1983年の社会保障の権利維持勧告(第167号)

ILO勧告 | 1983/06/20

社会保障についての権利の維持のための国際制度の確立に関する勧告(第167号) 

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百八十三年六月一日にその第六十九回会期として会合し、
 均等待遇のみならず取得の過程にあつた権利及び取得された権利の維持にも関連する千九百六十二年の均等待遇(社会保障)条約並びに千九百八十二年の社会保障の権利維持条約により確立された原則を想起し、
 国際労働機関の加盟国の間における二国間又は多数国間の社会保障に関する文書の締結及びこれらの文書の国際的調整を促進することが、特に千九百六十二年の均等待遇(社会保障)条約及び千九百八十二年の社会保障の権利維持条約の適用のために必要であることを考慮し、
 前記の会期の議事日程の第五議題である社会保障の権利の維持に関する提案の採択を決定し、
 その提案が国際勧告の形式をとるべきであると決定して、
 次の勧告(引用に際しては、千九百八十三年の社会保障の権利維持勧告と称することができる。)を千九百八十三年六月二十日に採択する。

1 この勧告において、
 (a) 「加盟国」とは、国際労働機関の加盟国をいう。
 (b) 「法令」とは、法律、命令及び社会保障に関する規程をいう。
 (c) 「難民」とは、地理的な制限なしに、千九百五十一年七月二十八日の難民の地位に関する条約第一条及び千九百六十七年一月三十一日の難民の地位に関する議定書第一条2に規定する者をいう。
 (d) 「無国籍者」とは、千九百五十四年九月二十八日の無国籍者の地位に関する条約第一条に規定する者をいう。
 (e) 「家族の構成員」とは、給付の支給若しくは支払について定める法令により、場合に応じ、家族の構成員として若しくは世帯の構成員として定義され若しくは承認される者又は関係加盟国の間の相互の合意により定められる者をいう。ある者が関係者と生計を共にしているという条件のみに基づき、関係法令により家族の構成員として又は世帯の構成員として定義され又は承認される場合には、この条件は、当該関係者により主な扶養を受けている者については満たされているものとみなす。
 (f) 「遺族」とは、給付の支給について定める法令により、遺族として定義され又は承認される者をいう。ある者が死亡した者と生計を共にしていたという条件のみに基づき関係法令により遺族として定義され又は承認される場合には、この条件は、当該死亡した者により主な扶養を受けていた者については満たされているものとみなす。
 (g) 「居住」とは、通常の居住をいう。
2 二国間又は多数国間の社会保障に関する文書に拘束される加盟国は、相互の合意により、次の事項に関する当該文書の規定の給付を、他の加盟国の国民並びに加盟国の領域内に居住する難民及び無国籍者に拡大するよう努めるべきである。
 (a) 適用する法令の決定
 (b) 取得の過程にあつた権利の維持
 (c) 取得された権利の維持及び給付の外国における支給
3 加盟国は、加盟国の間で及び関係国との間で、一の加盟国の国民又は外国に居住する難民若しくは無国籍者である受給者に対し、障害給付、老齢給付、遺族給付、業務災害に関する年金及び死亡一時金で権利が当該加盟国の法令に基づき取得されるものを支給する上で生じるおそれのある障害を除去するため、適当な運営上の又は財政上の取極を締結すべきである。
4 二国間又は多数国間の社会保障に関する文書に拘束される加盟国の一が、失業給付又は家族給付に関して効力のある法令を有していない場合には、これらの加盟国は、その間で、関係給付に関して効力のある法令を有する加盟国の領域からこのような法令を有していない加盟国の領域に居住を移す者のため又は、このような法令を有する加盟国の法令に基づき家族給付の資格を有する者の家族の構成員がこのような法令を有していない加盟国の領域に居住するときは、当該家族の構成員のため、これらの加盟国において生ずる権利の喪失又は欠如を公平に補償するための適当な取極を締結するよう努めるべきである。
5 千九百六十二年の均等待遇(社会保障)条約、千九百八十二年の社会保障の権利維持条約又は二国間若しくは多数国間の社会保障に関する文書の適用に当たり、支払に責任のある機関がその領域内に位置する国以外の国の領域内に居住する受給者に対して現金給付を支払わなければならない場合には、当該機関は、可能な場合には、特に障害給付、老齢給付、遺族給付及び職業上の負傷に対する年金については、受給者にこれを直接支払うべきである。これらの給付及び年金の移動は、受給者ができる限り迅速にそれを入手することができるよう速やかに行うべきである。間接的支払については、受給者が居住する国において仲介をする機関は、当該受給者が支払われるべき給付を直ちに受領することができるよう最善を尽すべきである。
6 関係加盟国は、二国間又は多数国間の社会保障に関する文書で千九百八十二年の社会保障の権利維持条約第二条一に規定する社会保障の九の部門について定めるものを締結し、当該関係加盟国がそれぞれ拘束される二国間又は多数国間の社会保障に関する文書の調整を促進し、また、適当な場合には、国際労働事務局の援助を得て、このための国際協定を締結するよう努めるべきである。
7 千九百六十二年の均等待遇(社会保障)条約第六条から第八条まで及び千九百八十二年の社会保障の権利維持条約第四条一の規定の適用上、これらの条約に拘束される加盟国は、適当な場合には、二国間又は多数国間の社会保障に関する文書の締結及び調整のため作成された、この勧告に付された模範規定及び模範協定を考慮すべきである。
8 関係加盟国は、7の条約の少なくとも一によつて未だ拘束されていない場合においても、適当な場合には、この勧告に付された模範規定及び模範協定を考慮の上、千九百八十二年の社会保障の権利維持条約に規定する国際制度に参加するよう努めるべきである。

