1929年の災害保護(仲仕)条約(第28号)

ILO条約 | 1929/06/21

船舶の荷積又は荷卸に使用せらるる労働者の災害に対する保護に関する条約(第28号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、国際労働事務局の理事会によりジュネーヴに招集されて、二千十七年六月五日にその第百六回会期として会合し、本会期の議事日程の第七議題である複数の国際労働条約の廃止及び撤回に関する提案を検討し、二千十七年六月十四日に、千九百二十九年の災害保護(仲仕)条約(第二十八号)の撤回を決定する。国際労働事務局長は、この本文書撤回の決定を、国際労働機関の全加盟国及び国際連合事務総長に通知する。この決定の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会に依りジユネーヴに招集せられ、千九百二十九年五月三十日を以て其の第十二回会議を開催し、
 右会議の会議事項の第二項目たる船舶の荷積又は荷卸に使用せらるる労働者の災害に対する保護に関する提案の採択を決議し、且
 該提案は国際条約の形式に依るべきものなることを決定し、
 国際労働機関の締盟国に依り批准せらるるが為、国際労働機関憲章の規定に従ひ、千九百二十九年六月二十一日、千九百二十九年の災害保護(仲仕)条約と称せらるべき左の条約を採択す。

第 一 条

 本条約に於て、
(1) 「作業」と称するは、当該労働の行はるる海港若は内水港、船渠、波止場、岸壁又は類似の場所に於て、軍艦以外の一切の船舶(海洋航行に従事するものと内水航行に従事するものとを問はず。)の荷積又は荷卸の為に、陸上又は船上に於て遂行せらるる労働の全部又は其の一部を謂ひ且包含す。又
(2) 「労働者」と称するは、右の作業に使用せらるる一切の者を謂ふ。

第 二 条

1 労働者が作業の行はるる就業場所への往復に使用すべき船渠、波止場、岸壁又は類似の構内を通ずる一切の正規の通路及陸上に於ける一切の右の如き就業場所は、之を使用する労働者の安全を適当に考慮して維持せらるべし。
2 特に、
(1) 陸上に於ける一切の前記の就業場所及最近き公衆用道路より該就業場所に通ずる前記の通路の一切の危険なる部分は、安全且有効に照明せらるべく、
(2) 第三条に掲げらるる通行手段に通ずる障碍なき通路を維持する為、波止場及岸壁は、常に充分に物品を取除き置かるべく、
(3) 波止場又は岸壁の端に沿ひ空地の存するときは、右空地は、少くとも三フート(九十センチメートル)の幅を有し且固定の建設物、設備及装置にして使用中のもの以外の一切の障碍物を取除かるべく、又
(4) 交通及労働を考慮して実効し得る限り、
(a) 前記の通路及就業場所の一切の危険なる部分(例へば危険なる切目、隅角及縁端)には二フート六インチ(七十五センチメートル)以上の高さ迄適当に柵を施すべし。
(b) 橋上、戸舟上及船渠閘門上の危険なる歩道には、各側に二フート六インチ(七十五センチメートル)以上の高さ迄柵を施すべく、且右柵は、両端に於て充分なる距離迄延長せらるるべし。右距離は、五ヤード(四・五メートル)を超ゆることを要せざるべし。

第 三 条

 (1) 船舶が作業の為岸壁又は他の船舶に横付けと為り居る場合には、労働者が該船舶に往復すべき時、其の使用の為安全なる通行手段を設くべし。但し特別の装置が設けられずとも、労働者が不当の危険に曝されざるが如き状況なるときは、此の限に在らず。
(2) 右通行手段は、左のものたるべし。
(a) 適当に実行し得る場合には、舷梯、歩板又は類似の構造物
(b) 其の他の場合には梯子
(3) 本条(2)(a)に明示せらるる装置は、少くとも二十二インチ(五十五センチメートル)の幅を有し、其の転位を防ぐ為適当に固定せられ、過度の急角度に傾斜せしめられず、良質の且良好なる状態の材料を以て造られ、且両側に正味二フート九インチ(八十二センチメートル)以上の高さ迄全長に亘り堅固に柵を施され、又は舷梯に付ては、一方の側が舷側に依り適当に保護せらるる限り、他方の側に同一の高さ迄堅固に柵を施さるべし。
尤も前記の装置にして本条約の批准の日に於て使用中のものは、左の期間内引き続き其の使用を許さるべし。
(a) 右装置が両側に少くとも正味二フート八インチ(八十センチメートル)の高さ迄柵を施されあるときは右柵の取替へらるる迄
(b) 右装置が両側に少くとも正味二フート六インチ(七十五センチメートル)の高さ迄柵を施されあるときは、批准の日より一年間
(4) 本条(2) (b)に明示せらるる梯子は、充分の長さ及強力を有し、且適当に固定せらるべし。
(5)(a) 本条の規定の除外例は、本条に明示せらるる装置が労働者の安全の為必要ならずと権限ある機関が認むるときは、右機関に依り許さるることを得。
(b) 本条の規定は、作業に専用せらるる際の貨物用足場又は貨物用歩板には適用せられざるべし。
(6) 労働者は、本条に依り明示せられ又は許さるる手段以外の通行手段を使用せざるべく、又は使用することを要せざるべし。

