1979年の労働時間及び休息期間(路面運送)勧告(第161号)

ILO勧告 | 1979/06/27

路面運送における労働時間及び休息期間に関する勧告(第161号)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百七十九年六月六日にその第六十五回会期として会合し、
 その会期の議事日程の第五議題である路面運送における労働時間及び休息期間に関する提案の採択を決定し、
 その提案が勧告の形式をとるべきであると決定して、
 次の勧告(引用に際しては、千九百七十九年の労働時間及び休息期間(路面運送)勧告と称することができる。)を千九百七十九年六月二十七日に採択する。

I 適用範囲

1 この勧告は、第三者のための運送に従事する企業又は自己のために貨物若しくは乗客を運送する企業のいずれのためであるとを問わず、貨物又は乗客の路面による国内運送又は国際運送に業務用として用いられる車両に乗務する次のいずれかの賃金労働者について適用する。
 (a) 運転者
 (b) 運転者の助手、添乗者、車掌及び車両又はその乗客若しくは貨物に関連する作業に従事する者として路面運送用車両に乗務するその他の者
2 II及びVIIからIXまでの規定並びにXからXIIまでの関連規定は、路面運送に業務用として用いられる車両の所有者及び賃金労働者でないその家族についても、1(a)又は(b)に規定する者として労働する場合には、適用する。
3(1) 各国の権限のある機関は、1及び2の規定に該当する者であつて次の運送において労働するものをこの勧告の規定の全部又は一部の適用から除外することができる。
  (a) 都市運送又は一定の種類の都市運送(特殊な技術的運行条件及び地方的事情を考慮するものとする。)
  (b) 農業的又は林業的企業による運送であつて、トラクターその他の地方の農業活動用又は林業活動用の車両により、専ら当該企業の事業のために行われるもの
  (c) 病人及び負傷者の運送、救出又は救助作業のための運送並びに消防業務のための運送
  (d) 国防及び警察業務のための運送並びに、第三者のための運送に従事する企業が行う運送と競合しない場合に限り、その他の公の機関の重要な業務のための運送
  (e) タクシーによる運送
  (f) 使用される車両の種類、旅客若しくは貨物の積載能力、限られた行程又は許可最高速度のために、運転時間及び休息期間に関する特別な規制を要しないと認め得る運送
 (2) 各国の権限のある機関は、(1)の規定によりこの勧告の規定の全部又は一部の適用から除外される者の労働時間及び休息期間に関する適当な基準を定めるべきである。

II 使用者及び労働者との協議

4 各国の権限のある機関は、この勧告の規定が適用される事項に関する決定を行う前に、関係のある代表的な使用者団体及び労働者団体と協議すべきである。

III 労働時間の定義

5 この勧告の適用上、「労働時間」とは、1の規定に該当する者が次の作業のために費やす時間をいう。
 (a) 運転その他の車両の走行時間中の作業
 (b) 車両又はその乗客若しくは貨物に関連する補助的作業
6 車両上又は事業場における単なる待ち時間又は待機の時間で労働者が自由に使用することができないもの並びに、関係のある使用者団体及び労働者全体の間に合意がある場合には、訓練及び高等訓練に費やされる時間は、各国において、権限のある機関が定める範囲又は労働協約若しくは国内慣行に適合するその他の方法によつて定める範囲で、労働時間とみなすことができる。

IV 通常の労働時間

A 一週当たりの通常の労働時間

7 通常の労働時間、すなわち、超過勤務に関する国内規定が適用されない労働時間は、一週間について四十時間を超えるべきではない。
8 7に規定する一週当たりの通常の労働時間は、漸進的かつ段階的に導入することができる。
9(1) 長距離運送の場合及び一週間について適用されるときは7に規定する基準が実行不可能となるその他の運送活動の場合については、最高四週間にわたる平均としてこの基準を適用することができる。
 (2) 各国の権限のある機関は、7に規定する基準が(1)の規定に基づき平均として適用される場合には、一週間における最大労働時間数を決定すべきである。

B 一日当たりの通常の労働時間

10 7に定義する通常の労働時間は、平均して一日について八時間を超えるべきではない。
11(1) 一週当たりの通常の労働時間が週の個々の日にわたつて不均等に配分される場合には、通常の労働時間は、一日について十時間を超えるべきではない。
  (2) 一日当たりの通常の労働時間がかなりの長さの単なる待ち時間、待機の時間若しくは作業の中断の時間を含む場合又は乗務員が適当な休息場所に到着することができるようにするために必要な場合には、(1)に規定する最高限度は、一日当たり十時間を超えることができるが、十二時間を超えてはならない。

V 最大継続労働時間

12(1) すべての賃金労働者は、5に定義する継続する五時間の労働時間の後に、休憩を与えられるべきである。
  (2) (1)に規定する休憩の長さ及び、適当な場合には、休憩が分割される方法は、各国の権限のある機関が決定すべきである。

VI 一日当たりの拘束時間の広がり

13(1) 各国の権限のある機関は、路面運送業の各種の部門について、二の相次ぐ一日当たりの休息期間の間を隔てる最高時間数を定めるべきである。
  (2) 一日当たりの拘束時間の広がりは、労働者が享受する権利を有する一日当たりの休息期間の長さを減ずるようなものであるべきではない。

