影響力保険ファシリティーはフランス開発庁(AFD)の任意資金協力を受け、業界で首位を走るベルギーのチョコレート及びカカオ製品のメーカーであるバリー・カレボー、そしてアフリカ大陸を地場に営業する保険会社SUNUと提携し、小規模カカオ農家に手頃な料金の生命保険と生産性ローンを組み合わせて提供することにしました。ローンによって農家は必要な原材料や研修、貯蓄口座、移動財布、仲間同士の指導を得ることができます。ンゲサンさんの父親はこの種の金融サービス・パッケージを通じて保険をかけていました。
ILOでは現在、この事業の規模拡大と普及を目指し、新たな提携先を探しています。コートジボワールの保険会社その他の企業が、高価につく緊急時ローンへの依存を減らし、土地のような重要な資産の売却を強いられることのないよう、ILOと協働して農家に新たな保険商品を提供しようとしています。
ILO影響力保険ファシリティーのトップを務めるクレイグ・チャーチルは、「ンゲサンさんの話は、保険がとりわけ最も脆弱な人々にどれほど大きな違いをもたらし得るかをはっきりと示しています」とコメントした上で、推定5億人以上の低所得層の人々に何らかの形態の保険の利用機会を与えるといったように近年の進展が著しいことを報告し、この勢いが保たれることへの希望を語っています。
以上は2019年7月19日付のジボ(コートジボワール)発英文広報記事の抄訳です。