1956年の職業訓練(農業)勧告(第101号)

ILO勧告 | 1956/06/26

農業における職業訓練に関する勧告(第101号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百五十六年六月六日にその第三十九回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第四議題である農業における職業訓練に関する提案の採択を決定し、
 この提案が勧告の形式をとるべきであることを決定したので、
 次の勧告(引用に際しては、千九百五十六年の職業訓練(農業)勧告と称することができる。)を千九百五十六年六月二十六日に採択する。
 総会が、その第三回会期において、加盟国が農業職業教育を発達させるよう、特に、農業賃金労働者に対し、農業に従事するその他の者と同一条件でその教育を受けさせるように努めるべきである旨を規定した千九百二十一年の職業教育(農業)勧告を採択したので、
 総会が、一般的職業訓練の問題を詳細に検討し、特に、千九百三十九年の職業訓練勧告及び千九百五十年の職業訓練(成年者)勧告を採択したので、
 国際労働機関の常設農業委員会が、農業における職業訓練の特殊な面を研究し、かつ、その問題に関して提案を行つたので、
 加盟国が、農業における適当な職業訓練制度を確立し、又は拡張すべきであるので、
 総会は、加盟国が、次の規定を国内事情の許す限りすみやかに適用すること、及びこれを実施するために執つた措置について理事会の要請に従つて国際労働事務局に報告することを勧告する。

Ⅰ 訓練の原則及び目的

1 各国における公の機関若しくは他の適当な機関又は両者の結合は、農業における職業訓練が、効果的な、合理的な、組織的な及び調整された計画に基いて実施され、かつ、組織されるように確保すべきである。
2(1) 農業における職業訓練の目的は、各国において次のことの必要性に関連して明確に定めるべきである。
  (a) 農業における各種の男女(未熟練の、半熟練の及び熟練の労働者並びに管理者、経営者及び農家の主婦)に対し、その職業の遂行に必要な技能及び知識を授け、従事する作業の社会的重要性の観念を注入し、並びに一般公衆に対し職業としての農業の重要性を認識させること。
  (b) 農業において土地その他の天然資源、労働及び資本を一層有効に利用すること。
  (c) 農業に欠くことのできない土じようその他の天然資源を保護すること。
  (d) 農業における能率、生産及び収益を増進すること、並びに販売を容易にするため、及び特に栄養水準を向上させるために農産物の品質及び調製並びに農場におけるその適当な加工を改善すること。
  (e) 収入、生活水準、雇用の機会、労働条件及び昇進の見込に関して農業と他の職業との間に存する均衡の欠如を是正するための一助として、農業におけるこれらの諸点を改善すること。
  (f) 適当な場合には、農作業の機械化を促進すること、農作業の安全を徹底すること並びに特に女子及び児童のために農業における作業を軽減すること。
  (g) 農業と経済活動の他の部門との間に雇用の適当な均衡を達成すること。
  (h) 農村の青少年に対し適当な職業指導を行うこと。
  (i) 適当な場合には、十分な数の青少年が農業の各部門にはいるように奨励すること。
  (j) 農業における季節的失業問題及び不完全雇用問題を克服すること。
  (k) 農業生産における技術的発展とその実際的利用との間の差をなくすこと。
  (l) 一般的に農村生活を改善すること及び農作業に一層満足して従事するように促進すること。
 (2) これらの目的のため、訓練は、適当な作業技術、作業方法及び判断力の発達についての教育並びに、適当な場合には、農場経営の計画、農場管理の原則及びその実際についての教育を含むべきである。その訓練は、特に社会的及び経済的発展の程度によつて決定されるところに従つて、農民のこの教育の吸収能力に漸進的に適応させるべきものであり、また、その訓練は、結局、農民が、詳細な内容において同等でなくとも、その質において都会人が受けている教育及び訓練と同等のものをできる限り受けることができるように組織すべきである。

