1954年の有給休暇勧告(第98号)

ILO勧告 | 1954/06/23

有給休暇に関する勧告(第98号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百五十四年六月二日にその第三十七回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第七議題である有給休暇に関する提案の採択を決定し、
 この提案が勧告の形式をとるべきであることを決定したので、
 次の勧告(引用に際しては、千九百五十四年の有給休暇勧告と称することができる。)を千九百五十四年六月二十三日に採択する。
 総会は、次の規定が適用されること及びこれを実施するために執られた措置について理事会の要請に従つて加盟国が国際労働事務局に報告することを勧告する。
1(1) この勧告の規定は、国の慣行が異なつていることにかんがみ、国内の事情に応じて、公の又は自主的措置で、立法、法定の賃金決定制度、労働協約、仲裁裁定、その他国の慣行に合致した方法により実施することができる。
 (2) 自主的措置、使用者団体及び労働者団体による措置又は労働協約によつて迅速に満足な結果が得られない場合には、(1)に定める手続の採用は、政府が憲法又は法令に定められた制度を利用することを妨げるものではない。
2 各国の権限のある機関は、場合に応じて、特に次のような措置を考慮することができる。
  (a) 団体交渉に参加する両当事者によつて任意に締結される労働協約に有給休暇を定めるように奨励すること。
  (b) 使用者団体及び労働者団体が自主的な合同機関を設置することを援助すること又は、必要なときは、特定の職業又は労務における年次有給休暇を決定する権限のある機関を法令によつて設置すること。
  (c) 法定の賃金決定機関が年次有給休暇に関する権限を有しない場合には、その権限を与えること。
  (d) 年次有給休暇の規定に関する詳細な情報を収集して使用者団体及び労働者団体に提供すること。
3 この勧告は、海員、農業労働者又は使用者の家族の構成員のみを使用している企業又は事業場において使用されている者を除く外、すべての労働者に適用される。
4(1) この勧告の適用を受けるすべての者は、年次有給休暇を受ける権利を与えられるべきである。年次有給休暇の期間は、その年に一又は二以上の使用者に対して勤務した期間に比例しなければならず、また、十二箇月の勤務期間について、二労働週を下つてはならない。
 (2) 各国の適当な機関は、適当な場合には、次のことを決定することができる。
  (a) 労働者が年次有給休暇又はその一部を受ける資格を得るために勤務すべき日数
  (b) 労働者が特定の年について受けるべき有給休暇を決定するためその年におけるその労働者の勤務の期間を算定する方法
(3) 各国の適当な機関は、労働者が(1)及び(2)の規定に従つて年次有給休暇を受ける資格を得るために必要な勤務を完了する前に雇用が終るときに、その労働者が勤務した期間に比例した有給休暇、それに代る補償又はそれに相当した休暇クレジットのうち最も実行可能なものを受ける権利をもつように定めるべきである。
5 各国の適当な機関は、公の又は慣習上の休日、週休日、勤務中の事故又は病気のための休業日、産前産後の手当に起因する休業の期間等で、この勧告の規定の適用上有給休暇の日として算定すべきでないものを定めるべきである。
6 各国の適当な機関は、年次有給休暇の期間を勤務の長さその他によつて延長するか否かを決定すべきである。
7(1) 業務の中断は、労働者がその期間中賃金を受けている場合には、年次有給休暇を受ける権利又はその期間に影響を及ぼしてはならない。
 (2) 労働関係又は労働契約の終了とならない業務の中断は、その中断の以前に生じた有給休暇を受ける権利に影響を及ぼしてはならない。
 (3) 各国の適当な機関は、次のことに起因する業務の中断に対し、(1)及び(2)に掲げる原則を適用すべき方法を決定しなければならない。
  (a) 病気、事故及び産前産後の手当に起因する休業の期間
  (b) 家事のための欠勤
  (c) 軍事上の義務
  (d) 公民としての権利の行使及び義務の履行
  (e) 労働組合の職能から生ずる義務の履行
  (f) 企業の経営者の変更
  (g) 間けつ的な非任意的失業
8 労働者の妊娠及び出産のための業務の中断は、その労働者が再び就業し、かつ、その中断の期間が所定の期間をこえない場合には、年次有給休暇を受ける権利及びその期間に影響を及ぼしてはならない。
9(1) 年次有給休暇をとる時期については、使用者と労働者との間に協議が行われるべきである。その時期の決定に際しては、労働者の個人的希望をできるだけ考慮すべきである。
 (2) 年次有給休暇を適当に利用することができるよう労働者に休暇の始まる日を十分前もつて知らせなければならない。
10 十八歳未満の労働者には、4に定める最少限の期間よりも長い期間の年次有給休暇を与えなければならない。
11 年次有給休暇を受けるすべての者に対しては、その休暇の全期間について、少くとも次のいずれかの報酬を与えなければならない。
  (a) 労働協約、仲裁裁定又は国内の法令により年次有給休暇の期間について定められる報酬
  (b) 国内の法令により定められ、又は国の慣行によつて確立された他の方法により定められた通常の報酬(現物報酬があれば、これを換価して計算する。)
12 年次有給休暇に関する規定の適当な実施に必要な休暇記録の制度及び記録に記載すべき細目は、労働協約、仲裁裁定又は国内の法令に定めるべきである。
13 使用者及び労働者の代表的な団体と権限のある機関とは、年次有給休暇に関する法令の起草に先だつて、法律及び慣行に合致する方法及び範囲内で予備的協議を行うべきである。
14 使用者及び労働者の代表的な団体は、法令によつて年次有給休暇の決定を委任されている機関の運営又は年次有給休暇に関する規則の実施に全く平等な立場で参加する機会を与えられるべきであり、あるいは、法律及び慣行に合致する方法及び範囲内で協議を受けるか又は意見を聴取される権利をもつべきである。