1939年の雇用契約(土民労働者)条約(第64号)

ILO条約 | 1939/06/27

土民労働者の文書による雇用契約の規律に関する条約(第64号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、国際労働事務局の理事会によりジュネーヴに招集されて、二千十八年五月二十八日にその第百七回会期として会合し、本会期の議事日程の第七議題である六本の国際労働条約の廃止及び三本の国際労働勧告の撤回に関する提案を検討し、二千十八年六月五日に、千九百三十九年の雇用契約(土民労働者)条約(第六十四号)の廃止を決定する。国際労働事務局長は、本条約廃止の決定を、国際労働機関の全加盟国及び国際連合事務総長に通知する。この決定の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。

 国際労働機関の総会は、
国際労働事務局の理事会によつてジユネーヴに招集され、且つ千九百三十九年六月八日その第二十五回会議を開催し、
この会議の会議事項の第二項目である土民労働者の雇用契約の規律に関する提案の採択を決議し、且つ
この提案は国際条約の形式によるべきものなることを決定したので、
千九百三十九年の雇用契約(土民労働者)条約として引用することができる次の条約を千九百三十九年六月二十七日に採択する。

第 一 条

 この条約において、
(a) 「労働者」とは、土民労働者即ちこの機関の加盟国の属地の土民に属し若しくはこれに類する労働者又はこの機関の加盟国の本土の非自立土民に属し若しくはこれに類する労働者を言う。
(b) 「使用者」とは、反対の表明がない限り、非土民であると土民であるとを問わず、公の機関、個人、会社又は団体を言う。
(c) 「法規」とは、当該地域において実施される法令及び(又は)規則を言う。
(d) 第三条以下の条に使用される「契約」とは、反対の表明がない限り、第三条により文書を以てすることを要する契約を言う。

第 二 条

1 この契約は、雇用契約であつてこれにより労働者が現金又は他の形式の報酬のため筋肉労働者として使用者の労務に就くものに適用する。
2 権限ある機関は、契約であつてこれにより労働者が法規の定める一定限度数を超える労働者を使用しないか又は右法規の定める或る他の標準を具備しない土民使用者の労務に就くものをこの条約の適用より除外することができる。
3 この条約は、法規に含まれる徒弟制度に関する特別の規定に従い為される徒弟契約に適用しない。
4 権限ある機関は、雇用契約であつてこれに基き労働者に与えられる唯一の又は主な報酬がその使用者に属する土地の占有又は使用に在るものを必要に応じこの条約の適用より除外することができる。

第 三 条

1 この条約が適用される契約が、
(a) 六箇月の期間若しくはこれを超える期間又は六箇月に等しい労働日数について為されるとき、又は
(b) 当該労働の地方において類似の労働につき慣習的である条件と実質上異る労働条件を定めるときは、
契約は、文書を以てしなければならない。
2 労働者が契約に同意を示すべき方法は、法規によりこれを定めなければならない。
3 本条第一項により文書を以てすることを要する契約が文書を以て為されないときは、文書を以て為されない契約について許される最長期間内を除いては、その契約は、強制力をもたない。尤も各当事者は、契約が為された期間の満了前何時でもこの契約を文書を以て作成する権利を有する。
4 文書による契約をしないことが使用者の故意又は怠慢に基因するときは、労働者は、権限ある機関に契約の取消を申請し、且つ適当の場合には損害賠償を求める権利を有する。

第 四 条

1 いかなる契約も、労働者の家族又は被扶養者を拘束するものと看做されない。尤も契約がこの趣旨の明白な条項を含む場合はこの限りではない。
2 使用者は、自己のために行動する者により為される契約の履行に付責に任じなければならない。