Ⅱ 訓練の範囲

3(1) 農業における職業訓練計画は、人種、宗教、国籍又は性別にかかわりなく、また、土地に対する法律上の関係のいかんを問わず、全農民(たとえば、季節労働者、農村婦人及び農業に緊密に関連する職業に従事する労働者を含む将来及び現在の農業者及び農業労働者)をその対象とすべきである。
 (2) 必要な場合には、初期の段階において及び低開発国においては、その計画は、その範囲を、使用可能な職員が最も効果的に接触し、かつ教育することができる者並びに、教育の必要性及び効果が最大である地域及びそのような種類の者に限定することができる。
 (3) 訓練施設の欠如している低開発地域において最初に執るべき措置の一は、農業生活に対して理解及び同情を有し、かつ、可能なときは、農場の生活及び作業に経験がある訓練された教員及び指導員の団体を創設することでなければならない
 (4) そのように訓練された教員及び指導員を利用することができない場合にも、実地教育を行う資格を十分備えている経営者の農場又は土地については、その訓練施設を発展させるため、あらゆる可能な援助が与えられるべきである。
4(1) 低開発国においては、読み書きの能力を授ける計画には、高度の優先権を与えるべきである。一般に、職業訓練は、当該国において認められた基準に合致する一般教育(基礎科目の学習を含む。)がこれに先行するか、又は並行すべきである。職業訓練が学校制度の下に行われる場合には、一般教育がこれに先行し、かつ、並行すべきである。
 (2) 農業における職業訓練計画は、可能な場合には、正規の学科教育及び農村社会研究のような関連のある一般科目を含むべきである。
5 訓練課程の内容を決定するに当つては、特に次のことを考慮すべきである。
  (a) 訓練を受けるべき者及び授けられる技能水準
  (b) 農地の構成、農業の発展の程度及び農業生産の形態
  (c) 農村雇用市場の傾向及び労働力移動の程度又は必要性
  (d) 農業共同社会の社会生活、慣行、習慣及び見通し
  (e) 関係分野に関する国内政策の大綱
6(1) 農民に対する職業訓練は、可能かつ適当な場合には、特に農業用器具の製作及び修理、農業用機械の保全及び簡単な修理、農産物の加工並びに農場建造物の建設及び保存に関する補足的技能の訓練を含むべきである。
 (2) 不完全雇用が現存し又は潜在する地域においては、可能かつ適当な場合には、男女両性に対し、補足的又は代替的雇用の手段を供与するため、農村手工その他の手工に関する課程を受けることを考慮すべきである。

Ⅲ 訓練の方法

職業準備訓練

7 農村地域及び都市地域における教育水準の同一基準を確立するため及びその教育に共通の基礎を設けるため、適当な措置を執るべきである。農村小学校における教授法及び、適当な場合には、その教科課程は、農村地域の要求及び農村児童の環境を考慮すべきである。
8 健全かつ広範な基礎において一般教育を授けるため、自然についての理解を与えるため並びに手先の技術及び観察力を発達させるため、初等教育制度において授けられる正規の学科教育は、可能な場合には、学校作業の一部としての学校農園の利用及び家庭手工における実習によつて補足すべきである。この実地教育は、一般教育の課程及び計画を妨げるものであつてはならない。
9 低開発地域の農村共同社会における基礎教育制度は、調整された計画に基き、農業について、並びに農村工業、衛生、保健、食事、育児、食料保存、住宅、農村組織及び運輸通信のような事項について、改善された技術の知識を与えるように利用すべきである。低開発国の農民のうち原始的農法を用い、かつ、著しく生活水準の低い者、特に原住民に対し適当な訓練を行うことに留意すべきである。

中等学校における農業教育

10(1) 適当な場合及び中等学校において専門的な農業職業教育を行わない場合には、その農業教育は、一般的性格をもつべきである。農村地域におけるこの教育は、国内及び地方の事情に適応すべきである。農業教育を行わない場合には、農村中等学校の教科課程に農業教育を徐徐に導入するように措置を執るべきである。この教育は、一般教育の課程及び計画を妨げるものであつてはならない。
 (2) この教育は、可能な場合には、学校農園、実験農場その他の農場における実習によつて補足すべきである。このような作業は、教授上必要とするものに限定すべきである。

