協同組合実践者 へのスポットライトインタビュー

篠崎みさ子 生活クラブ生活協同組合・神奈川 理事長

“協同組合実践者 へのスポットライトインタビュー“は、ILOが協同組合や社会連帯経済(SSE)に関する業務の中で知り合った世界各国の協同組合実践者 へのインタビューシリーズです。今回は、生活クラブ生活協同組合神奈川の理事長、篠崎みさ子さんにインタビューしました。

Article | 13 May 2021

あなたのバックグラウンド(経歴など)を教えてください。


Misako Shinozaki
私は子どもたちに添加物の少ない安心安全な食べ物を食べさせたかったので1987年に生活クラブに加入しました。合成洗剤ではなく石けんを使う事などによって、喘息やアトピーの子どもたちを守りたいという想いも大きな理由でした。近所の知人二人と共に班を結成しました。 2004年に横浜みなみ生活クラブ生協理事になりました。生産者交流会や学習会などで、安心安全な消費材がなぜ手に入るのか、そして、消費材を利用することで社会課題を解決できることを知りました。大勢の人と協同することの大切さ、そして他の組合員とコミュニケーションをしっかりと取る事が課題意識の共感につながることを実感しました。 活動を通じて達成感を共有し共に喜びあい、充実感を味わいました。2020年6月に生活クラブ生活協同組合神奈川理事長に就任しました。命や自然を大切にした社会づくりや、お互い様の地域づくりを目指し、参加型で考え行動する人を大勢にしたいと思います。

 

生活クラブ神奈川の設立と目的、組合員

Seikatsu Club 生活クラブは自分たちの生活、地域、社会を良くしようと、女性たちのイニシアティブによって1965年に東京で始まった消費者協同組合です。生活クラブ神奈川は横浜市緑区の一角にて1971年5月、1008人の組合員で設立しました。「人間が人間らしく生きる地域社会をつくる」こと、民主的で平和な生活を守るライフスタイルを築くことを目的として設立されました。生活クラブが50年間で培ってきた大事な基本理念として「自主運営・自主管理」という考え方があります。これは今でも私たちの活動の基本としている考え方であり、これからの次の時代においても、これからの社会においても大事な考え方です。生活クラブにおける「自分で考えて行動する」を基本とした組織における自主運営・自主管理は、社会問題の解決を図り、自治型社会を地域に自生していくことです。 2021年3月末現在の組織状況は神奈川県を基本エリアとして組合員数82,840人、出資金109億円、事業高255億7千万円、事業高のうち、生活に必要な消費材の共同購入事業 248億円、共済事業2.5億円、福祉事業5.4億円です。主幹事業は共同購入で、組合員の自宅へ配送したり、22の「デポー」というお店を展開しています。


 組合員の暮らすコミュニティの良好な社会経済のために果たす生活クラブの役割

 

Seikatsu Club

生活クラブ神奈川は地域に根差した活動をすすめています。組合員により意思決定を民主的に反映するために2003年に5つの法人地域生協を生み出し分権化をすすめています。横浜北、横浜みなみ、かわさき、湘南、さがみの5つです。それぞれ法人として理事会を形成し主に共同購入事業をすすめています。 組合員中心にした「たすけあい」としての共済や食、環境・エネルギー、福祉をテーマとした多数のアソシエーション形成や、W.Co (ワーカーズ・コレクティブ) の形成を地域ごとにすすめ、地域の市民も参加できるようにし公益性を広げています。 地域の自然環境の保全や再生可能エネルギーの導入によるエネルギー自治、資源循環のためのリユースの取り組みや有害化学物資の排除、有機農業の推進と地域での農産物の生産と取り組み、農産物生産への参画(生活クラブ農園の運営)も行っています。

 

W.Co (ワーカーズ・コレクティブ) とはなにか?

生活クラブ神奈川では1982年に日本で初めてW.Coを創出しました。生活クラブの中に発生する労働を専従職員を雇って行うだけではなく、組合員の労働参加としてW.Coを設立し、生活クラブで発生する労働のW.Coへの委託(双務契約)を1992年以降、多様に進めてきました。現在ではデポーフロア業務、共同購入の配送、組織活動、共済事務・加入促進、福祉サービス業務、家事サービスなどに広がっています。1996年に「組合員・W.Co・職員でつくる生活クラブ」を方針化し、業務委託W.Coからの生活クラブ理事の選出、事務局マネジメント会議への参画など委託されている側から生活クラブの経営を担い機関組織への参画にまで広がっています。利害関係当事者が生活クラブを共につくるマルチステークホルダー型の協同組合をめざして日夜努力しています。.

