1933年の職業紹介所勧告(第42号)

ILO勧告 | 1933/06/29

職業紹介所に関する勧告(第42号)

 国際労働機関の総会は、国際労働事務局の理事会によりジュネーヴに招集されて、二千二年六月三日にその第九十回会期として会合し、本会期の議事日程の第七議題である二十の国際労働勧告の撤回に関する提案を検討し、二千二年六月十八日に、千九百三十三年の職業紹介所勧告(第四十二号)の撤回を決定する。国際労働事務局長は、この本文書撤回の決定を、国際労働機関の加盟国及び国際連合事務総長に通知する。この決定の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会に依りジユネーヴに招集せられ、千九百三十三年六月八日を以て其の第十七回会議を開催し、
 右会議の会議事項の第一項目たる有料職業紹介所の廃止に関する提案の採択を決議し、且
 該提案は勧告の形式に依るべきものなることを決定し、
 国際労働機関の締盟国をして立法其の他の方法に依り之が実現を為さしむる目的を以て考慮せしむる為、国際労働機関憲章の規定に従ひ、千九百三十三年六月二十九日、千九百三十三年の職業紹介所勧告と称せらるべき左の勧告を採択す。
 総会は、
 総会が其の第一回会議に於て採択せる失業に関する条約及勧告の規定を補足せんとする有料職業紹介所に関する条約を採択したる上、
 営利の目的を以て経営せらるる有料職業紹介所の全廃を能ふ限り短期間内に確保することの望ましきを思ひ、
 尤も或職業に付ては、右紹介所の廃止は、無料の公の職業紹介所が廃止せらるる紹介所に全くは代り得ざる国に於て或る困難を伴ひ得るを思ひ、
 紹介料以外の分子は、紹介行為に営利的性質を与へ且弊害を生じ得るを思ひ、
 締盟国が左の規準及方法を考慮せんことを勧告す。

I

1 無料の公の職業紹介所を有料職業紹介所の事業がしばしば利用せらるる職業の必要に適合せしむる為措置が執らるべし。
2 特定の職業の為に専門化せられたる公の職業紹介所を有するの原則が適用せらるべく、且能ふ限り関係職業の特性、慣行及慣習に熟し居る者が右紹介所に属せしめらるべし。
3 関係職業に於ける労働者及使用者の最代表的なる団体の代表者は、公の職業紹介所の業務に付協力することを求めらるべし。

II

1 個人及企業にして、直接に又は仲介者を通じて飲食店、旅館、古着店、質店又は両替店の経営の如き業務より利益を得るものは、職業紹介に従事することを禁止せらるべし。
2 職業紹介行為は、前記職業の何れかが行はるる一切の場所又は右場所の一切の離家及附属物に於て禁止せらるべし。