第 四 条

 労働者が作業の為水上を船舶に往復することを要する場合に於ては、労働者の安全なる運送を確保する為、適当なる措置(運送の目的に使用せらるる船舶に依り遵守せらるべき条件を含む。)を規定すべし。

第 五 条

 (1) 甲板面より艙底迄の深さが五フート(一・五メートル)を超ゆる船艙中に於て労働者が作業を行ふことを要するときは、其の使用に供する為甲板より船艙に至る安全なる通行手段を設くべし。
(2) 右通行手段は、通常梯子に依るべく、該梯子は、左の条件に適合するに非ざれば、安全なるものと看做されざるべし。
(a) 梯棧の背後に充分なる間隔を存するか(隔壁及囲壁艙口に掛くる梯子に付ては、右間隔は、四インチ半(十一センチメートル半)以上たるべし。)、又は堅固なる足掛及手掛の為適当なる幅を有する梯棧を全長に亘り具ふること。
(b) 艙口の障碍と為らざる為に適当に必要なる程度を超えて甲板の下に於て引込め置かれざること。
(c) 縁材に於ける堅固なる手掛及足掛の為の設備(例へば棧又は壺)に連絡して一線を成せること。
(d) 縁材に於ける右設備は、十インチ(二十五センチメートル)の幅にて四インチ半(十一センチメートル半)以上突出すること。及
(e) 別別の梯子が下層甲板間に設けらるる場合には、該梯子は、最上層甲板よりの梯子と実行し得る限り一線を成せること。
尤も船舶の構造に依り梯子の備付が適当に実行せられ得ざるときは、権限ある機関は、他の通行手段を許容することを得。但し該通行手段は、適用し得る限り梯子に関し本条に定めらるる条件に適合すべきものとす。
(3) 縁材の傍に於ては、右通行手段に達する為充分なる障碍なき通路を存し置くべし。
(4) 軸隧道には、両側に適当なる手掛及足掛を設くべし。
(5) 梯子が甲板なき船舶の船艙に於て使用せらるべきときには、之を供給するは、作業請負人の義務たるべし。該梯子には之を縁材に定着せしむる為の鈎又は之を固定せしむる為の他の手段を頂端に設くべし。
(6) 労働者は、本条に依り明示せられ又は許さるる手段以外の通行手段を使用せざるべく、又は使用することを要せざるべし。
(7) 本条約の批准の日に存在する船舶は、本条約の批准の日より四年を超えざる期間内、本条(2) (a)及(d)の寸法の遵守並に(4)の規定の適用を免除せらるべし。

第 六 条

 労働者が作業の為船上に在る間は、甲板面より艙底迄の深さ五フート(一・五メートル)を超ゆる貨物用船艙にして労働者の出入し得るものの艙口は、開き置かれ且無保護に放置せられざるべし。一切の該艙口にして正味二フート六インチ(七十五センチメートル)の高さ迄縁材を以て保護せられざるものは、該艙口に於ける作業に障碍なき限り三フート(九十センチメートル)の高さ迄堅固に柵を施さるるか又は堅固に覆蓋せらるべし。
甲板に在る他の開口にして労働者に危険なることあるべきものを保護する為必要なるときは、類似の措置を執るべし。
尤も本条の要件は、適当且充分なる監視が付せられ居る間は、適用せられざるものとす。

第 七 条

1 作業が船上に於て行はるることを要するときは、船舶への通行手段及労働者が、就業し居る船内の一切の場所又は労働者が其の就業中赴くことを要することあるべき船内の一切の場所は、有効に照明せらるべし。
2 照明手段は、労働者の安全を害せず又他の船舶の航行を妨げざるが如きものたるべし。

