1934年の労働者補償(職業病)条約(改正)(第42号)

ILO条約 | 1934/06/21

労働者職業病補償ニ関スル条約(第42号)
(1934年改正)

(1936年6月6日批准登録、業務災害給付条約(第121号)の批准により、1975年6月7日に批准廃棄)

 国際労働機関ノ総会ハ
 国際労働事務局ノ理事会ニ依リジユネーヴニ招集セラレ千九百三十四年六月四日ヲ以テ其ノ第十八回会議ヲ開催シ
 右会議ノ会議事項ノ第五項目タル、総会ニ依リ其ノ第七回会議ニ於テ採択セラレタル労働者職業病補償ニ関スル条約ノ一部改正ニ関スル提案ノ採択ヲ決議シ且
 該提案ハ国際条約ノ形式ニ依ルヲ要スルコトヲ思ヒ
 千九百三十四年ノ労働者補償(職業病)条約(改正)ト称セラルベキ左ノ条約ヲ千九百三十四年六月二十一日採択ス

第 一 条


1 本条約ヲ批准スル国際労働機関ノ各締盟国ハ職業病ニ因リ労働不能ト為リタル労働者ニ、又ハ右疾病ノ為死亡シタルトキハ其ノ被扶養者ニ、産業災害補償ニ関スル国内法制ノ一般原則ニ従ヒ補償ヲ支払フベキヲ定ムルコトヲ約ス
2 右ノ補償ノ率ハ産業災害ニ因リ生ズル傷害ニ関スル国内法制ノ定ムル率ヲ下ルコトヲ得ズ右ノ規定ヲ条件トシテ各締盟国ハ前記ノ疾病ニ対スル補償ノ支払ハルベキ条件ヲ国内ノ法令又ハ規則中ニ定ムルニ付又産業災害補償ニ関スル其ノ法制ヲ前記疾病ニ適用スルニ付其ノ便宜ト思惟スル変更及修正ヲ加フルコトヲ得

第 二 条

 本条約ヲ批准スル国際労働機関ノ各締盟国ハ本条附表ニ掲グル料品ニ因リ生ズル疾病及中毒ガ右附表ニ於テ対当シテ掲ゲラルル職業、工業又ハ作業ニ従事スル労働者ヲ冒シ且前記国内法制ノ適用ヲ受クル企業ニ於ケル就業ノ結果生ズルトキハ右疾病及中毒ヲ職業病ト認ムルコトヲ約ス

〔附 表〕

(疾病及有毒料品ノ種目) (対当ノ職業、工業又ハ作業ノ種目)
鉛、其ノ合金又ハ化合物ノ中毒及其ノ続発症 含鉛鉱石(亜鉛工場ニ於ケル鉛灰ヲ含ム)ノ取扱
古亜鉛及鉛ノ「インゴツト」鋳造
鋳造又ハ鉛合金ヨリ成ル物品ノ製造
複写業ニ於ケル作業
鉛化合物ノ製造
蓄電池ノ製造及修理
鉛ヲ含ム「エナメル」ノ製造及使用
鉛鑪又ハ鉛ヲ含ム「パテ」粉ヲ以テスル琢磨
鉛顔料ヲ含ム塗料、接合料品又ハ著色料品ノ製造及取扱ヲ含ム一切ノ塗布作業
水銀、其ノ「アマルガム」及化合物ノ中毒並ニ其ノ続発症 水銀鉱石ノ取扱
水銀化合物ノ製造
計量器具及実験用器具ノ製造
製帽業用ノ粗製材料ノ製造
「アマルガム」鍍金
灼熱灯ノ製造ニ於ケル水銀喞筒ノ使用
雷汞雷管ノ製造
炭疽病感染 炭疽病ニ感染セル動物ニ関聯スル作業
皮、蹄及角ヲ包含スル動物ノ残骸又ハ右残骸ノ一部ノ取扱商品ノ積込及荷卸又ハ運送
肺結核ヲ伴フ又ハ伴ハザル硅肺尤モ硅肺ガ労働不能又ハ死亡ヲ惹起スル主因タル場合トス 硅肺ノ危険ニ曝サルルモノト国内ノ法令又ハ規則ニ依リ認メラルル工業又ハ作業
燐又ハ其ノ化合物ノ中毒及其ノ続発症 燐又ハ其ノ化合物ノ生産、分離又ハ使用ヲ含ム作業
砒素又ハ其ノ化合物ノ中毒及其ノ続発症 砒素又ハ其ノ化合物ノ生産、分離又ハ使用ヲ含ム作業
「ベンゾール」又ハ其ノ同族体並ニ其ノ「ニトロ」及「アミノ」誘導体ノ中毒並ニ其ノ続発症 「ベンゾール」若ハ其ノ同族体又ハ其ノ「ニトロ」及「アミノ」誘導体ノ生産、分離又ハ使用ヲ含ム作業
脂肪族ノ炭化水素ノ「ハロゲン」誘導体ノ中毒 国内ノ法令又ハ規則ニ依リ指定セラルル脂肪族ノ炭化水素ノ「ハロゲン」誘導体ノ生産、分離又ハ使用ヲ含ム作業
左記ニ基因スル病変
 (a)「ラヂウム」及他ノ放射能料品
 (b)「エツクス」線
「ラヂウム」、放射能料品又ハ「エツクス」線ノ作用ニ曝サルル作業
皮膚ノ原発性上皮癌 「タール」、「ピツチ」、瀝青、鉱物油、「パラフイン」又ハ此等ノ料品ノ化合物、生産品若ハ残滓ノ取扱又ハ使用ヲ含ム作業