附属書 Ⅰ

 二国間又は多数国間の社会保障に関する文書の締結のための模範規定

Ⅰ 定義

第 一 条

 この模範規定の適用上、
 (a) 「法令」とは、法律、命令及び社会保障に関する規程をいう。
 (b) 「権限のある締約国」とは、関係者が給付を請求することのできる法令を有する締約国をいう。
 (c) 「権限のある当局」とは、大臣又はこれに相当するその他の当局で各締約国の領域の全部又は一部において社会保障制度に責任を有するものをいう。
 (d) 「機関」とは、締約国の法令の全部又は一部を適用することにつき直接責任を有する団体又は当局をいう。
 (e) 「権限のある機関」とは、次の機関をいう。
  (i)  社会保障制度については、関係者が給付を請求する場合に保障を受ける機関若しくは関係者が給付を受ける資格を与える機関又はその機関が存在する締約国の領域内に関係者が居住している場合には、関係者が給付を受ける資格を与える機関若しくは関係締約国の権限のある当局が指定した機関
  (ii)  社会保障制度以外の制度又は家族給付制度については、関係締約国の権限のある当局が指定した機関
  (iii) 使用者に課せられた義務から成る制度については、使用者若しくはその保険者又は、それが不在の場合には、関係締約国の権限のある当局が指定した団体若しくは当局をいう。
 (f) 「共済基金」とは、強制的貯蓄制度をいう。
 (g) 「家族の構成員」とは、給付の支給若しくは支払について定める法令により、場合に応じ、家族の構成員として若しくは世帯の構成員として定義され若しくは承認される者又は関係締約国の間の相互の合意により定められる者をいう。ある者が関係者と生計を共にしているという条件のみに基づき、関係法令により家族の構成員として又は世帯の構成員として定義され又は承認される場合には、この条件は、当該関係者により主な扶養を受けている者については満たされているものとみなす。
 (h) 「遺族」とは、給付の支給について定める法令により、遺族として定義され又は承認される者をいう。ある者が死亡した者と生計を共にしていたという条件のみに基づき、関係法令により遺族として定義され又は承認される場合には、この条件は、当該死亡した者により主な扶養を受けていた者については満たされているものとみなす。
 (i) 「居住」とは、通常の居住をいう。
 (j) 「一時的な居住」とは、一時的な滞在をいう。
 (k) 「居住の地の機関」とは、当該機関が適用する締約国の法令に基づき、関係者の居住の地において関係給付を支給する権限を有する機関又は、このような機関が存在しない場合には、関係締約国の権限のある当局が指定した機関をいう。
 (l) 「一時的な居住の地の機関」とは、当該機関が適用する締約国の法令に基づき、関係者の一時的な居住の地において関係給付を支給する権限を有する機関又は、このような機関が存在しない場合には、関係締約国の権限のある当局が指定した機関をいう。
 (m) 「保険期間」とは、拠出期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間であつて、これらの期間の満了について定める法令により保険期間として定義され又は承認されるもの及び当該法令により保険期間と同等とみなされるその他の期間をいう。
 (n) 「雇用期間」及び「職業活動期間」とは、これらの期間の満了について定める法令により、雇用期間及び職業活動期間として定義され又は承認される期間及び当該法令により雇用期間又は職業活動期間と同等とみなされるその他の期間をいう。
 (o) 「居住期間」とは、その期間の満了について定める法令により、居住期間として定義され又は承認される期間をいう。
 (p) 「給付」とは、関係給付事由に関して支給されるすべての現物給付及び現金給付をいい、死亡一時金及び次の給付を含む。
  (i)  現物給付については、社会保障の適用を受ける給付事由の予防、身体リハビリテーション及び職業リハビリテーションを目的とする給付
  (ii) 現金給付については、公の基金から支給されるすべての構成要素及びすべての増額、再評価手当又は補足手当並びに所得能力の維持又は改善のため支給される給付、年金に代えて支払うことができる一時金給付及び、適用することができる場合には、拠出金の償還により行う支払
 (q) (i) 「家族給付」とは、家族の扶養費用を補足するために与える現物給付又は現金給付(家族手当を含む。)をいう。ただし、年金の受給者の家族の構成員に支給する年金の増額分又は補足分を除く。
   (ii) 「家族手当」とは、子の数及び年齢に応じ与えられる定期的現金給付をいう。
(r) 「死亡一時金」とは、死亡の場合に支払われる一時金をいい、(p) (ii)に掲げる一時金給付を除く。
 (s) 「無拠出制」は、その支給が保護対象者若しくはその使用者の直接の費用分担又は職業活動による資格期間に基づかない給付について及び専らその給付を支給する制度について適用する。

Ⅱ 適用法令

第 二 条

1 その領域において被用者が雇用されている締約国の法令の適用に関する一般規定にかかわらず(注)、この1に規定する被用者について適用する法令は、次の規定に従つて決定する。
注 千九百八十二年の社会保障の権利維持条約第五条1(a)参照
 (a) (i)  一の締約国の領域においてその通常の使用者である企業が雇用する被用者であつて、当該企業が他の締約国の領域におけるその作業のために派遣するものは、引き続き当該一の締約国の法令の適用を受ける。ただし、作業の予定期間が関係締約国の間の相互の合意により定められる期限を超えないこと及び被用者が外国における仮解雇の期間を終了したその他の被用者の代わりに派遣されるものでないことを条件とする。
   (ii) 遂行されるべき作業が、予測することができない事情により、定められる期限を超えて当初に予定した期間よりも長期間続く場合には、作業が終了するまでの間、当該一の締約国の法令を引き続き適用することができる。ただし、当該他の締約国の権限のある当局又はその当局が指定した団体の同意を条件とする。
(b) (i)  一の締約国の領域内に登録した事務所を有する企業であつて、他の代理人として又は自らのため、鉄道、道路、空路又は内陸水路により乗客又は貨物を輸送するものに勤務する旅行職員として、二以上の締約国の領域内の国際輸送機関に雇用される被用者は、当該一の締約国の法令の適用を受ける。
   (ii) ただし、(i)の被用者が、その領域内に(i)の企業が登録した事務所を有する締約国以外の一の締約国の領域内に当該企業が有する支店又は常設代理店に雇用されている場合には、その被用者は、その領域内に当該支店又は当該常設代理店がある締約国の法令の適用を受ける。
   (iii)  (i)の被用者が、その居住する締約国の領域において主として雇用されている場合には、その被用者を雇用する企業が当該領域内に登録した事務所又は支店若しくは常設代理店のいずれをも有していないときであつても、この被用者は、当該締約国の法令の適用を受ける。
 (c) (i) 国際輸送に従事する被用者以外の被用者であつて、通常二以上の締約国の領域内で職業に従事するものは、その職業が部分的に当該被用者の居住する領域内で遂行される場合又は当該被用者がいくつかの企業若しくはいく人かの使用者であつて異なつた締約国の領域内にその登録した事務所若しくはその居住の地を有するものに雇用される場合には、その領域内に当該被用者が居住する締約国の法令の適用を受ける。
   (ii) (i)以外の場合には、これらの被用者は、これを雇用する企業がその領域内に登録した事務所を有し又はその使用者がその領域内に居住の地を有する締約国の法令の適用を受ける。
 (d) 一の締約国の領域において、他の締約国の領域内にその登録した事務所を有する企業であつてその敷地が関係締約国の共通の国境にまたがつて存在するものに雇用される被用者は、当該企業がその領域内に登録した事務所を有する締約国の法令の適用を受ける。
2 その領域において自営業者が職業に従事する締約国の法令の適用に関する一般規定にかかわらず(注)、この2に規定する自営業者に適用することができる法令は、次の規定に従つて決定する。
注 千九百八十二年の社会保障の権利維持条約第五条1(b)参照
 (a) 一の締約国の領域内に居住し、かつ、他の締約国の領域において職業に従事する自営業者は、次のいずれかの場合には、当該一の締約国の法令の適用を受ける。
  (i)  当該他の締約国がこれらの自営業者に適用する法令を有していない場合
  (ii) 関係締約国のそれぞれの法令により、自営業者が、これらの締約国の領域内に居住しているという理由のみによつて当該法令の適用を受ける場合
 (b) 通常二以上の締約国の領域において職業に従事している自営業者がその居住する領域において部分的に働いている場合又はそのような自営業者がその領域内に居住する締約国の法令に基づき、当該締約国の領域内に居住しているという理由のみによつて当該法令の適用を受ける場合には、当該自営業者は、その居住する締約国の法令の適用を受ける。
 (c)  (b)の自営業者がその居住する締約国の領域において部分的に働いていない場合、そのような自営業者が当該締結国の法令により、居住しているという理由のみによつてその適用を受けない場合又は当該締約国がそのような自営業者に適用する法令を有していない場合には、当該自営業者は、関係締約国又はその権限のある当局が相互に合意した法令の適用を受ける。
3 1及び2の規定に基づき、労働者が、締約国であつて当該労働者がその領域において、雇用されておらず、職業に従事しておらず又は居住していないものの法令の適用を受ける場合には、当該法令は、場合に応じ、当該労働者が当該締約国の領域において、雇用され、職業に従事し又は居住しているものとして、当該労働者について適用する。
4 締約国の権限のある当局は、関係者のため、相互の合意により、1から3までの規定以外の規定を定めることができる。

