1944年の公共事業(国家的計画)勧告(第73号)

ILO勧告 | 1944/05/12

公共事業の国家的計画に関する勧告(第73号)

 国際労働機関の総会は、国際労働事務局の理事会によりジュネーヴに招集されて、二千二年六月三日にその第九十回会期として会合し、本会期の議事日程の第七議題である二十の国際労働勧告の撤回に関する提案を検討し、二千二年六月十八日に、千九百四十四年の公共事業(国家的計画)勧告(第七十三号)の撤回を決定する。国際労働事務局長は、この本文書撤回の決定を、国際労働機関の加盟国及び国際連合事務総長に通知する。この決定の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会によつてフイラデルフイアに招集され、且つ千九百四十四年四月二十日を以てその第二十六回会議を開催し、
 この会議の会議事項の第三項目に含まれている公共事業の国家的計画に関する提案の採択を決議し、且つ
 この提案は勧告の形式によるべきものなることを決定したので、
 千九百四十四年の公共事業(国家的計画)勧告として引用することができる次の勧告を千九百四十四年五月十二日に採択する。
 千九百三十七年の公共事業(国家的計画)勧告は、公の機関により企図されるすべての事業ができるだけ産業的変動を減ずるように調整されるべきこと、並びに不況時代において経済的恢復を促進する可能性ある事業の貸付金による経理並びにかかる事業の促進に必要なクレデイツトの拡張を可能ならしめ且つ貸付利率をできるだけ低く確保する貨幣政策の適用に特別の考慮を払うべきことを勧告しているのに鑑み、
 戦争終結の際、公の機関は、戦争のために惹起した損害を回復し、現存の公共事業を復興し及び取替え且つ新らしい公共事業及び施設を提供することの大なる必要に直面するであろうのに鑑み、
 公共事業は、すべての国民の経済生活における重要な要素を構成し、且つ公共事業計画は、生産性の水準を増大すると共にすべての国民の生活水準を引上げることができる重要な方法であるのに鑑み、
 一方には企業主を一時的に供給不足の状態に残す急激な物資の要求と他方には需要の拡大の不充分さとを避けながら、人的及び物的資源の迅速且つ組織的利用を確保するため、公私の企業を調整しなければならないことは、戦時より平時への過渡期において重要なのに鑑み、
 総会は、次の一般原則を適用し、且つ理事会の要求に従いこれらの原則を実施するため執られる措置に関し国際労働事務局に情報を通告することを国際労働機関の加盟国に勧告する。
1 各加盟国は、その国の各方面における雇用状態に従い促進し又は速度をゆるめることができる長期の開発計画を樹てなければならない。
2 既に完全雇用が存在する時代には労働に対する需要を制限し、且つ失業が存在する時代にはこれを増加するよう、事業の遂行と供給品の註文とを調節するの重要性に特別の注意を払わなければならない。
3 この政策を適用するに当り、国全体としての雇用事情のみならず各地域における事業と関係地域において利用しうる各種類の熟練労働にも考慮を払わなければならない。
4 雇用計画を樹立する責任ある地方機関及びその他のものは、できるだけ早くその与えられるべき財政的援助の範囲を中央機関により通告されるべく、以て地方機関及び技術的施設が遅滞なく計画を樹て、且つ利用しうる限り速かに多数の動員解除兵を吸収することを得しめるよう実際的準備をすることに着手することができるようにしなければならない。