1969年の労働監督(農業)勧告(第133号)

ILO勧告 | 1969/06/25

農業における労働監督に関する勧告(第133号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百六十九年六月四日にその第五十三回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第四議題である農業における労働監督に関する提案の採択を決定し、
 この提案が千九百六十九年の労働監督(農業)条約を補足する勧告の形式をとるべきであることを決定したので、
 次の勧告(引用に際しては、千九百六十九年の労働監督(農業)勧告と称することができる。)を千九百六十九年六月二十五日に採択する。
1 農業労働監督機関の職務は、国内事情が許す場合には、農業生産者(その地位のいかんを問わない。)がその保有地並びにその保有地における従業者の生活状態及び労働条件を改善することを援助するため、権限のある技術部局との協力を含むように拡張すべきである。
2 農業労働監督機関は、千九百六十九年の労働監督(農業)条約第六条3の規定に従うことを条件として、次のような事項に関する法規の実施に関与することができる。
  (a) 労働者の訓練
  (b) 農業における社会的サービス
  (c) 協同組合
  (d) 義務教育学校への通学
3(1) 農業労働監督官の職務は、通常、労働争議に関する手続において調停者又は仲裁者として活動することを含むべきではない。
 (2) (1)の活動を行なうための特別の機関が農業に存在しない場合には、暫定的措置として、農業労働監督官に対し、調停者として活動することを要求することができる。
 (3) (2)の活動が労働監督官に要求されている場合には、権限のある機関は、労働監督官が企業の実際の監督に一層専念することができるように、労働監督官から(2)に規定する職務を漸進的に免除するため、国内法令と調和しかつ当該国の労働部局の資源と両立する措置をとるべきである。
4 農業労働監督官は、農業における生活状態及び労働条件に精通し、かつ、農業労働の経済的及び技術的側面に関する知識を有すべきである。
5 農業労働監督機関の上級職の候補者は、適当な専門的若しくは学問的資格を有し、又は労働行政に関する十分な実際の経験を有する者であるべきである。
6 農業労働監督機関の他の職(たとえば監督官補及び下級職員)の候補者は、当該国の教育水準が許す場合には、可能なときは適切な技術訓練によつて補足された中等一般教育を修了し、又は労働問題について十分な行政上の若しくは実地の経験を有する者であるべきである。
7 教育が十分に発達していない国においては、農業労働監督官として任命される者は、少なくとも、農業に関する実際の経験を有し、又はこの種の労働に対して興味を示しかつ能力を有する者であるべきである。それらの者は、できる限りすみやかに十分な職場訓練を与えられるべきである。
8 中央労働監督機関は、農業労働監督官に対し、全国を通じて均一の方法で任務を遂行することができるように指針を与えるべきである。
9 農業労働監督官の夜間における活動は、昼間効果的に監督することができない事項に制限すべきである。
10 使用者及び労働者の代表者を含む衛生及び安全委員会を農業において使用することは、農業労働監督機関の職員と使用者及び労働者又は、使用者団体及び労働者団体が存在する場合には、それらの団体との間の協力方法の一つでありうる。
11 千九百六十九年の労働監督(農業)条約第十七条に定める健康又は安全を脅かすおそれがあると思われる新しい設備、新しい原料又は材料及び生産物の新しい取扱い又は加工の方法の予防的規制への農業労働監督機関の参加は、次の事項に関する労働監督機関との事前協議を含むべきである。
  (a) そのような設備の稼動、そのような原料又は材料の使用及びそのような方法の採用
  (b) 危険な機械又は不健康な若しくは危険な作業工程が使用される設備の設計
12 使用者は、必要な便宜(適当な場合には、企業における従業者と面接するための室の使用を含む。)を農業労働監督官に提供すべきである。
13 中央監督機関が公表する年次報告は、千九百六十九年の労働監督(農業)条約第二十七条に掲げる事項のほか、中央監督機関の権限に属する限度において次の事項を取り扱うことができる。
  (a) 農業における労働争議に関する統計
  (b) 法規の適用に関する諸問題の説明及びそれらの問題を解決するためになされた進展
  (c) 農業における生活状態及び労働条件を改善するための示唆
14(1) 加盟国は、適用される法規及びこれらの法規を厳格に適用すべき必要並びに農業的企業における従業者の生命又は健康に対する危険及びこれらの危険を避ける最も適切な方法をあらゆる適切な手段によつて関係当事者に知らせることを目的とした教育活動を行ない又は助長すべきである。
 (2)  (1)の教育活動は、国内事情に照らして、次の事項を含むことができる。
  (a) 農村改良員又は農村指導員のサービスの利用
  (b) ポスター、パンフレット、定期刊行物及び新聞の配布
  (c) 映画の上映並びにラジオ及びテレビジョンの放送
  (d) 衛生及び安全に関する展示及び実演のための措置
  (e) 農村の学校及び農業学校の授業における衛生、安全その他の適当な課目の採用
  (f) 新しい作業方法又は新しい原料若しくは材料の採用によつて影響を受ける農業における従業者のための会議の開催
  (g) 農業労働監督官の労働者教育計画への参加
  (h) 講演会、討論会、セミナー及び賞品つき競技会の開催