Ⅲ 取得の過程にあつた権利の維持

    A 期間の通算

      1 医療、疾病給付、母性給付及び家族給付

第 三 条

 一の締約国の法令が、保険期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間の満了を給付を受ける権利の取得、維持又は回復の条件とする場合には、当該法令を適用する機関は、期間を通算するため、必要な範囲内で、保険期間、雇用期間、職業活動期間及び居住期間で他の締約国の対応する法令により満了するものが重複しない限り、当該一の締約国の法令により満了したものとして、これらの期間を考慮する。

      2 失業給付

第 四 条

1 一の締約国の法令が、保険期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間の満了を給付を受ける権利の取得、維持又は回復の条件とする場合には、当該法令を適用する機関は、期間を通算するため、必要な範囲内で、保険期間、雇用期間、職業活動期間及び居住期間で他の締約国の対応する法令により満了するものが重複しない限り、当該一の締約国の法令により満了したものとして、これらの期間を考慮する。
2 もつとも、給付を受ける権利の確立のため保険期間の満了を必要とする法令を有する一の締約国の機関は、雇用期間又は職業活動期間で他の締約国の対応する法令により、満了したものを通算することができる。ただし、雇用期間又は職業活動期間が当該一の締約国の法令により満了した場合には、その期間は保険期間とみなされることを条件とする。
3 1及び2の規定は、一の締約国の法令が、給付が支給される期間の長さは、満了した期間の長さに基づくことを規定している場合について準用する。

      3 障害給付、老齢給付及び遺族給付

第 五 条

1 一の締約国の法令が、保険期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間の満了を給付を受ける権利の取得、維持又は回復の条件とする場合には、当該法令を適用する機関は、期間を通算するため、保険期間、雇用期間、職業活動期間及び居住期間で他の締約国の対応する法令により満了するものが重複しない限り、当該一の締約国の法令により満了したものとして、これらの期間を考慮する。
2 一の締約国の法令が、関係者若しくは、遺族給付の場合には、死亡した者が給付事由が生じた時点で当該法令の適用を受けていたことを給付の支給条件とする場合には、この条件は、場合に応じ、当該関係者若しくは当該死亡した者がその時点で他の一の締約国の法令の適用を受けていた場合又はこれと異なる場合において、当該関係者若しくは遺族が他の一の締約国の法令に基づき対応する給付を請求することができるときは、満たされているものとみなす。
3 一の締約国の法令が、給付を受ける権利の取得、維持又は回復に当たり年金の支払い期間を考慮することができることを規定している場合には、当該締約国の権限のある機関は、このため、年金が他の締約国の法令に基づき支払われた期間を考慮する。

      4 共通規定

第 六 条

 一の締約国の法令が、特別な制度の適用を受ける職業、特定の職業又は特定の雇用に係る期間の満了をある給付の支給条件とする場合には、その給付の支給に当たつては、対応する制度により又は、そのような制度がない場合には、場合に応じ、同一の職業又は同一の雇用に関し満了した期間で他の締約国の法令によるもののみを考慮する。このようにして満了した期間にかかわらず、関係者が当該給付の資格に係る条件を満たしていない場合には、一般の制度又は、そのような制度がない場合には、適当なときは、賃金労働者若しくは俸給被用者に適用する制度に基づく給付の支給に当たつては、関係期間を考慮する。

    B 障害給付、老齢給付及び遺族給付の決定

第 七 条

 障害給付、老齢給付及び遺族給付の決定は、関係締約国の間の相互の合意によりなされる選択に従い、割当て又は統合のいずれかの方式により行う。

選択Ⅰ 割当て方式

    1 共通規定

第 八 条

1 一人の者が継続して又は断続的に二以上の締約国の法令の適用を受けていた場合には、これらの締約国のそれぞれの機関は、その適用する法令に従い、適当な場合には、第五条の規定に留意して、当該者又はその遺族が給付を受ける権利に係る条件を満たしているかいないかを決定する。
2 関係者が1の条件を満たしている場合には、給付又はその一部の額が満了した期間に比例することを規定する法令を有する締約国の権限のある機関は、3から6までの規定にかかわらず、当該権限のある機関が適用する法令により満了した期間にのみ基づき、これらの給付又はその一部を直接算定することができる。
3 関係者が1の条件を満たしている場合には、他の締約国の権限のある機関は、すべての関係締約国の法令により満了した期間で第五条の規定に基づく資格の確立に当たつて考慮されたもののすべてが、当該権限のある機関が適用する法令のみにより満了したとき、当該関係者が請求することのできる給付の定義上の額を算定する。
4 ただし、
 (a) その額が満了した期間の長さに基づかない給付の場合には、この額は、3の定義上の額とする。
 (b) その額が満了した期間の長さに基づかない無拠出制給付の場合には、3の定義上の額は、給付の全額に基づき及びこれを上限として、次の比率により計算することができる。
  (i)  障害又は死亡の場合には、給付事由が生ずる前にすべての関係締約国の法令により関係者又は死亡した者により満了された期間で第五条の規定に従い考慮されるすべてのものの、当該関係者又は当該死亡した者が十五歳以上の年齢で関係締約国の間の相互の合意により定められたものに達した日と、場合に応じ、障害又は死亡を伴う労働不能が生じた日との間に経過した年数の三分の二の年数に対する比率(年数の計算に当たつては、年金受給開始年齢後の年数を除く。)
  (ii) 老齢の場合には、すべての関係締約国の法令により関係者により満了された期間で第五条の規定に従い考慮されるすべてのものの、三十年に対する比率(年数の計算に当たつては、年金受給開始年齢後の年数を除く。)
5 3の機関は、その後、適当な場合には、3又は4の規定に従い算定する定義上の額に基づき及び給付事由が生ずる前に当該機関が適用する法令により満了した期間の、すべての関係締約国の法令により給付事由が生ずる前に満了した全期間に対する比率により、当該者に対して当該機関が支払うべき給付の実際の額と算定する。
6 給付事由が生ずる前にすべての関係締約国の法令により満了した全期間が、これらの締約国のうちの一の締約国の法令により給付の全額の受領のため要求される最大限の期間を超える場合には、当該一の締約国の機関は、3及び5の規定の適用に当たり、満了した全期間に代えて当該最大限の期間を考慮する。もつとも、当該機関が適用する法令により支給される給付の全額を超える額の給付の支給を義務づけるものではない。