第 八 条

 艙口蓋及艙口蓋用梁を移動し又は原位置に復することに従事中の労働者の安全を確保する為、
(1) 艙口蓋及艙口蓋用梁は、良好なる状態に維持せらるべし。
(2) 艙口蓋は、其の大きさ及重さに応じ適当なる把手を附せらるべし。
(3) 艙口蓋用梁は、之を移動し及原位置に復せしむる為の適当なる装置にして労働者が該装置の調整の為右梁の上に乗ることを要せざるが如き性質のものを具ふべし。
(4) 一切の艙口蓋並に縦及横の梁は、相互に転用し得ざるものなる限り、其の属する甲板及艙口並に之に於ける其の位置を指示する為明瞭に標示し置かるべし。
(5) 艙口蓋は、貨物用足場の組立の為又は艙口蓋に損傷を生ぜしむることあるべき他の目的の為に使用せられざるべし。

第 九 条

 荷揚用機械又は之に附随して使用せらるる固定若は遊動の装置が安全なる使用状態に在るに非ざれば、陸上又は船上に於ける作業に使用せられざることを確保する為適当なる措置を規定すべし。
特に、
(1) 右機械、之に附属する船上固定装置にして各国の法令又は規則に依り定めらるるもの並に之に附随して使用せらるる鎖及綱索は、使用に供せらるるに先ち、規定せられたる方法に於て且資格ある者に依り、充分に検査せられ又試験せらるべく、且其の安全荷重は証明せらるべし。
(2) 陸上に於て使用せらるると船上に於て使用せらるるとを問はず、一切の荷揚用機械及之に附属する一切の船上固定装置にして各国の法令又は規則に依り定めらるるものは、使用に供せられ始めたる後、左の如く精査せられ又は検査せられるべし。
(a) 「デリツク」、「グース、ネツク」、檣の帯金、「アイボルト」、「スパン」及取外しの特に困難なる他の固定装置は四年毎に精査せられ且十二月毎に検査せらるること。
(b) 一切の荷揚用機械(例えば起重機、揚貨機)、滑車、「シアツクル」及(a)に含まれざる他の一切の附属装置は、十二月毎に精査せらるること。
一切の遊動装置(例えば鎖、綱索、環、鈎)は、前三月以内に検査せられたるに非ざれば、使用に先ち其の都度検査せらるべし。
鎖は結節を作ることに依りて短くせられざるべく且鋭き縁端に依り毀損せらるることを防止する為注意を払ふべし。
綱索に於ける嵌環又は編継環は、子縄全体の三回以上の編込を有し且各子縄より綱線の半数を切り残したるものの二回以上の編込を有するものたるべし。但し右要件は、右に規定せらるる方式と同一の効力あることを示し得べき他の編込方式の使用を妨ぐるに至らざるべし。
(3) 鎖及各国の法令又は規則に依り明示せらるる類似の装置(例えば鈎、環、「シアツクル」、「スウイヴル」)は、資格ある者の監督の下に左の如く焼鈍せらるべし。但し各国の法令又は規則に依り定めらるることあるべき他の充分なる処理を受けたるものは此の限に在らず。
(a) 船舶に備付けらるる鎖及装置に付ては、
(i)  通常使用せらるる半インチ(十二ミリメートル半)以下の鎖又は装置は、少くとも六月毎に一回
(ii) 通常使用せらるるその他の一切の鎖又は装置(「スパン、チエーン」を含むも、「デリツク」又は檣に附属せる「ブライドル、チエーン」を除く。)は、少くとも十二月毎に一回
尤も右装置にして人力に依り動かさるる起重機及他の荷揚用装置に於て専用せらるるものに付ては、(i)の六月に代ふるに十二月、又(ii)の十二月に代ふるに二年を以てすべく、
又権限ある機関は、鎖以外の右装置の大きさ、設計、材料又は使用頻繁ならざることの理由に依り焼鈍に関する本項の要件を労働者の保護の為必要ならずと認むるときは証明書(該期間が其の裁量を以て取消すことを得るもの)により、該証明書に明示せらるることあるべき条件の留保の下に、該装置に対し右要件を免除することを得。
(b) 船舶に備付けられざる鎖及右装置に付ては、右の鎖及装置の焼鈍を確保する為装置を規定すべし。
(c) 船舶に備付けらるると否とを問はず、右の鎖及装置にして延長せられ、変更せられ、又は鍛鎔接に依り修繕せられたるものに付ては、其の都度試験せられ且再検査せらるべし。
(4) 当該機械及装置の安全状態に付一応充分の証拠と為る適法に認証せられたる記録にして安全荷重並に本条(1)及(2)に掲げらるる試験及検査の及(3)に掲げらるる焼鈍又は他の処理の日附及結果を明示するものを場合に応じ陸上又は船舶に保存すべし。
右記録は、当該権限ある者の要求あるときは、該記録の保管者に依り掲示せらるべし。
(5) 一切の起重機、「デリツク」、「チエーン、スリング」及船上に於て使用せらるる類似の荷揚装置にして各国の法令又は規則に依り明示せらるるものには、安全荷重を明瞭に標示し置くべし。「チエーン、スリング」に安全荷重を標示するには、鎖又は之に固著せしめたる耐久性材料の札若は環に、明瞭なる数字又は文字を以てすべし。
(6) 一切の原動機、歯車、鎖に依るか又は摩擦に依る聯動装置、軸系、帯電体及汽管には、此等のものが其の位置及構造に依り、堅固に柵を施されたる場合と同様に、使用せらるる一切の労働者に対し均しく安全なることの立証せられ得るに非ざれば、船舶の安全なる操作を妨ぐることなくして実行し得る限り堅固に柵を施すべし。
(7) 起重機及揚貨機には、揚卸作業中荷物の不意の降下を予防すべき有効なる装置を施すべし。
(8) 一切の起重機及揚貨機より発する廃汽及之に送らるる生汽が労働者の使用せらるる就業場所の何れの部分をも朦朧たらしむることを予防する(生汽に付ては実行し得る限り)為適当なる措置を執るべし。

