1952年の母性保護勧告(第95号)

ILO勧告 | 1952/06/28

母性保護に関する勧告(第95号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百五十二年六月四日にその第三十五回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第七議題である母性保護に関する諸提案の採択を決定し、
 それらの提案が千九百五十二年の母性保護条約(改正)を補足する勧告の形式をとるべきであることを決定したので、
 千九百五十二年の母性保護勧告と称する次の勧告を千九百五十二年六月二十八日に採択する。

Ⅰ 出産休暇

1(1) 千九百五十二年の母性保護条約(改正)の第三条2に定める出産休暇の合計期間は、女子の健康のために必要であり、且つ、可能な場合には、十四週間に延長すべきである。
 (2) 監督機関は、母親及び生児の健康を保護するために必要であると認める場合及び特に流産その他産前産後の併発症のような異常な状態が生じた場合又は生ずる虞のある場合には、千九百五十二年の母性保護条約(改正)の第三条4、5及び6に定める産前産後の休暇の延長を診断書に基いて個別的に決定する権限をもつべきである。

II 母性給付

2(1) 千九百五十二年の母性保護条約(改正)の第四条によつて与えられるべき金銭給付は、可能な場合には、同条約に定める最低基準よりも高い率に定めるべきである。前記の給付は、可能な場合には、給付計算のため考慮される当該女子の従前の所得の百パーセントに等しい率に定めるべきである。
 (2) 可能な場合には、前記の条約の第四条によつて与えられるべき医療給付は、外来患者及び入院患者に対する一般医及び専門医の診療(往診を含む。)、歯科治療、家庭又は病院における資格のある助産婦その他の者による手当、家庭又は病院その他の医療施設における看護、病院その他の医療施設における療養、薬剤、歯科治療材料その他の内科用又は外科用の治療材料並びに、出産に関して便宜を提供する資格があると法律上認められる他の職業に従事する者が適当な医師の監督の下に行う治療を含むべきである。
 (3) 医療給付は、保護を受ける女子の健康、労働能力及び自己の用を弁ずる能力を維持し、回復し、又は増進するため支給すべきである。
 (4) 医療給付を管理する機関又は官庁は、適当と認められる手段により、公の機関又は公の機関の認める他の団体が保護を受ける女子の使用のために設けた一般保健施設を保護を受ける女子が利用することを奨励すべきである。
 (5) 国内の法令は、更に、前記の機関又は官庁に対し、保護を受ける女子及びその幼児の健康の増進に関する規定を設ける権限を与えるべきである。
 (6) その他の現物又は金銭の給付で、産衣、産衣の購入のための支払、ほ育する母親に対する牛乳又はほ育手当の支給のようなものは、本項(1)及び(2)に掲げる給付に追加することが望ましい。

III ほ育する母親及び幼児のための施設

3(1) 可能な場合には、ほ育のための休憩は、一日についてその合計時間を少くとも一時間半とすべきであり、且つ、その休憩の回数及び長さは、提出された診断書に基いて調整することを許すべきである。
 (2) 育児施設又は託児施設の設置に関する規定を設けるべきである。この施設は、女子が働いている企業の外に設けることが望ましい。可能な場合には、この施設が団体又は強制的社会保険から資金を受け、又は少くとも補助金を受けることに関して規定を設けるべきである。
 (3) 育児施設及び託児施設の設備及び衛生的要件並びに託児施設の職員の数及び資格は、適当な規則の定める妥当な基準に従うべきであり、且つ、それらは、権限のある機関の承認及び監督を受けるべきである。

IV 雇用の保護

4(1) 可能な場合には、使用者が千九百五十二年の母性保護条約(改正)の第六条に従つて女子を解雇することが許されない産前産後の期間は、その使用者が診断書によつて当該女子の妊娠の通告を受けた日から開始し、且つ、同条約の第三条に規定する出産休暇の期間の経過後少くとも一箇月まで継続するように延長すべきである。
 (2) 法律は、保護期間中における解雇に関する適法な理由として、雇用されている女子の重大な過失、企業の廃止又は雇用契約の満了の場合を認めるべきである。工場協議会が存在する場合には、その解雇についてこれらの協議会と協議することが望ましい。
 (3) 女子は、産前産後の適法な休業中、その先任権及び従前の業務又はそれと同一の割合で賃金が支払われる業務に復帰する権利を保障されるべきである。

V 産前産後における女子労働者の健康の保護

5(1) 妊娠中及びほ育中の女子に対しては、深夜業及び時間外労働を禁止すべきであり、且つ、充分な休憩を確保するように労働時間を調整すべきである。
 (2) 権限のある機関が女子又はその生児の健康に有害であると定める業務には、妊娠中及び産後少くとも三箇月間並びに生児をほ育している場合には更に長い期間女子を就業させてはならない。
 (3) (2)の規定に該当する業務は、特に次のものを含むべきである。
  (a) 次のことを含むすべての重労働
   (i) 重量物を挙げ、引き、又は押すこと。
   (ii) 過度且つ異常に肉体を緊張させること(長時間立つことを含む。)。
  (b) 特殊の均衡を必要とする業務
  (c) 振動する機械を用いる業務
 (4) 権限のある機関が健康に有害であると定める業務に常時使用される女子は、減給されることなしに、その健康に有害でない他の種類の業務に転換する権利をもつべきである。
 (5) 業務の性質を変更することが自己の健康及びその生児の健康のために必要である旨を記載した診断書を提出するいずれの女子も、同様に、転換の権利を出産を理由として個別的に与えられるべきである。