1933年の有料職業紹介所条約(第34号)

ILO条約 | 1933/06/29

有料職業紹介所に関する条約(第34号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 国際労働事務局の理事会に依りジユネーヴに招集せられ、千九百三十三年六月八日を以て其の第十七回会議を開催し
 右会議の会議事項の第一項目たる有料職業紹介所に関する提案の採択を決議し、且
 該提案は国際条約の形式に依るべきものなることを決定し、
 国際労働機関の締盟国に依り批准せらるるが為、国際労働機関憲章の規定に従ひ、千九百三十三年六月二十九日、千九百三十三年の有料職業紹介所条約と称せらるべき左の条約を採択す。

第 一 条

1 本条約に於て「有料職業紹介所」と称するは、左のものを謂ふ。
 (a) 営利の目的を以て経営せらるる職業紹介所、即ち個人、会社、協会、紹介所又は他の機関にして使用者又は労働者より直接又は間接に金銭上又は他の物質上の利益を得る目的を以て、労働者に職業を得しめ又は使用者に労働者を供給する為仲介者として行動するもの。右の語は、新聞又は他の刊行物を包含せず。尤も右新聞又は他の刊行物が全部又は主として使用者及労働者の仲介者として行動する為刊行せらるる場合は、此の限に在らず。
 (b) 営利の目的を以て経営せられざる職業紹介所、即ち会社、協会、紹介所又は他の機関にして金銭上又は他の物質上の利益を得る目的を以て経営せられずと雖も、使用者又は労働者より其の職業紹介事業の為入会金、定期の掛金又は他の料金を徴するものの職業紹介事業
2 本条約は、海員の職業紹介には之を適用せず。

第 二 条

1 前条1(a)に定めらるる営利の目的を以て経営せらるる有料職業紹介所は、関係締盟国に付本条約の効力発生より三年以内に廃止せらるべし。
2 右廃止迄の期間中、
 (a) 営利の目的を以て経営せらるる新有料職業紹介所は、設置せられざるべし。
 (b) 営利の目的を以て経営せらるる有料職業紹介所は、権限ある機関の監督に服すべく且右機関に依り承認せらるる率に基きてのみ手数料及費用を徴すべし。

第 三 条

1 本条約第二条1の規定に対する例外は、権限ある機関に依り例外の場合に於て許容せらるることを得。尤も関係ある使用者団体及労働者団体に諮問の後に於てのみとす。
2 例外は、国内の法令又は規則に依り明確に定めらるる種類の労働者にして例外を正当とする特別の状態の下に職業の紹介が行はるる職業に属するものの為周旋を為す紹介所に対してのみ、本条に依り許容せらるることを得。
3 新有料職業紹介所の設置は、第二条に掲げらるる三年の期間の満了後は、本条に依り許容せられざるべし。
4 本条に依り例外が許容せらるる一切の有料職業紹介所は、
 (a) 権限ある機関の監督に服すべく、
 (b) 十年を超えざる期間中権限ある機関の裁量を以て更新し得る年年の免許証を有することを要求せらるべく、
 (c) 権限ある機関に依り承認せらるる率に基きてのみ手数料及費用を徴すべく、且  
 (d) 労働者を国外に紹介し又は国外に於て募集することは、其の免許証に依り之が許容せられ、且其の行為が関係諸国間の協定の下に為さるる場合に於てのみ之を為すべし。

第 四 条

 第一条1(b)に定めらるる営利の目的を以て経営せられざる有料職業紹介所は、
 (a) 権限ある機関よりの許可証を有することを要求せらるべく、且右機関の監督に服すべく、
 (b) 権限ある機関が所要経費を厳格に考慮して定むる料金の率を超えて料金を徴せざるべく、
 (c) 労働者を国外に紹介し又は国外に於て募集することは、権限ある機関に依り之が許可せられ、且其の行為が関係諸国間の協定の下に為さるる場合に於てのみ之を許すべし。

第 五 条

 本条約第一条に定めらるる有料職業紹介所及職業紹介に平常従事する一切の個人、会社、協会、紹介所又は他の私の機関は、料金を徴せずと雖も、其の紹介事業が無償にて為さるるか又は有償にて為さるるかを示す申告を権限ある機関に為すべし。

第 六 条

 国内の法令又は規則は、前記の諸条又は之を実施する法令若は規則の違反に対し、必要あるときは本条約に依り定めらるる免許証及許可書の返納を含む適当なる処罰を規定すべし。

第 七 条

 国際労働機関憲章第二十二条に依り提出せらるべき年報には、第三条に依り許容せらるる例外に関する一切の必要なる情報を包含すべし。

第 八 条

 国際労働機関憲章に定むる条件に依る本条約の正式批准は、登録の為国際労働事務局長に之を通告すべし。

第 九 条

1 本条約は、国際労働事務局に其の批准を登録したる締盟国のみを拘束すべし。
2 本条約は、事務局長が国際労働機関の締盟国中の二国の批准を登録したる日の後十二月にして効力を発生すべし。
3 爾後本条約は、他の何れの締盟国に付ても、其の批准を登録したる日の後十二月にして効力を発生すべし。

第 十 条

 国際労働機関の締盟国中の二国の批准が国際労働事務局に登録せられたるときは、事務局長は、国際労働機関の一切の締盟国に右の旨を通告すべし。事務局長は、爾後該機関の他の締盟国の通告したる批准の登録を一切の締盟国に同様に通告すべし。

第 十 一 条

1 本条約を批准したる締盟国は、本条約の最初の効力発生の日より十年の期間満了後に於て、国際労働事務局長宛登録の為にする通告に依り之を廃棄することを得。右の廃棄は、該事務局に登録ありたる日の後一年間は其の効力を生ぜず。
2 本条約を批准したる各締盟国にして前項に掲ぐる十年の期間満了後一年以内に本条に定むる廃棄の権利を行使せざるものは、更に十年間拘束を受くべく、又爾後各十年の期間満了毎に本条に定むる条件に依り本条約を廃棄することを得。

第 十 二 条

 国際労働事務局の理事会は、本条約の効力発生より各十年の期間満了毎に本条約の施行に関する報告を総会に提出すべく、且其の全部又は一部の改正に関する問題を総会の会議事項に掲ぐべきや否やを審議すべし。

第 十 三 条

1 総会が本条約の全部又は一部を改正する新条約を採択する場合には、新条約が別段の定を為さざる限り、
 (a) 締盟国に依る新改正条約の批准は、新改正条約が効力を発生したるとき、前記第十一条の規定に拘らず、当然に本条約の即時の廃棄を生ぜしむべし。
 (b) 新改正条約の効力発生の日より、本条約は、締盟国に依り批准せられ得ざるに至るべし。
2 本条約は、之を批准したるも改正条約を批准せざる締盟国に対しては、如何なる場合に於ても、其の現在の形式及内容に於て引続き効力を有すべし。

第 十 四 条

 本条約は、仏蘭西語及英吉利語の本文を以て共に正文とす。