第 九 条

1 第八条の規定にかかわらず、一の締約国の法令により満了した全期間の長さが一年を超えない場合及び、その期間のみを考慮して、当該法令に基づき給付を受ける権利がない場合には、関係締約国の機関は、当該期間に係る給付の支給を義務づけられない。
2 1に規定する期間は、第八条の規定(5の規定を除く。)の適用上、他の関係締約国のそれぞれの機関により考慮される。
3 ただし、1の規定の適用がすべての関係機関の給付の支給の義務を免除する効力を有する場合には、給付は、
 (選択A)
 専ら、第五条の規定に留意して、関係者がその条件を満たす最後の締約国の法令により、1の全期間が当該締約国の法令により満了したものとして支給される。
 (選択B)
 第八条の規定に従い決定される。

第 十 条

1 関係者が、ある時点において、すべての関係締約国の法令により要求される条件を満たしていないが、第五条の規定に留意して、これらの締約国のうちの一以上の締約国のみの法令の条件を満たしている場合には、次の規定を適用する。
 (a) 支払うべき給付の額は、適当な場合には、第八条2又は3から6までの規定に従い、その条件が満たされる法令を適用する権限のある機関のそれぞれが算定する。
 (b) ただし、
  (i)  関係者が、その条件が満たされていない法令により満了した期間を含める必要なしに、少なくとも二の締約国の法令の条件を満たしている場合には、その期間は、第八条3から6までの規定の適用上考慮されない。
  (ii) 関係者が、第五条の規定を援用する必要なしに、一の締約国のみの法令の条件を満たしている場合には、支払うべき給付の額は、専らその条件が満たされる法令の規定に従い、当該法令のみにより満了した期間を考慮して、算定する。
2 1の適用を受ける場合において、一以上の関係締約国の法令に基づき支給される給付は、第八条2の規定に従い又は、他の関係法令によつて定められる条件が満たされる場合には、適当なときは、第五条の規定に留意して、第八条3から6までの規定に従つて自動的に再算定する。
3 二以上の締約国の法令に基づき支給される給付は、これらの締約国のうちの一以上の締約国の法令によつて定められる条件が満たされなくなつた場合には、受給者の要請により、1の規定に従つて再算定する。

第 十 一 条

1 一人の者が、第五条及び第八条から第十条までの規定に留意することなしに一の締約国の法令に基づき請求する資格を有する給付の額が、これらの規定に従つて、支払うべき給付の全額を超える場合には、当該一の締約国の権限のある機関は、二の額の間の差に等しい補足給付を支払う。この場合には、当該権限のある機関は、補足給付の費用の全額を負担する。
 (選択A)
2 1の規定の適用が二以上の締約国の機関から補足給付の支払を受ける資格を関係者に付与する効力を有する場合には、当該関係者は、最大の額のもののみを受領する。この補足給付の費用は、関係締約国の権限のある各機関のみが関係する場合に支払わなければならない補足給付の額とこれらの機関のすべてが支払わなければならない補足給付の総額との間の比率に従いこれらの機関の間に割り当てる。
 (選択B)
2 1の規定の適用が二以上の締約国の機関から補足給付の支払を受ける資格を関係者に付与する効力を有する場合には、当該関係者は、第八条3又は4の規定に従いこれらの機関が算定する最も高い定義上の額の限度内においてのみその補足給付を受領する。給付及び補足給付の総額が最も高い定義上の額を超える場合には、関係締約国の各機関は、その支払わなければならない補足給付の額とこれらの機関のすべてが支払わなければならない補足給付の総額との間の比率に従つて決定される超過の一部分により、当該各機関が支払わなければならない補足給付の額を減ずることができる。
3 1及び2に規定する補足給付は、支払に責任を有する機関が支給する給付の構成部分とみなされる。補足給付の額は、第十条2又は3の規定を適用する場合を除き、一回に限り決定される。

    2 障害給付及び遺族給付に関する特別規定

第 十 二 条

1 一の締約国のみの法令に基づき給付を受ける者の障害が悪化した場合には、次の規定を適用する。
 (a) 関係者が、給付の受領開始以降他の締約国の法令の適用を受けていない場合には、当該一の締約国の権限のある機関は、給付を支給するに当たり、当該権限のある機関が適用する法令の規定に従い、この悪化について考慮するよう義務づけられる。
 (b) 関係者が、給付の受領開始以降他の一以上の締約国の法令の適用を受けている場合には、給付を支給するに当たり、第五条及び第八条から第十一条までの規定に従つてこの悪化について考慮する。
 (c)  (b)の場合には、悪化の現われた日を給付事由が生じた日とみなす。
 (d)  (b)の場合において、当該関係者が他の一の締約国の機関から給付を受ける資格を有していないときは、当該一の締約国の権限のある機関は、給付を支給するに当たり、当該権限のある機関が適用する法令の規定に従い、この悪化について考慮するよう義務づけられる。
2 二以上の締約国の法令に基づき給付を受領する者の障害の悪化の場合には、第五条及び第八条から第十一条までの規定に従つて給付を支給するに当たつてその悪化を考慮する。この場合には、1(c)の規定を準用する。

第 十 三 条

1 障害給付又は遺族給付は、適当な場合には、これらの給付が支給される法令によつて定められる条件に基づき、また、第五条及び第八条から第十一条までの規定に従つて、老齢給付に転換する。
2 第十条の場合において、障害給付又は遺族給付で一以上の締約国の法令に基づき支払うべきものの受領者が老齢給付を受ける資格を有するに至つたときは、障害給付及び遺族給付の支払いに責任を有する機関は、1の規定を当該機関に対して適用するに至る時点まで、当該受領者に対し、当該機関が適用する法令に基づき当該受領者が受ける資格を有する給付の支払を継続する。

選択Ⅱ 統合方式

    方法A 居住と関連付けられた統合

第 十 四 条

1 一人の者が継続して又は断続的に二以上の締約国の法令の適用を受ける場合には、当該者又はその遺族は、その領域内に居住する締約国の法令により決定される給付のみを受ける資格を有する。ただし、これらの者が、適当な場合には、第五条の規定に留意して、当該締約国の法令又は関係締約国が定める条件を満たすことを条件とする。
2 1の規定に従つて決定される給付の費用は、次のいずれかによつて定められる。
 (a) 関係者がその領域内に居住する締約国の機関が全額負担する。ただし、この規定の適用は、当該者がその給付の請求の提出の日において又は、遺族給付の場合には、死亡した者がその死亡の日において、関係締約国の間の相互の合意により定められた最低限の期間、当該領域内に居住していたことを条件とすることができる。
 (b) 給付事由が生ずる前にすべての関係締約国の各機関が適用する法令により満了した期間の長さと給付事由が生ずる前にすべての関係締約国の法令により満了した全期間の長さとの間の比率に従つて、これらの機関の間に割り当てる。
 (c) 関係者がその領域内に居住する締約国の機関が負担する。ただし、給付の支払に責任を有しない各締約国の制度における当該関係者の参加に基づき、これらのすべての締約国の間で合意された一時金に係る取極に従い、他の関係締約国の機関により補償される。
3 関係者が1に規定する締約国の法令の条件を満たしていない場合又は当該法令が障害給付、老齢給付若しくは遺族給付の支給を規定していない場合には、当該関係者は、適当な場合には、第五条の規定に留意して、他の締約国の法令に基づき受ける資格を有する給付のうち最も有利な給付を受領する。