農業専門学校

11 農作業、農産物の生産及び販売並びに農場の経営及び管理その他必要な事項について十分な期間訓練する農業専門学校を設けるため、措置を執るべきである。
12 職業訓練計画の高度の段階においては、次のものを設置するために措置を執るべきである。
  (a) 農業の若干の部門について訓練を行う男女両性のための学校又は学校の専門部
  (b) 特種の農業労働者を訓練し、又は農業に必要な専門的な技能について訓練する男女両性のための学校又は学校の専門部
  (c) 農村家庭経済について訓練を行う学校又は学校の専門部
13 農業専門学校は、可能なかつ適当な場合には、教授を農作業に適応させ、かつ、必要な実地訓練を行うため、附属農場を有すべきである。これが不可能な場合又はそのような訓練を補足することが望ましい場合には、適当な農場又は試験場において必要な実地訓練を行うため措置を執るべきである。ただし、その訓練は、生徒の教育に必要なるものに限定する旨の了解の下に行うべきである。
14 農業専門学校を設立するに当つては、次のことについて考慮すべきである。
  (a) 特に広範な農場を有し、かつ、人口密度の低い国においては、寄宿施設又は半寄宿施設の設置から生ずる利益
  (b) 教育水準が相当に高い共同社会においては、遠隔地の農業労働者のための通信教育制度及びラジオの利用並びに可能な場合には、これらの農業労働者の寄宿施設をもつ学校の補習課程への出席
  (c) 視聴覚教具の利用

短期課程

15(1) 短期課程、季節的課程、夜間課程及び移動課程は、次の場合には、特に適当であると認めるべきである。
  (a) 小農業者の子女及び保有農地に雇用されている農業労働者の子女に対しその職業的及び一般的知識を増進するように奨励する場合
  (b) 専門家又は農業者及び農業労働者に対し改善された技術又は新たに発見された技術を教授する場合
  (c) 特殊の作物の栽培、動物の飼育、器具又は機械の保全及び使用、農場の一般的維持作業並びに植物病、動物病及び害虫についての対策のような特殊な技能及び方法を特種の労働者に教授する場合
 (2) 前記の課程は、地方の要求に応じて適当な時期に行うべきであり、また、長期課程が可能なかつ望ましい場合には、この代りとして行われるべきではない。

農場における訓練

16(1) 必要かつ適当な場合には、公の機関若しくは他の適当な機関又は両者の結合は、特に将来農場経営者となる者の訓練を完成するため、特に農業技術水準の比較的高い地域において、被訓練者を選定された農場に配置することを組織化すべきである。この訓練には、通常適当な一般教育が先行すべきであり、また、この訓練は、村落、広大な農地若しくは農園、協同組合農場若しくは団体開拓農地又は小保有農地若しくは中保有農地のいずれであるかを問わず、その地域独特の農場経営形態を考慮して組織すべきである。
 (2) 訓練が行われる農場は、代表的なものでなければならず、かつ、必要に応じ、自己の農地以外の農地を使用することの可能性を考慮し、慎重に選定すべきである。農場における訓練は、可能な場合には、正規の学科教育によつて補足されるべきである。

普及講習会

17(1) 普及講習会は、科学的調査の結果を農業者の実用に供するため及び農業者の技術問題を当該講習会の解決にゆだねるため、設置し、かつ、各国の発展の水準に応じて可能な程度まで拡大すべきである。
 (2) 農業者及び農業団体(使用者団体及び労働者団体を含む。)は、各自の普及講習会計画を進展させるように奨励されるべきであり、また、いかなる場合にも、公の計画及び類似の教育活動の発展及び利用に参画すべきである。
18 低開発国においては、簡易かつ実用的で地理的に拡大し及び内容的に充実することができる職業訓練計画が適当であるので、普及講習会が、これらの計画の発展及び農業開発計画の実施において特に重大な役割を有していることが認められるべきである。
19 普及講習会は、必要な場合には、他の関係機関とともに、青年のための計画の発展、青年のための農村クラブの組織並びに家庭及び社会の発展計画に貢献すべきである。