VII 運転時間

14(1) 運転者は、休憩なしに四時間を超えて連続して運転することを許されるべきではない。
  (2) 各国の権限のある機関は、特殊な国内事情を考慮の上、一時間以内の範囲で(1)に規定する時間を超えることを認めることができる。
  (3) この14に規定する休憩の長さ及び、適当な場合には、休憩が分割される方法は、各国の権限のある機関が決定すべきである。
  (4) 各国の権限のある機関は、時間表に定められる停車又は作業の断続的な性質により、運転者が十分な休憩を有することを理由として、この14の規定が適用されない場合を明示することができる。
15 最大総運転時間(超過勤務を含む。)は、一日について九時間、一週間について四十八時間を超えるべきではない。
16 15に規定する総運転時間は、最高四週間にわたる平均として計算することができる。
17 15に規定する総運転時間は、特に困難な事情の下で行われる運送活動の場合には減ずることができる。各国の権限のある機関は、この活動を定義し、かつ、関係のある運転者について適用される総運転時間を決定することができる。

VIII 一日当たりの休息

18 1及び2の規定に該当する者の一日当たりの休息は、労働日の始業から始まる二十四時間の期間中の少なくとも継続する十一時間とすべきである。
19 一日当たりの休息は、各国の権限のある機関によつて決定される期間にわたる平均として計算することができる。ただし、一日当たりの休息は、いかなる場合においても八時間を下回るべきではない。
20 最低時間数に関する18及び19の規定が遵守されるという条件の下に、各国の権限のある機関は、旅客運送又は貨物運送のいずれが行われるか並びに休息が家庭又はそれ以外の場所のいずれでとられるかに応じ、異なる長さの一日当たりの休息期間を定めることができる。
21 各国の権限のある機関は、二人乗務の車両及び連絡船又は列車を利用する車両の場合には、一日当たりの休息期間の長さ及びその取得の方法に関する18及び19の規定の例外を定めることができる。
22 運転者は、一日当たりの休息期間中において、車両及びその貨物の安全を確保するために必要な予防措置を講じた場合には、車両の中に又はその近くに留(とど)まることを要求されるべきではない。

IX 週休

23 週休の最低限の長さは、一日当たりの休息の前又は後の継続する二十四時間であるべきである。
24 週休は、できる限り、日曜日又は伝統的及び慣習的な休日と一致すべきであり、また、一定の期間内において、各国の権限のある機関によつて決定される一定の回数は家庭でとることが可能であるべきである。
25 長距離運送においては、継続する二週間中の週休を蓄積して取得することが可能であるべきである。適当な場合には、各国の権限のある機関は、二週間を超える期間中の週休を蓄積して取得することを認めることができる。

X 例外及び超過勤務

26(1) 各国の権限のある機関は、次のいずれかの場合において不可欠な作業の遂行のために必要であるときに限り、一時的な例外として、この勧告の前諸項に規定する労働時間の延長、運転時間の延長及び休息期間の長さの短縮を許可することができる。
   (a) 事故、故障、予見されない遅延、運行の乱れ又は交通遮(しゃ)断の場合
   (b) 不可抗力の場合
   (c) 公益事業の業務の運営を確保するために緊急にかつ例外的に必要な場合
  (2) 各国の権限のある機関は、乗務員が、場合に応じ、適当な停車場所又は目的地に到着することができるようにするために必要であるときは、道路交通の安全が損われないことを条件として、この勧告の前諸項に規定する労働時間の延長、運転時間の延長及び休息期間の長さの短縮を許可することができる。
27 各国の権限のある機関は、作業が異常に繁忙な場合には、一時的な例外として、通常の労働時間の延長を許可することができる。
28 通常の時間を超えて労働したすべての時間は、超過勤務として考えられるべきであり、超過勤務として一層高い率で報酬が支払われるか又は、国内法令、労働協約若しくは国内慣行に適合するその他の方法によつて定められるところに従つて、別途補償されるべきである。

XI 監督措置

29 各国の権限のある機関は、
 (a) 個人別管理手帳に関する規定を定め、その交付の条件、その内容及び運転者が保持する方法を定める。
 (b) 26の規定に基づいて作業がなされた時間及びそれを正当化する事情を届け出るための手続を定める。
 (c) 27の規定に基づき労働し得る時間を許可する手続並びに運送作業の性質及び労働時間の計算方法に応じて許可を与えることができる時間数を定めるべきである。
30 各使用者は、
 (a) 各国の権限のある機関によつて承認される様式により、この勧告の適用されるすべての被用者の労働時間及び休息の時間を示す記録を行う。
 (b) 各国の権限のある機関によつて決定される方法に従い、監督機関がこの記録を自由に利用し得るようにすべきである。
31 一定の運送部門にとつて必要であることが判明する場合には、29及び30に規定する伝統的な監督手段は、各国の権限のある機関によつて定められる規程に従つて、できる限りタコグラフのような近代的な手段によつて置き換えられ又は補足されるべきである。
32 各国の権限のある機関は、次の事項のための措置をとるべきである。
 (a) 企業内及び路上での検査を含む適当な監督制度
 (b) この勧告を実施する規定に違反する場合における相当な刑罰

XII 適用の手段及び方法

33(1) この勧告の規定は、国内事情及び各運送部門の必要を考慮の上、法令、労働協約、仲裁裁定若しくはこれらの方法の組合せ又は国内慣行に適合するその他の適当な方法によつて適用することができる。
  (2) 道路交通の安全に直接の関係があるこの勧告の規定、すなわち、最大継続労働時間、運転時間、一日当たりの休息及び監督措置に関する規定は、法令によつて適用することが望ましい。