    方法B 障害又は死亡の発生と関連付けられた統合(注)

注 この方法は、対象となる者が専ら給付の額が満了した期間の長さに基づかない法令により期間を満了した場合に限定することができる。

第 十 五 条

1 一人の者が継続して又は断続的に二以上の締約国の法令の適用を受ける場合には、当該者又はその遺族は、2から4までの規定に従い給付を受ける資格を有する。
2 障害又は死亡を伴う労働不能が生じた場合にその法令を適用する締約国の機関は、適当な場合には、第五条の規定に留意して、関係者が給付を受ける権利に係る条件を満たしているかいないかを当該法令の規定により決定する。
3 2の条件を満たす関係者は、当該機関が適用する法令の規定に従つて、当該機関からのみ給付を受ける。
4 関係者が2に規定する締約国の法令を満たしていない場合又は当該法令が障害給付若しくは遺族給付を規定していない場合には、当該関係者は、第五条の規定を適用することができる場合には、同条に留意して、他の締約国の法令に基づき受ける資格を有する最も有利な給付を受領する。

第 十 六 条

 第十二条1の規定は、準用する。

    C 職業病に関する給付の決定

第 十 七 条

1 一人の労働者が、二以上の締約国の法令の下で職業病を引き起こすおそれがある職業に従事した後、その職業病にかかつた場合において、当該労働者又はその遺族が受ける資格を有する給付は、2から4までの規定を適用することができるときには、これらの規定に留意して、専らこれらの締約国のうち最後の締約国の法令で当該労働者又はその遺族がその条件を満たしているものに基づき支給する。
2 一の締約国の法令が、職業病がその領域において最初に診断されたことを当該職業病に係る給付の権利を有する条件とする場合において、当該職業病が他の一の締約国の領域において最初に診断されたときは、その条件は満たされたものとみなす。
3 一の締約国の法令が、明示的又は黙示的に、職業病がその原因となるおそれのある最後の職業の終了後の所定の期間内に診断されたことを当該職業病に係る給付の権利のための条件とする場合には、当該締約国の権限のある機関は、当該職業に従事していた期間を確認するに当たり、必要な範囲内で、他の締約国の法令の下で従事していた同種の職業を、当該締約国の法令の下で従事していたものとして考慮する。
4 一の締約国の法令が、明示的又は黙示的に、職業病の原因となるおそれのある職業に所定の期間就いていたことを当該職業病に係る給付を受ける資格のための条件とする場合には、当該締約国の権限のある機関は、期間を通算するに当たり、必要な範囲内で、他の締約国の領域において当該職業に就いていた期間を考慮する。
5 3又は4の規定が適用される場合には、職業病に関し、
 (選択Ⅰ) 給付の費用
 (選択Ⅱ) 年金の費用
は、関係締約国の間に次の比率に応じ割り当てることができる。
 (選択A) これらの締約国のそれぞれの法令の下で危険にさらされる期間の長さとこれらの締約国の法令の下で危険にさらされる全期間の長さの間の比率
 (選択B) これらの締約国のそれぞれの法令により満了した期間の長さとこれらの締約国の法令により満了した全期間の長さの間の比率
 (選択C) その法令の下で危険にさらされる期間の長さが、これらの締約国の法令の下で危険にさらされる全期間の長さに対する百分率でこれらの関係締約国の間の相互の合意により定められるものに達した締約国の間における等しい比率

第 十 八 条

 職業病にかかつた労働者が一の締約国の機関から補償を受けていた又は、受けている場合において、その症状の悪化のときに、他の一の締約国の機関から受ける給付を請求するときは、次の規定を適用する。
 (a) 当該労働者が当該他の一の締約国の法令の下で当該職業病の原因となるおそれのある又は当該職業を悪化させるおそれのある職業に従事していない場合には、当該一の締約国の権限のある機関は、その適用する法令の規定に従い、症状の悪化について考慮して、当該給付の費用を負担する。
 (b) 当該労働者が当該他の一の締約国の法令下で(a)の職業に従事していた場合には、当該一の締約国の権限のある機関は、その適用する法令の規定に従い、症状の悪化について考慮することなしに、当該給付の費用を負担する。この場合には、当該他の一の締約国の権限のある機関は、当該労働者に対し、その悪化の後に支払われるべき給付の額と、当該他の一の締約国の法令の下で当該職業病にかかつたとすれば、当該機関が適用する法令の規定に従い悪化の前に支払われたであろう額との間の差に等しい額の補足給付を支給する。

Ⅳ 取得した権利の維持及び給付の外国での支給

    1 医療、疾病給付、母性給付及び職業上の負傷及び疾病に関する年金以外の給付

第 十 九 条

1 権限のある締約国以外の一の締約国の領域内に居住する者で、当該権限のある締約国の法令が定める給付の権利に係る条件を満たしているものは、適当な場合には、第三条の規定に留意して、当該者が居住する締約国の領域において、次の給付を受領する。
 (a) 居住の地の機関が適用する法令の規定に従い、当該者が当該機関の管轄の下にあるものとして、当該機関が権限のある機関の費用により支給する現物給付
 (b) 権限のある機関が適用する法令の規定に従い、当該者が権限のある締約国の領域内に居住するものとして、当該権限のある機関が支給する現金給付。もつとも、現金給付は、当該権限のある機関とその居住の地の機関との間の合意により、当該権限のある機関に代り、当該居住の地の機関を通じて支払うことができる。
2 1の規定は、家族の構成員で権限のある締約国以外の一の締約国の領域内に居住するものに対する医療、疾病給付及び母性給付について準用する。
3 給付は、辺境労働者及びその家族の構成員に対しても、権限のある締約国の領域内の権限のある機関が、当該締約国の法令の規定に従い、これらの者が当該領域内に居住するものとして、支給することができる。

第 二 十 条

 (選択Ⅰ)
1 権限のある締約国の法令に基づく給付を受ける権利に係る条件を、適当な場合には、第三条の規定に留意して、満たしている者のうち次の(a)から(c)までのいずれかの者は、次の(i)又は(ii)の給付を受領する。
 (a) 権限のある締約国以外の一の締約国の領域内での一時的居住の間における給付の即座の支給を必要とする事情がある者
 (b) 権限のある機関が支払うべき給付を受ける資格を有するに至つた者で、権限のある締約国以外の一の締約国でその居住するものの領域に戻ること又は権限のある締約国以外の一の締約国の領域内にその居住を移転することを当該機関が承認しているもの
 (c) その条件により要求される待遇を受けるため、権限のある締約国以外の一の締約国の領域に行くことを権限のある機関が承認している者
 (i)  居住又は一時的居住の地の機関が適用する法令の規定に従い、当該者が当該機関の管轄の下にあるものとして、当該機関が権限のある機関の費用により、権限のある締約国の法令により定められる期間を超えない期間、支給する現物給付
 (ii) 権限のある機関が適用する法令の規定に従い、当該者が権限のある締約国の領域内にいるものとして、当該権限のある機関が支給する現金給付。もつとも、現金給付は、当該権限のある機関と居住又は一時的居住の地の機関との間の合意により、当該権限のある機関に代り、当該居住又は一時的居住の地の機関を通じて支払うことができる。
2(a) 1(b)の承認は、その措置が当該者の健康又は治療の進行を阻害するおそれがある場合に限り、拒否することができる。
 (b) 1(c)の承認は、当該者が居住する締約国の領域において必要な待遇が与えられることができない場合には、拒否されてはならない。
3 1及び2の規定は、医療、疾病給付及び母性給付に関して家族の構成員について準用する。