技能者養成

20(1) 農業が適当に組織され、かつ、実施方法が許す場合には、技能者養成制度の設定が考慮されるべきである。
 (2) この制度は、農業の特殊部門、地域及び各種の労働者の必要に特に考慮を払つて設けるべきであり、かつ、所要の資格及び能力を有すると認められる指導員又は農業者をもつた寄宿施設のある養成所又は農場において実施すべきである。
 (3) 権限のある機関は、被養成者が希望する農業部門における教育、被養成者の課業の訓練に有用な作業への限定、備品の供与並びに一般的及び専門的教育を授ける訓練学校への就学の義務について執られる措置を認可するものとする。
 (4) 前諸項に掲げる措置は、法令、技能者養成の管理を委任された公の機関の決定、労働協約若しくはこれらの方法の結合により、又はそれらのものがないときは、他の適当な方法によつて実施すべきである。
21 代表的な使用者団体及び労働者団体があるときは、それらの団体は、完全に平等な立場で、技能者養成制度の樹立、実施及び監督に密接に参画すべきである。
22(1) 技能者養成制度は、農業につく希望を明白に表明し、かつ、義務教育期間を終了し、又は終了見込の適格の志願者に対し開放すべきである。
 (2) 被養成者の採用及び技能者養成計画は、労働、農業又は教育の分野において責任を有する機関(法令によつているかどうかを問わない。)のうち各国の現状に照らして最も適当と認められるものの監督を受けるべきである。
 (3) 配置される被訓練者の数を決定するに当つては、被訓練者及び成人労働者双方の利益のため、関係農場における経験のある成人労働者の数を考慮すべきである。
 (4) 被訓練者が技能者養成課程を終了したときは、その被訓練者は、熟練労働者とみなされ、かつ、権限のある機関によりその旨証明されるべきである。
23(1) 被養成者の雇用条件は、当事者間の契約、労働協約、法令その他によるとを問わず、農業者及び被養成者のそれぞれの義務、養成期間、十分に農作業を行うために習得すべき知識及び技能の水準並びに一般教育及び専門教育を授ける訓練学校に就学する義務について明確に定めていなければならない。その規定には、被養成者に要求される作業を訓練に必要なものに限定すべきこと及び紛争が生じたときは、その紛争を解決のため権限のある機関に付託すべきことをも加えるべきである。
 (2) 被養成者に対する報酬の最低額、報酬の増加、労働時間、休日、食事及び宿泊、保険並びに、病気及び災害給付は、法令、権限のある機関が発する規則、仲裁裁定、労働協約又はこの任務を委任された特別の機関によつて決定されるべきである。
 (3) 代表的な使用者団体及び労働者団体があるときは、それらの団体は、平等な立場で、被養成者の雇用条件の決定、適用及び監督に参画すべきである。
24(1) 技能者養成の低段階においては、遂行した作業、養成期間並びに一般的に及び特種の作業において習得した技能の水準を明示して進歩の評価を行うべきである。この評価は、必要に応じ、実地試験によつて補足すべきである。
 (2) 技能者養成の高段階においては、又は計画が一層進展した場合には、養成が十分に達成されたかどうかを権限のある機関が確かめるべきである。この場合には農業一般及び被養成者が希望する農業の特殊部門について実地試験及び学科試験をあわせて行うことを考慮すべきである。

教員及び農村指導者の訓練

25(1) 農業における訓練のあらゆる計画においては、農業及びそれに附随する職業に関連する施設の教員及び職員の訓練に優先権が与えられるべきである。それらの教員及び職員は、可能なときは、農場の生活及び作業について個人的経験を有すべきである。
 (2) 訓練の過程は、必要な場合には、次の方法によつて促進すべきである。
  (a) 適当な種類の訓練所の設置
  (b) 農村開発センター並びに実演及び訓練のためのセンターの設置
  (c) 高等農業訓練所の卒業生に対する特別短期訓練課程の開設。この課程は、必要なときは、農業の要求に適応し、かつ、近代的技術を考慮に入れた職業教育を教授することができるように当該卒業生を一層訓練するため、教授及び管理の問題並びにその作業の技術的内容にも関連すべきである。
26 高等訓練所における農業科の教員及び指導員は、
  (a) 大学教育又はこれと同等の教育を受けた者であることが望ましい。
  (b) 補習課程及び研究休暇のような方法によつてその知識を最新のものとしておくように援助され、かつ、奨励されるべきである。

教材

27 職業訓練計画において使用する教材は、調査機関の調査の結果及び他の科学的資料に基いて作成すべきであり、また、適当な教材が、教員及び生徒に対し系統的にかつ順序正しく提供されるべきである。
28(1) 農業科目は、特に地域及び地方の状況及び問題を考慮して教授されるべきであり、したがつて、教材は、被訓練者が将来就労する地域の経済組織に留意して選択すべきである。
 (2) 教材及び教授用備品が他の国及び地域から持ち込まれる場合には、それらの教材及び教授用備品は、現地の要求に十分適合すべきものでなければならない。
29 特に訓練の初期の段階において、共通の特性及び問題を有する一群の国が存在する場合には、それらの諸国は、それぞれの間で直接協議することにより、教材の標準化を計るべきである。いかなる場合にも、教材の無料交換を奨励すべきである。
30 視聴覚教具は、前記の教材及び教授法に代るものではないが、特に読み書きのできない者が多数存する社会においては、訓練計画において重要な地位を占めるべきである。特に幻燈の利点に留意すべきである。