Seikatsu Club


私たちは地域福祉の推進と福祉事業を展開しています。直営のデイーサービスセンターを始めとした介護保険事業県下6か所、社会福祉法人いきいき福祉会の設立による高齢者福祉事業の展開(2つの特別養護老人ホームを始めとした各種高齢者福祉事業の展開※事業高は約26億円)、子育て支援としてに「子育てクラブ」、認可保育園の運営。1987年に将来の高齢社会を見据えて地域で在宅で暮らしていくことを支えるために福祉専門生協を別法人として福祉クラブ生協を創出し現在17,000人の組合員がいます。 協同組合としての地域の格差貧困問題解決にむけた取り組みとしてフードバンクのネットワーク化をしました。公益財団法かながわ生き活き市民基金は地域の活動団体への助成事業を行っています。W.Coと生活クラブの共同企業体による就労のための準備訓練事業所を県下に4つ開設しました。また、神奈川県内の女性を中心にした小規模事業者、ワーカーズ・コレクティブの人々、生活者・市民・勤労者その他協同事業体組織を会員とし、会員に対して市民事業を発展。広げるための貸付事業を実施。生活クラブが母体となり設立しました。個人会員は392人、団体会員は81団体。出資金1億1,388万円で、これまでの融資累計5億6,046万円です。

変わりゆく仕事の世界や世界的に広がっているパンデミックという脅威の中で 生活クラブはどのような取り組みを行っていますか?

新型コロナウイルスのパンデミックと気候危機は、これまでの市場経済のあり方では人類が存在できなくなるとこと示していると認識しています。グローバル経済に依存していた日本社会のあり方を転換する必要があります。 神奈川では前述した5つの地域生協ごとの地域をステージにSDGsのローカライズ化の実践を事業としてすすめていく方針をもっています。地域ごとに食、エネルギー、ケア、ワーク+ Educationの地域事業を創出し協同組合を中心に小さな「人」につながり・連帯により事業を創出していくことが大きな対策です。 生活クラブの消費材は国内の生産者と対等互恵な「提携」関係でつくられたものが大半であり、加工食品も原材料含めて約75%が国産です。約70%の食料を海外の国から輸入している日本において<他国から奪わない>ために生活クラブの消費材の利用を高めること日常的に大事と考えています。そして気候変動対策としても重要なことは家で料理をすることです。外から購入したものは生産や輸送のためのエネルギーや包材な資源を使用する。他者に依存すればするほど自分からは見えなくなくなり、コストの増大や地球資源の浪費と破壊につながります。

生活クラブは日本における社会的連帯経済の発展にむけてどのような計画がありますか?


神奈川県内には150のワーカーズ・コレクティブ(W.Co)があり会員総数は4,607人です。地域の暮らしや生活に必要な社会的機能としてより多くの種類のW.Coをこれから更に創出していきたいです。また少子高齢化、格差貧困、現在のコロナ危機の中でより地域で人と人の関係づくり、たすけあって暮らす社会をつくるためにアソシエーションを多様に創出し、ネットワークを広げていくことで人と自然が共生し持続する社会をつくりたいと思っています

自立し協同する市民社会づくり、協同によるアソシエーションづくりを神奈川県内でより広げていくための中間支援組織を2021年度に設立する準備をいま、すすめています。その主な目的は以下です。

  • 地域でともに活動を進める「参加型福祉」のパートナーであるたすけあいコミュニティワーカーの育成
  • メンバーを開いて、多くの人が出入り自由になりながら、相互にルールや目標をもたらして、一定の共有財を共に管理しながら問題解決を進めるアソシエーション(有償、無償ボランティア)形成の支援
  • 持続可能なたすけあい(ケア交換)の地域的なしくみづくり。
  • つながりを実感できる居場所づくり

居場所、子ども食堂(みんなの食堂)、学習支援、フードバンクなど

  • 市民自らが欲する/目指す地域像から見えてきた足りない手助けを形にする“見守りネットワーク”…など。