1936年の最低年齢(海上)改正条約(第58号)

ILO条約 | 1936/10/24

海上で使用することができる児童の最低年齢を定める条約(第58号)(1936年の改正条約)
(1955年8月22日批准登録、最低年齢条約(第138号)の批准により、2001年6月5日に批准廃棄)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジユネーヴに招集されて、千九百三十六年十月二十二日にその第二十二回会期として会合し、
 この会期の議事日程をなす問題、すなわち、総会がその第二回会期で採択した海上で使用することができる児童の最低年齢を定める条約の一部改正に関する提案の採択を決定し、
 この提案が国際条約の形式をとるべきであると考えるので、
 次の条約(引用に際しては、千九百三十六年の最低年齢(海上)改正条約と称することができる。)を千九百三十六年十月二十四日に採択する。

第 一 条

 この条約の適用上、「船舶」とは、公有であると私有であるとを問わず、海上航行に従事するすべての種類の船舶及び舟艇をいう。ただし、軍艦を除く。

第 二 条

1 十五歳未満の児童は、同一の家庭に属する者のみを使用する船舶を除くほか、船舶において使用され、又は労働してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、十四歳以上の児童については、国内法令で指定される教育官庁又は他の適当な機関が、使用されようとする児童の健康及び身体の状態並びに当該使用によつてその児童が現在及び将来受ける利益を十分に考慮した上で、この使用がその児童にとつて有益であると認めるときは、児童使用の許可証を発給することができる旨の規定を国内法令に設けることができる。

第 三 条

 前条の規定は、学校船又は練習船で児童が行う労働には適用しない。ただし、この労働は、公の機関により承認され、かつ、その監督を受けなければならない。

第 四 条

 この条約の規定の励行を容易にするため、各船長は、その船舶において使用する十六歳未満のすべての者及びその生年月日を記載した帳簿又は海員名簿を備え置かなければならない。

第 五 条

 この条約は、千九百十九年の工業に使用することができる児童の最低年齢を定める条約を改正する条約及び千九百三十二年の非工業に使用することができる児童の最低年齢に関する条約を改正する条約が国際労働総会により採択されるまでは、効力を生じない。

第 六 条

 この条約の正式の批准書は、登録のため国際労働事務局長に送付するものとする。

第 七 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准を国際労働事務局長に登録したもののみを拘束する。
2 この条約は、二加盟国の批准が事務局長により登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。もっとも、第五条の規定に従うものとする。
3 その後は、この条約は、他のいずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 八 条

 国際労働事務局長は、国際労働機関の二加盟国の批准が登録されたときは、この旨を直ちに国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。同事務局長は、また他の加盟国からその後通知を受けた批准の登録をすべての加盟国に通告しなければならない。

第 九 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に通知する文書によつてこの条約を廃棄することができる。廃棄は、その廃棄が登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で1に掲げる十年の期間の満了の後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、さらに十年の期間この条約の拘束を受けるものとし、その後は、この条に定める条件に基いて、十年の期間が経過するごとにこの条約を廃棄することができる。

第 十 条

 国際労働機関の理事会は、この条約の効力発生の後十年の期間が経過するごとに、この条約の運用に関する報告を総会に提出し、かつ、この条約の全部又は一部の改正に関する問題をその総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。

第 十 一 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改める改正条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国による改正条約の批准は、改正条約の効力発生を条件として、第九条の規定にかかわらず、当然この条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 二 条

 この条約の英語及びフランス語による本文は、ともに正文とする。