Ⅳ 農村団体その他の関係団体

31 農業者団体、農業労働者団体(労働組合を含む。)、農村婦人団体、農村青年団体及び協同組合のような他の関係団体は、農業訓練のあらゆる部門において重要な役割を果すべきである。これらの団体に対し、農業訓練の改善に積極的に関心をもつようあらゆる方法で奨励すべきである。

Ⅴ 国内的措置

32(1) 訓練計画についての責任は、最善の成果をおさめることができる機関に委任すべきであり、また、この責任が若干の機関に連帯で委任される場合には、訓練計画の調整を確保するための措置が執られるべきである。地方機関は、訓練計画の進展に協力すべきである。農業における使用者団体及び労働者団体並びに他の関係団体が存在するときは、それらの団体は、緊密な協力を保つべきである。
 (2) 次の目的のため、公私の課程に対しある程度の調整を計るよう奨励すべきである。
  (a) 被訓練者が一段階から他の段階へと順序正しく進むこと。
  (b) 訓練計画に適度の統一性を保持することを条件として、それぞれの地域又は職業部門の要求に応じて措置が執られること。
  (c) 農業調査機関、普及講習会及びすべての訓練機関が密接に協力して活動することができること。
33(1) 権限のある機関は、農業の各部門の訓練を受けるための資格要件、訓練期間及び課程期間、教材及び教科書、教員の資格、俸給及び労働条件、学級生徒数、教科課程、試験要件並びに訓練修了が認められる条件の事項に関し、必要なときは各地域別に、その一般基準を漸次作成すべきである。これらの一般基準を作成するに当つては、代表的な農業者団体及び農業労働者団体並びに、他の関係機関が存在するときは、それらの機関と協議するために適当な措置が執られるべきである。
 (2) 職業訓練のあらゆる段階において、訓練計画の作成及び実施についての民間の創意を奨励すべきであり、また、基準の適用は、認可された訓練機関に一任すべきである。この訓練機関は、必要に応じて適当な機関の監督を受ける。
34 訓練計画に対し現地からの財政的援助が多くの場合必要とされているが、公の機関も、適当かつ必要と認める程度まで、種種の方法、すなわち、補助金の下付、土地、建造物、交通手段、設備及び教材の提供、訓練期間中の被訓練者の生活費又は賃金に対する奨学金その他の方法による援助並びに適格の被訓練者(特に訓練のための費用を支払うことができない被訓練者)の寄宿施設を有する農業学校への無償入学等の方法によつて公私の訓練計画を援助すべきである。
35(1) 公の機関若しくは他の適当な機関又は両者の結合は、職業訓練計画が農業に関連する他の公の活動と調整されることを確保すべきである。特に、これらの機関は、殊に土地、農業クレジット及び市場の利用性を考慮し、将来の農業労働者のために開放される長期の雇用及び定住の機会に照らして、職業訓練計画を樹立することを確保すべきである。
 (2) 公の機関若しくは他の適当な機関又は両者の結合は、訓練を修了した者の配置を容易にし、かつ、その者に対し、適当な農場又はその訓練及び技能にふさわしい農業雇用を見いだすに当つて援助を与えるため、すべての必要な実際的措置を執るべきである。
36 公の機関若しくは他の適当な機関又は両者の結合は、たとえば、農業における生活水準及び生産水準の向上並びに2に定める目的の達成等に関し、訓練計画の効果を評価する方法を発展させるべきであり、かつ、達成した進歩についてひんぱんに評価すべきである。

Ⅵ 国際的措置

37(1) 可能なときは、特に同様な農業条件にある国の間においては、農業者、農業労働者、農村青年、農業科教員、研究者、専門家及び科学的農業文献の国際的交換が奨励されるべきである。
 (2) 適当なときは、農業における研究、普及及び職業訓練のための国際センターを発展させるべきであり、また農業研究者、農業普及員及び農業学校教員の国際的会合をも促進すべきである。