 (選択Ⅱ)
1 権限のある締約国の法令に基づく給付の権利に係る条件を、適当な場合には、第三条の規定に留意して、満たしている者のうち次の(a)から(c)までのいずれかの者は、次の(i)又は(ii)の給付を受領する。
 (a) 権限のある締約国以外の一の締約国の領域内での一時的居住の間における給付の即座の支給を必要とする事情がある者
 (b) 権限のある機関が支払うべき給付を受ける資格を有するに至つた者で、権限のある締約国以外の一の締約国でその居住するものの領域に戻り又は権限のある締約国以外の一の締約国の領域にその居住を移転するもの
 (c) その条件により要求される待遇を受けるため、権限のある締約国以外の一の締約国の領域に行く者
 (i)  居住又は一時的居住の地の機関が適用する法令の規定に従い、当該者が当該機関の管轄の下にあるものとして、当該機関が支給する現物給付
 (ii) 権限のある機関が適用する法令の規定に従い、当該者が権限のある締約国の領域内にいるものとして、当該権限のある機関が支給する現金給付。もつとも、現金給付は、当該権限のある機関と居住又は一時的居住の地の機関との間の合意により、当該権限のある機関に代り、当該居住又は一時的居住の地の機関を通じて支払うことができる。
1 2の規定は、医療、疾病給付及び母性給付に関して家族の構成員について準用する。

    2 失業給付

第 二 十 一 条

1 保険期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間の満了に関して、一の締約国の法令が定める給付の権利に係る条件を、適当な場合には、第四条の規定に留意して、満たしている失業した労働者であつて、その居住を他の一の締約国の領域内に移転するものは、当該労働者が当該他の一の締約国の領域において雇用機関を利用すること及びその居住の移転後三十日以内に又は三十日を超える期間で両締約国の間の相互の合意により定められたもの以内に新しい居住の地の機関に請求することを条件として、当該他の一の締約国の法令が定める給付の権利に係る条件をも満たすものとみなす。当該給付は、居住の地の機関が適用する法令の規定に従い、当該居住の地の機関が、当該一の締約国の権限のある機関が費用を負担することにより(選択Ⅰ~Ⅲ)期間支払う。
 (選択Ⅰ) 当該締約国の法令が定めることができる期間を超えない期間
 (選択Ⅱ) 二の関係締約国のそれぞれの法令が定める期間のうち短い方の期間を超えない期間
 (選択Ⅲ) 両締約国の間の相互の合意により定められる期間を超えない期間
2 1の規定の適用を妨げることなく、その最後の雇用の間、権限のある締約国以外の一の締約国の領域内に居住していた者で失業したものは、次の規定に従い給付を受領する。
 (a) (i)  雇用されている企業において部分的に又は付随的に失業している辺境労働者は、適当な場合には、第四条の規定に留意して、権限のある締約国の法令の規定に従い、当該労働者が当該権限のある締約国の領域内に居住しているものとして、給付を受領する。この場合には、給付は、権限のある機関が支払う。
   (ii) 完全に失業している辺境労働者は、適当な場合には、第四条の規定に留意して、その領域内に当該労働者が居住する締約国の法令の規定に従い、当該労働者が、その最後の雇用の間、当該法令の適用を受けていたものとして、給付を受領する。この場合には、給付は、居住の地の機関がその費用により支払う。
 (b) (i)  辺境労働者以外の労働者で、部分的に、付随的に又は完全に失業するに至り及び引き続きその使用者により使用されることができ又は権限のある締約国の領域において雇用機関を利用することができるものは、適当な場合には、第四条の規定に留意して、権限のある締約国の法令の規定に従い、当該労働者が当該権限のある締約国の領域内に居住していたものとして、給付を受領する。この場合には、給付は、権限のある機関が支払う。
   (ii)  辺境労働者以外の労働者で、完全に失業するに至り及びその居住する締約国の領域において雇用サービスを利用することができ又は当該領域に戻るものは、適当な場合には、第四条の規定に留意して、当該締約国の法令の規定に従い、当該労働者が、その最後の雇用の間、当該法令の適用を受けていたものとして、給付を受領する。この場合には、給付は、居住の地の機関がその費用により支払う。
   (iii) ただし、(ii)の労働者が最後にその法令の適用を受けていた締約国の権限のある機関から給付を受ける資格を有するに至つた場合には、当該労働者は、1の規定に従い、(ii)に規定する締約国の領域内にその居住を移転したものとして、1に規定する期間を超えない期間、給付を受領する。
3 失業した者が2(a) (i)又は(b) (i)の規定により給付を受ける資格を有する場合には、当該者は、その領域内に居住する締約国の法令に基づき、給付を受ける資格を有しない。

    3 家族給付

選択Ⅰ 家族手当

第 二 十 二 条

1 一の締約国の法令の適用を受ける者は、適当な場合には、第三条の規定に留意して、その家族の構成員で他の一の締約国の領域内に居住するものに関し、これらの構成員が当該一の締約国の領域内に居住するものとして、当該一の締約国の法令に基づき支給される家族手当を受領する。
2 家族手当が支払われるべき者又は法人が他の締約国の領域内に居住し又は存在する場合においても、当該家族手当は、受給者が適用を受ける締約国の法令の規定に従つて支払う。この場合には、家族手当は、権限のある機関と家族の構成員の居住の地の機関との間の合意により、当該権限のある機関に代り、当該居住の地の機関を通じて支払うこともできる。

選択Ⅱ 家族給付

第 二 十 三 条

 (選択A)
1 一の締約国の法令の適用を受ける者は、適当な場合には、第三条の規定に留意して、その家族の構成員で他の一の締約国の領域内に居住するものに関し、当該他の一の締約国の法令に基づき支給される家族給付を、当該者が当該法令の適用を受けるものとして受領する。
2 家族給付は、権限のある機関が支払うべき給付の額を超えない額において、当該権限のある機関の費用により、家族の構成員の居住の地の機関が適用を受ける法令の規定に従い、当該居住の地の機関が当該家族の構成員に支払う。
 (選択B)
 一の締約国の領域内で労働し又は居住する者の家族の構成員が他の一の締約国の領域内に居住する場合には、家族給付は、当該家族の構成員の居住の地の機関がその費用により、当該家族の構成員に支払う。