第 十 条

 動力に依り運転せらるるものなると他の方法に依り運転せらるるものなるとを問はず、荷揚用若は運搬用の機械を操縦し又は該機械の操縦者に信号を為し又は揚貨機の末端若は捲胴に於ける貨物用吊索を受持つには充分資格あり且信頼し得る者のみ使用せらるべし。

第 十 一 条

 (1) 荷物は、荷揚用機械に吊られたる儘放置せられざるべし。但し該荷物が斯く放置せらるる間該機械を現に担当し居る資格ある者あるときは此の限に在らず。
(2) 労働者の安全に必要なる場合に於ける信号手の使用に付適当なる措置を規定すべし。
(3) 貨物の堆積、取崩、積付及取出の際の操作の又は之に関連せる取扱の危険なる方法を予防する為適当なる措置を規定すべし。
(4) 荷物が梁に衝突することに依り労働者に対し生ずる危険を避くるに充分なる大きさを艙口が有するに非ざれば、該艙口に於ける操作の開始せらるるに先ち、該艙口の梁を取外すべし。尤も梁が取外されざるときは、該梁は、其の転位を防ぐ為堅固に取附けらるべし。
(5) 労働者が船艙又は甲板間に於て石炭又は他の散荷の取扱に使用せらるる場合に於て、其の脱出を容易ならしむる為注意を払ふべし。
(6) 足場は、堅牢に造られ、適当に支へられ且必要に応じ堅固に取附けらるるに非ざれば、作業に使用せられざるべし。
手車は、不完全なる程度に急角度なる足場の上に於て船舶と陸地との間の貨物の運搬に使用せられざるべし。
足場は、労働者の滑ることを予防する為必要に応じ適当なる材料を以て処理せらるべし。
(7) 船艙内の就業区域が艙口の方形内に限らるるときは、貨物を「スリング」より取外し又は之に取集むる為の場合を除き、棉花、羊毛、「コルク」、麻袋又は他の類似物品の包の帯又は緊縛に鈎を掛くべからず(又樽に「カン、フツク」を掛くべからず。)。
(8) 如何なる種類の装置たりとも、所有者又は其の責任ある代理者が明に許容したる特別の場合を除き、安全荷重を超えて負荷せられざるべし。右特別の場合の記録は、保存せらるべし。
(9) 変化する能力(例えば臂の揚卸に依り角度に応じて変化する負荷能力)を有する陸上起重機に付ては、自動表示装置又は臂の傾斜角度に応ずる安全荷重を示す表を起重機に備付くべし。

第 十 二 条

 各国の法令又は規則は、労働者が物品にして其の固有の性質若は其の当時の状態に依り夫れ自体生命若は健康に危険なるものを取扱ひ又は其の附近に於て就業し又は右の如き物品が積付けられたる場所に於て就業することを要するときは、各場合の事情を考慮したる上、労働者の適当なる保護を確保するに必要なりと認めらるることあるべき注意事項を規定すべし。

第 十 三 条

1 作業の為しばしば(注:原文は旧字体)使用せらるる船渠、波止場、岸壁及類似の場所に於ては、地方的事情を考慮して各国の法令又は規則に依り規定せらるべき施設は、救急を為すこと及重大なる災害の場合に於て最近接せる治療所に移送することを速に確保する為に利用せられ得べし。充分なる救急用品は、就業時間中に於ける即時の使用の為に適し且容易に入手せられ得る状態及位置に於て、構内に常に備附けらるべし。該用品は、責任ある一名又は二名以上の者の保管の下に置かるべく右の者には救急を為すの資格あり且又就業時間中手当を即時に為し得る一名又は二名以上の者を含むべし。
2 前期の船渠、波止場、岸壁及類似の場所に於ては、水中に墜落せる労働者を溺死より救助する為適当なる設備をも為すべし。

