1946年の職業訓練(船員)勧告(第77号)

ILO勧告 | 1946/06/29

海上勤務に対する訓練の組織に関する勧告(第77号)

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会によつてシアトルに招集され、且つ千九百四十六年六月六日を以てその第二十八回会議を開催し、
 この会議の会議事項の第五項目に含まれている海上勤務に対する訓練の組織に関する提案の採択を決議し、且つ
 この提案は勧告の形式によるべきものなることを決定したので、
 千九百四十六年の職業訓練(船員)勧告として引用することができる次の勧告を千九百四十六年六月二十九日に採択する。
 総会は、国際労働機関の各海事加盟国が海上勤務に対する訓練の組織に関連して、次の原則及び規則を考慮すべきこと、並びにこれを実施するため執られる措置に関し理事会の要求に従い国際労働事務局に報告すべきことを勧告する。
1 各国における船上勤務に対する職業訓練を取扱う各種の公的施設の事業は、一方において船舶業の種々の要求及び国内の地方的事情に対し創意と適応性を自由に働かせることを確保すると共に、海運業に人々を吸収し且つ船員となることをその生涯の職業となさしめるよう充分な刺激を与える一般計画を基礎としてこれを調整し且つ発達させなければならない。
2 この計画は、次の点を考慮しなければならない。
 (a) 船員の職業的利害関係並びに文化的及び道徳的要求
 (b) 特に労働組織の技術及び方法の変更と労働市場における発展の傾向とを考慮した船舶業の労働の要求
 (c) 社会の経済的及び社会的利害関係
3 訓練施設の調整と発達とは、前項に掲げた問題と関係ある全国的及び地方的機関の組織的協力を得て、国家的規模においてこれを行わなければならない。
4(1) 訓練の計画が年少者が最初に海上に使用される前の沿岸施設及び(又は)練習船におけるその訓練を含む場合においては、かかる訓練施設は、士官になるために訓練を受けている者と同様属員として勤務しようとする者のためにこれを利用しうるものとしなければならない。
 (2) 海上に出る前の訓練施設に入る年令及びその他の入所条件並びに課程は、その国の学校の卒業年令及び課程に関連させなければならない。
 (3) 海上に出る前の訓練施設の課程は、実行しうる限り一般的に教育価値のある学科を含むべく、且つ学生の健康及び肉体的訓練に特別の注意を払わなければならない。
5(1) 技術的熟練及び知識を改善し及び新らしいものとし、又は特別の熟練を得、又はより高級の地位に進むために資格を得ようとする者のために、訓練の課程の組織について措置を講じなければならない。
 (2) かかる課程は、既に海上勤務に在る者の必要に特に適合した通信教育課程を含まなければならない。
6(1) 海上勤務に入ること又は天性の能力に相応する最高の地位にのぼることを欲する者ができるだけ自己の又は両親の財政的事情によりこれが実現を妨げられないことを確保するため組織的努力を払わなければならない。
 (2) この原則の遂行を援助するため、奨学金及び手当の給与、授業料の調整、有給勉学休暇の付与、書籍及び器具の借入及び買入に対する便宜の供与並びに通信教育課程は、これを奨励しなければならない。
7(1) 両親、学校、職業指導施設、職業紹介所及びその他の関係ある機関並びに船員に対し、海上勤務に対する訓練を受けることができる条件、利用しうる施設、かかる施設の利用から得られるべき利益(爾後の期間内に利用しうる雇用機会を含む。)に関する情報を提供するため措置を講じなければならない。
 (2) 特に設備の能力、授業、訓練及び一般的管理の性質、並びに課せられる授業料に関し満足と認められる私的施設の公認表は、これを公表しなければならない。
8 海上における職業的及び一般的教育の継続のため、次のものにより施設の拡張を奨励しなければならない。
 (a) 船内図書室並びに教育的及び娯楽的価値のある映画フイルムの備付
 (b) 通信教育課程の組織
 (c) 特別ラジオ番組の放送