    4 無拠出制の障害給付、老齢給付及び遺族給付

第 二 十 四 条

 (選択Ⅰ)
 第八条の規定が適用されない場合には、無拠出制の障害給付、老齢給付及び遺族給付であつてその額が満了した居住期間の長さに基づくものではないものの受給者が、その法令に基づき給付を受ける資格を有する締約国以外の締約国の領域内に居住するときは、給付は、次の比率により算定することができる。
 (a) 障害又は死亡の場合には、その者又は死亡した者が十五歳以上の年齢で関係締約国の間の相互の合意により定められたものに達した日と障害又は死亡を伴う労働不能の日との間において当該法令により当該者又は死亡した者により満了された居住の年数の、これらの二の日の間の三分の二の年数に対する比率(年数の計算に当たつては、年金受給開始年齢後の年数を除く。)
 (b) 老齢の場合には、その者が十五歳以上の年齢で関係締約国の間の相互の合意により定められたものに達した日と当該者が年金受給開始年齢に達した日との間において当該法令により満了した居住の年数の、三十年に対する比率

 (選択Ⅱ)
 第八条の規定が適用されない場合には、一の締約国の法令が障害給付、老齢給付又は遺族給付であつて拠出制のもの及び無拠出制のものの双方を規定しているときは、無拠出制の障害給付、老齢給付又は遺族給付の額が居住期間の長さに基づかないものは、他の一の締約国の領域内に居住する受給者が資格を得るため要求される全期間の長さを満了していれば、当該受給者が資格を有している拠出制の給付の、当該受給者が資格を付与された拠出制の給付の総額に対する比率と同一の比率により、当該受給者に支払われる。

Ⅴ 不当な重複の規則

第 二 十 五 条

 給付の減額、停止若しくは抑制で他の給付若しくは他の所得との間に不当な重複がある場合のもの又は他の資格を有する者が職業若しくは職業活動に従事していることを理由とするもののための一の締約国の法令の規定は、他の一の締約国の法令に基づき取得された給付若しくは得られた所得又は当該他の一の締約国の領域において行われた雇用若しくは職業活動に関しても受給者に適用する。ただし、この規定を適用するに当たつては、第八条又は第十八条(b)の規定に従い、二以上の締約国の機関が、障害、老齢、遺族又は職業病について支給する給付と同様の性格の給付は、考慮されない。

第 二 十 六 条

 一の締約国の法令により給付を受領している者が、他の一以上の締約国の法令によつても給付を受ける資格を有している場合には、次の規定を適用する。
 (a) 二以上の締約国の法令の規定の適用と同時に、給付の減額、停止又は抑制を伴う場合には、その給付は、それに基づき当該給付が支払われるべき法令に従い、減額、停止又は抑制による影響を受ける額を、受給者が資格を有する給付で減額、停止又は抑制の適用を受けるものの数で除することにより得られる額の範囲を超えて減額され、停止され又は抑制されることはない。
 (b)  (a)の規定にかかわらず、当該給付が障害給付、老齢給付又は遺族給付で一の締約国の機関が第八条の規定に従つて支払うものである場合には、当該機関は、第八条2又は5に定める額の減額、停止又は抑制(同条3及び4に規定する定義上の額の算定を除く。)のためにのみ、当該機関が支払うべき給付の減額、停止又は抑制を伴う給付、所得又は報酬を考慮する。ただし、これらの給付、所得又は報酬は、その額のうち同条5に規定する満了した期間の比率に対応する部分の範囲においてのみ考慮される。

第 二 十 七 条

 一人の者が二以上の締約国の法令により医療又は疾病給付の請求を行う場合には、その給付は、その領域内に当該者が居住する締約国の法令又は、当該者がこれらの締約国のうちの一の締約国の領域内に居住していない場合には、当該者若しくは当該給付を受ける資格の生ずる者が最後に適用を受けていた締約国の法令のみに基づき支給することができる。

第 二 十 八 条

 一人の者が二以上の締約国の法令により母性給付の請求を行う場合には、その給付は、その領域において出生があつた締約国の法令又は、出生がこれらの締約国のうちの一の締約国の領域におけるものでない場合には、当該者若しくは当該給付を受ける資格の生ずる者が最後に適用を受けていた締約国の法令のみに基づき支給することができる。

第 二 十 九 条

1 死亡が一の締約国の領域において生じた場合には、当該一の締約国の法令に基づき取得された死亡一時金の権利のみを、他の締約国の法令に基づき取得された権利を除き、承認することができる。
2 死亡が一の締約国の領域において生じた場合において、死亡一時金の権利が他の二以上の締約国の法令のみに基づき取得されたときは、その死亡した者が最後に適用を受けていた締約国の法令に基づき取得された権利のみを、他の締約国の法令に基づき取得された権利を除き、承認することができる。
3 死亡が締約国の領域の外で生じた場合において、死亡一時金の権利が二以上の締約国の法令に基づき取得されたときは、その死亡した者が最後に適用を受けていた締約国の法令に基づき取得された権利のみを、他の締約国の法令に基づき取得された権利を除き、承認することができる。

第 三 十 条

 (選択Ⅰ)
 家族手当が、同一の家族の構成員に対し、同一の期間にわたり、第二十二条の規定及びその領域内に当該家族の構成員が居住する締約国の法令に基づき、支給される場合には、当該締約国の法令に基づき支払われるべき家族手当の権利は、停止する。ただし、当該家族の構成員の一人が当該締約国の領域において職業に従事している場合には、その権利は、維持される。この場合には、第二十二条の規定に基づき支払うべき家族手当の権利は、停止する。
 (選択Ⅱ)
 家族手当が、同一の家族の構成員に対し、同一の期間にわたり、第二十二条の規定及びその領域内に当該家族の構成員が居住する締約国の法令に基づき支給される場合には、第二十二条の規定に基づき支払うべき家族手当の権利は、停止する。

Ⅵ 雑則

第 三 十 一 条

 一の締約国の法令が定める健康診断は、当該法令を適用する機関の要請に応じ、他の一の締約国の領域において、居住又は一時的居住の地の機関が実施することができる。この場合において、健康診断は、当該一の締約国の領域において実施したものとみなす。

第 三 十 二 条

1 一の締約国の機関に支払われるべき拠出金の額の算定に当たり、適当な場合には、他の締約国の領域において得られた所得を考慮する。
2 一の締約国の機関に支払われるべき拠出金の回復は、他の一の締約国の対応する機関に支払われるべき拠出金の回復に適用される保障及び特権が適用されることを条件として、運営上の手続に従い当該他の一の締約国の領域において行うことができる。

第 三 十 三 条

 税、印紙税、法定手数料若しくは登録料の免除又は減額で、一の締約国の法令の適用上作成することが要求される証明書又は文書について当該一の締約国の法令に規定するものは、他の一の締約国の法令又はこの模範規定の適用上作成することを必要とされる同様の証明書又は文書について適用する。

第 三 十 四 条

1 締約国の権限のある当局は、直接かつ相互に連絡し、また、当該締約国の権限のある当局が承認することを条件として、いかなる締約国の機関とも連絡する権限を与えられる連絡機関を指定することができる。
2 一の締約国のいかなる機関及び一の締約国の領域内に居住し又は一時的に居住するいかなる者も、直接に又は1の連絡機関を通じて他の一の締約国の機関を利用することができる。