第 十 四 条

 本条約に依り備附くることを要求せらるる柵、歩板、装置、梯子、救命の手段若は設備、灯火、標示、足場又は他の一切の物は、適法に権限を付与せられたる場合又は必要の場合を除き、何人に依りても除去せられ又は妨碍せられざるべく、又除去せられたるときは、右除去の必要なりし期間の終了したる際原位置に復せらるべし。

第 十 五 条

1 各締盟国は、作業の時時行はるるに過ぎざるか又は交通が少く且小船舶に限らるる船渠、波止場、岸壁若は類似の場所に付、又は或特殊の船舶、或特殊の種類の船舶若は或小噸数に達せざる船舶に付、又は気候状態に依り本条約の規定の遵守を要求し難き場合に於ては、本条約の規定の免除又は例外を許すことを得。
2 右の免除又は例外を許す規定は、常に之を国際労働事務局に通報すべし。

第 十 六 条

 本条約に別段の規定ある場合を除き、本条約の規定にして船舶の構造又は恒久的設備に影響を及ぼすものは、本条約の批准の日の後に建造の開始せらるる船舶に及右の日の後四年以内に他の一切の船舶に適用せらるべし。尤も右の期間内に於ては、右規定は、適当にして実行し得る限り右他の船舶に適用せらるべし。

第 十 七 条

 労働者の災害に対する保護の為規定せらるる規則の適法なる実施を確保する為、
(1) 右規則には各規則の遵守の責に任ずる個人又は団体を明に定むべし。
(2) 有効なる監督制度に付及規則の違反に対する処罰に付規定を設くべし。
(3) 規則の写又は要綱は、作業の為しばしば(注:原文は旧字体)使用せらるる船渠、波止場、岸壁及類似の場所に於ける見易き位置に掲示せらるべし。

第 十 八 条

 国際労働機関憲章に定むる条件に依る本条約の正式批准は、登録の為国際労働事務局長に之を通告すべし。

第 十 九 条

1 本条約は、国際労働事務局に其の批准を登録したる締盟国のみを拘束すべし。
2 本条約は、事務局長が国際労働機関の締盟国中の二国の批准を登録したる日より十二月後に於て効力を発生すべし。
3 爾後本条約は、他の何れの締盟国に付ても、其の批准を登録したる日より十二月後に於て効力を発生すべし。

第 二 十 条

 国際労働機関の締盟国中の二国の批准が国際労働事務局に登録せられたるときは、事務局長は、国際労働機関の一切の締盟国に右の旨を通告すべし。事務局長は、爾後該機関の他の締盟国の通告したる批准の登録を一切の締盟国に同様に通告すべし。

第 二 十 一 条

1 本条約を批准したる締盟国は、本条約の最初の効力発生の日より十年の期間満了後に於て、国際労働事務局長宛登録の為にする通告に依り之を廃棄することを得。右の廃棄は、該事務局に登録ありたる日の後一年間は其の効力を生ぜず。
2 本条約を批准したる各締盟国にして前項に掲ぐる十年の期間満了後一年以内に本条に定むる廃棄の権利を行使せざるものは、更に五年間拘束を受くべく、又爾後各五年の期間満了毎に本条に定むる条件に依り本条約を廃棄することを得。

第 二 十 ニ 条

 国際労働事務局の理事会は、本条約の効力発生より各十年の期間満了毎に本条約の施行に関する報告を総会に提出すべく、且其の全部又は一部の改正に関する問題を総会の会議事項に掲ぐべきや否やを審議すべし。

第 二 十 三 条

1 総会が本条約の全部又は一部を改正する新条約を採択する場合には、締盟国に依る新改正条約の批准は、新改正条約が効力を発生したるとき、前記第二十一条の規定に拘らず、猶予の要件を要せずして当然に本条約の廃棄を生ぜしむべし。
2 新改正条約の効力発生の日より、本条約は、締盟国に依り批准せられ得ざるに至るべし。
3 尤も本条約は、之を批准したるも改正条約を批准せざる締盟国に対しては其の現在の形式及内容に於て引続き効力を有すべし。

第 二 十 四 条

 本条約は、仏蘭西語及英吉利語の本文を以て共に正文とす。