広報記事:国際家事労働者デー
「勇気をふるって尋ねてみた」
2015年06月16日
| 私たちは発言力もなく、自分の国で奴隷のように暮らしていたと振り返るウィットボーイIDWF会長 |
ILOの推計によれば、家事労働者は世界全体で約5,300万人を数え、その83%が女性であると見られます。はっきりした職務内容がなく、賃金表は規制されておらず、労働者として登録されてもいない家事労働者は世界で最も脆弱な労働者集団の一つに数えられています。
国際家事労働者連盟(IDWF)の会長を務めるミルトル・ウィットボーイ南アフリカ家事サービス関連労働者組合(SADSAWU)書記長が初めて声を上げたのは50年近く前のことです。当時、生後1カ月の娘と別れ、家事労働者として働いていた雇い主の家の裏庭の小さな部屋に住み込んで年中無休で働いていました。賃金はほとんどまたは全く支払われず、発言力もなく、自分の国で奴隷のように暮らしていたと振り返ります。12年近く続いたそのような生活は、ある日、声を上げる決心をした瞬間に変わりました。思い切って発した「なぜ自分たちは他の人と違うのか、どうしてこんな風に苦しまなくてはいけないのか」との問いかけを聞いた地元の新聞記者は彼女が他の家事労働者と会うのを手伝ってくれました。1965年頃に始めたこの戦いをウィットボーイ会長はまだ続けています。戦いは楽ではなく、黙らせようとの圧力もかかりましたが、「今、私たちは自由」と彼女は語っています。
実際、家事労働者を巡る状況はずいぶん変わりました。IDWFとその43カ国に及ぶ47の加盟組織、そして世界中の他の家事労働者団体の組織化努力のおかげで家事労働者の戦いは脚光を浴び、2011年の第100回ILO総会において、家事労働者に他の労働者と同じ基本的な権利を保障する初の国際労働基準である「家事労働者条約(第189号)」と付随する同名の勧告(第201号)が採択されました。ウィットボーイ会長らは、労働時間の上限、週休、最低賃金、時間外労働に対する支払い、社会保障、明確な雇用条件などについて規定するこの歴史的な基準が採択された6月16日を記念して、国際家事労働者デーとしています。第189号条約の批准国は既に21カ国を数え、6月に開かれた今年のILO総会期間中にもチリ、パナマ、ベルギーから批准書が寄託されました。家事労働者の権利の改善に向けて法や政策の変更に着手した国は60カ国あまりを数えます。
しかし、ILO労働条件・平等局のマヌエラ・トメイ局長は、不平等を抑制し、インフォーマル就業を減らし、労働者の虐待を防ぐ戦略の一つとして、伝統的に労働法が適用されてこなかった種類の労働者に適用を広げる方向で最低賃金など労働市場関連制度の強化が政策関係者の話題に上ることが増えてきたといったように、家事労働者の保護改善に向けた若干の革新的な試みが見られることを指摘しつつも、依然としてあまりにも多くの家事労働者が国内法の下で労働者と見なされておらず、あるいは労働者扱いされていてもしばしば法の執行が緩く、敬意を失した処遇がまだ根強いことを挙げ、「道のりはまだ遠い」と語っています。
実際、家事労働者のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)への道の出発点は家庭内にあり、個々の使用者と労働者が互いの権利と責任を知り、尊重し合う必要があります。既に複数の国内使用者団体が家事労働者の労働・生活条件の改善に向けて政策関係者との対話に従事するなど、使用者側の用意も整ってきています。ILOは労使団体双方と協力して、その家事労働者のニーズ対応力の育成を図っています。ウィットボーイ会長は、第189号条約が正義のための強力な手段となるよう「ILOには果たすべき大きな役割がある」として、依然としてこの部門を搾取している国々に手を差し伸べることや、労働者教育の分野で連盟の強化を手助けする役割を挙げています。
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以上はジュネーブ発英文広報記事の抄訳です。
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2011年の家事労働者条約(第189号)