第 三 十 五 条

1 この模範規定の解釈又は適用に関し二以上の締約国の間で生ずる紛争は、関係締約国の権限のある当局の間の直接交渉によつて解決する。
2 1の紛争を交渉開始の後の六箇月以内に解決することができない場合には、当該紛争は、仲裁委員会に付託する。仲裁委員会の構成及び手続は、関係締約国の間の相互の合意によつて決定する。
3 2の仲裁委員会の決定は、拘束力を有し、かつ、最終的なものとする。

Ⅶ 共済基金の間の又は共済基金との関係における権利の維持に関する規定

選択Ⅰ

第 三 十 六 条

1 一人の者が、その勘定に払い込まれる額の支払いを受ける資格を付与される危険の発生前に、その共済基金に登録された一の締約国の法令の適用を受けなくなる場合には、当該者は、その要請により、総額を引き出すことができ又は当該者がその適用を現に受けている法令を有する締約国の領域にある機関で当該者がその管轄の下にあるものに総額を移すことができる。
2 1の機関自体が共済基金である場合には、移される額は、関係者の名において当該機関が設置した勘定に払い込まれる。
3 1の機関が年金について権限を有する場合には、移される額は、関係者が当該機関の適用する法令に基づき給付の権利を取得し又は利用するため期間を償還することができるようにするため、関係機関に支払う。期間を償還する方法は、当該法令の規定に従い又は関係締約国の間の相互の合意により決定する。

第 三 十 七 条

 一人の者が、一の締約国の法令に基づき年金の権利を取得する前に、その法令に基づき当該者が共済基金に登録される他の一の締約国の領域内に移動するため、当該一の締約国の法令でそれに基づき当該者が年金制度の管轄の下にあつたものの適用を受けなくなる場合には、
 (選択A)
 当該者自身又はその遺族に係る当該者の年金の権利で取得の過程にあつたものは、年金の受領のため要求される条件が満たされるまで維持される。これと異なる場合には、当該者又はその代理者が支払う拠出金の額は、関係締約国の間の相互の合意により定められる条件により当該共済基金に移される。
 (選択B)
 当該者又はその代理者が支払う拠出金の額は、関係締約国の間の相互の合意により定められる条件により当該共済基金に移される。

選択Ⅱ

第 三 十 八 条

1 一の締約国の法令が、保険期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間の満了を年金の権利の取得、維持又は回復の条件とする場合には、当該法令を適用する機関は、期間の通算上、一人の者が共済基金に登録され、かつ、その共済基金への拠出を要求されていた期間を考慮する。
2 関係者が、一の規定を考慮して年金の支払のための条件を満たしている場合には、当該年金の額は、第八条から第十三条までの規定に従つて決定する。
3 一の締約国の法令が、拠出期間の満了を共済基金における一人の者の勘定に払い込まれる額の支払の条件とする場合には、当該法令を適用する機関は、期間の通算上、一の締約国の法令でそれに基づき当該者が年金制度の管轄下にあるものにより満了した保険期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間を考慮する。

付属書 Ⅱ

 二国間又は多数国間の社会保障に関する文書の調整のための模範協定

第 一 条

 この協定の適用上、
 (a) 「締約国」とは、国際労働機関の加盟国でこの合意に拘束されるものをいう。
 (b) 「法令」とは、法律、命令及び社会保障に関する規程をいう。
 (c) 「難民」とは、地理的な制限なしに、千九百五十一年六月二十八日の難民の地位に関する条約第一条及び千九百六十七年一月三十一日の難民の地位に関する議定書第一条2に規定する者をいう。
 (d) 「無国籍者」とは、千九百五十四年九月二十八日の無国籍者の地位に関する条約第一条に規定する者をいう。
 (e) 「文書」とは、取得の過程にあつた社会保障の権利の維持に関する二国間又は多数国間の文書で二以上の締約国を拘束しており又は拘束することとなるものをいう。
 (f) 「機関」とは、締約国の法令の全部又は一部を適用することにつき直接責任を有する団体又は当局をいう。
 (g) 「保険期間」とは、拠出期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間であつて、これらの期間の満了について定める法令により保険期間として定義され又は承認されるもの及び当該法令により保険期間と同等とみなされるその他の期間をいう。
 (h) 「雇用期間」及び「職業活動期間」とは、これらの期間の満了について定める法令により、雇用期間及び職業活動期間として定義され又は承認される期間及び当該法令により雇用期間又は職業活動期間と同等とみなされるその他の期間をいう。
 (i) 「居住期間」とは、その期間の満了について定める法令により、居住期間として定義され又は承認される期間をいう。
 (j) 「給付」とは、関係給付事由に関して支給されるすべての現物給付及び現金給付をいい、死亡一時金及び次の給付を含む。
  (i)  現物給付については、社会保障の適用を受ける給付事由の予防、身体リハビリテーシヨン及び職業リハビリテーシヨンを目的とする給付
  (ii) 現金給付については、公の基金から支給されるすべての構成要素及びすべての増額、再評価手当又は補足手当並びに所得能力の維持又は利用のため支給される給付、年金に代えて支払うことができる一時金給付及び、適用することができる場合には、拠出金の償還により行う支払

第 二 条

 この協定により規制される分野においては、二以上の締約国を拘束する各文書の規定の適用は、他の締約国の国民並びにあらゆる締約国の領域内に居住する難民及び無国籍者に拡大する。

第 三 条

 この協定は、二以上の文書の規定の適用を受けるすべての者に適用する。

第 四 条

1 二以上の締約国を拘束する文書の規定であつて、給付を受ける権利の取得、維持又は回復のための保険期間、雇用期間、職業活動期間又は居住期間の通算に関するものは、これらの期間の通算に関する規定を含む文書によつて、これらの締約国と関係を有する他の締約国の法令により満了したものに対応する期間に適用することができる。ただし、通算する期間は重複しないものとする。
2 1の規定に基づき、一の締約国の機関が期間の通算のための異なる方法を含む二以上の文書の規定を適用すべきである場合には、その機関は、関係者にとつて最も有利な規定のみを適用する。
3 すべての関係協定に基づき、一の締約国のみの法令に従つて支給される給付の場合には、1の通算は、当該法令に基づき支給される最も有利な給付の権利の取得、維持又は回復のために必要な範囲内においてのみ行われる。

第 五 条

1 第四条の規定を適用する場合には、障害給付、老齢給付及び遺族給付は、2から4までの規定に従い決定する。
2 すべての関係協定が割当て方式を採用する場合には、各締約国の機関は、第四条1及び2の規定に従つて行う期間の通算に留意して、当該締約国が拘束される協定の規定を適用する。ただし、当該機関は、これらの協定に基づき決定される給付のうち最も高い額の給付のみを支給する。
3 すべての関係文書が統合方式を採用する場合には、給付を支給すべき締約国の機関は、このため、第四条の規定を考慮する。
4 関係文書がそれぞれ割当て方式及び統合方式を採用する場合には、各締約国の機関は、第四条の規定に従つて行う期間の通算に留意して、当該締約国が拘束される文書の規定を適用する。ただし、最も有利な方法の適用から生じる給付のみが、関係者に対して支給される。