第 三 条

 本条約ノ正式批准ハ登録ノ為国際労働事務局長ニ之ヲ通告スベシ

第 四 条

1 本条約ハ国際労働事務局長ニ其ノ批准ヲ登録シタル国際労働機関ノ締盟国ノミヲ拘束スベシ
2 本条約ハ事務局長ガ締盟国中ノ二国ノ批准ヲ登録シタル日ノ後十二月ニシテ効力ヲ発生スベシ
3 爾後本条約ハ他ノ何レノ締盟国ニ付テモ其ノ批准ヲ登録シタル日ノ後十二月ニシテ効力ヲ発生スベシ

第 五 条

 国際労働機関ノ締盟国中ノ二国ノ批准ガ国際労働事務局ニ登録セラレタルトキハ事務局長ハ国際労働機関ノ一切ノ締盟国ニ右ノ旨ヲ通告スベシ事務局長ハ爾後該機関ノ他ノ締盟国ノ通告シタル批准ノ登録ヲ一切ノ締盟国ニ同様ニ通告スベシ

第 六 条

1 本条約ヲ批准シタル締盟国ハ本条約ノ最初ノ効力発生ノ日ヨリ五年ノ期間満了後ニ於テ国際労働事務局長宛登録ノ為ニスル通告ニ依リ之ヲ廃棄スルコトヲ得右ノ廃棄ハ該事務局ニ登録アリタル日ノ後一年間ハ其ノ効力ヲ生ゼズ
2 本条約ヲ批准シタル各締盟国ニシテ前項ニ掲グル五年ノ期間満了後一年以内ニ本条ニ定ムル廃棄ノ権利ヲ行使セザルモノハ更ニ五年間拘束ヲ受クベク又爾後各五年ノ期間満了毎ニ本条ニ定ムル条件ニ依リ本条約ヲ廃棄スルコトヲ得

第 七 条

 国際労働事務局ノ理事会ハ本条約ノ効力発生ヨリ各十年ノ期間満了毎ニ本条約ノ施行ニ関スル報告ヲ総会ニ提出スベク且其ノ全部又ハ一部ノ改正ニ関スル問題ヲ総会ノ会議事項ニ掲グベキヤ否ヤヲ審議スベシ

第 八 条

1 総会ガ本条約ノ全部又ハ一部ヲ改正スル新条約ヲ採択スル場合ニハ新条約ガ別段ノ定ヲ為サザル限リ
 (a) 締盟国ニ依ル新改正条約ノ批准ハ新改正条約ガ効力ヲ発生シタルトキ前記第六条ノ規定ニ拘ラズ当然ニ本条約ノ即時ノ廃棄ヲ生ゼシムベシ
 (b) 新改正条約ノ効力発生ノ日ヨリ本条約ハ締盟国ニ依リ批准セラレ得ザルニ至ルベシ
2 本条約ハ之ヲ批准シタルモ改正条約ヲ批准セザル締盟国ニ対シテハ如何ナル場合ニ於テモ其ノ現在ノ形式及内容ニ於テ引続キ効力ヲ有スベシ

第 九 条

 本条約ハ仏蘭西語及ビ英吉利語ノ本文ヲ以テ共ニ正文トス