第 五 条

1 すべての契約は、法規の規定と関連して当事者の権利及び義務を定める必要のあるようなすべての事項を包含しなければならない。
2 契約に包含されるべき事項は、すべての場合において次のものを包含しなければならない。
(a) 使用者又は使用者集団の名並びにできるだけ当該企業及び労務場所の名
(b) 労働者の氏名、雇用の場所及びできるだけ労働者の出身地並びに身元証明に必要なその他の事項
(c) 労務の性質
(d) 労務の期間及び右期間の計算方法
(e) 賃金率及びその計算方法、賃金支払の方法及び期日、賃金の前借(若しあらば)及び右前借金の償還方法
(f) 送還の条件
(g) 特別の契約条件

第 六 条

1 すべての契約は、証明を受けるため当該目的のため適法に認められた公務員にこれを提出しなければならない。
2 公務員は、契約を証明するに先だち、
(a) 労働者が自由意思を以て契約に同意したこと、及びその同意が強制若しくは不当の勢力により又は詐謀若しくは錯誤の結果として得られたものでないことを確めなければならない。且つ
(b) 次のことを確めなければならない。
(i) 契約が適法の形式を備えること。
(ii) 契約の条件が法規の要件に適合していること。
(iii) 労働者が署名前又は同意を示す前に契約の条件を充分に諒解したこと。
(iv) 健康診断に関する法規の規定が遵守されていること。
(v) 労働者が従前の雇用により拘束されないことを自ら声明すること。
3 公務員が証明することを拒絶した契約は、爾後効力をもたない。
4 証明を受けるため公務員に提出されることがなかつた契約は、文書を以て為されない契約に付許される最長期間中の外、強制力をもたない。尤も各当事者は、契約が為された期間の満了前何時でも証明を受けるためこれを提出する権利を有する。
5 証明のため契約を提出することをしなかつたことが使用者の故意又は怠慢に基因するときは、労働者は、権限ある機関に契約の取消を申請し、且つ適当の場合には損害賠償を求める権利を有する。
6 すべての契約は、権限ある機関により登録され、又は右の写を右機関に寄託しなければならない。
7 権限ある機関は、契約の写、労働手帳又は同等の書類若しくは証拠物件を労働者に発給することにより又は適当と認めるその他の方法を以て、労働者が次のことを為することができるよう必要な措置を講じなければならない。
(a) 契約の存在及び条件を証明すること。
(b) 何時でも契約の条件を確めること。

第 七 条

1 契約をするすべての労働者は、健康診断を受けなければならない。
2 原則として労働者は、契約の証明前、健康診断を受け且つ診断書の交付を受けなければならない。
3 労働者が契約の証明前健康診断を受けることが不可能であつた場合においては、契約を証明する公務員は、その旨を裏書し、且つ労働者は、できるだけ早い機会に健康診断を受けなければならない。
4 権限ある機関は、次のものに付契約をする労働者を健康診断の義務より免除することができる。
(a) 法規により定められる一定限度数を超えない労働者を使用する農業的企業における労務
(b) 労働者の家庭の近くの次の労務
(i) 農業的労務
(ii) 権限ある機関が非農業的労務であつて危険な性質を有しないこと又は労働者の健康に害のないことを確めたもの

第 八 条

1 推定年令が法規により定められる最低年令に達しない未成年者は、契約をすることができない。
2 推定年令が最低年令を超えしかも法規により定められる一層高い年令に達しない未成年者は、権限ある機関により未成年者の道徳的又は身体的発達に害のないものとして認められる雇用を除き、契約をすることができない。

第 九 条

 契約中に定められる最長労務期間及び契約期間中に与えられるべき休暇(若しあらば)は、法規を以てこれを規定しなければならない。

第 十 条

1 一使用者より他の使用者への契約の移譲は、労働者が同意すること及び当該目的のため適法に認められた公務員が契約書に移譲の裏書をすることを条件としなければならない。
2 公務員は、契約書に移譲の裏書をするに先だち、
(a) 労働者が自由意思を以て移譲に同意したこと、及び右の同意が強制若しくは不当の勢力により又は詐謀若しくは錯誤の結果として得られたものでないことを確め、且つ
(b) 法規により規定される場合においては、この条約の第六条第二項(b)の要件を具備していることを確めなければならない。

第 十 一 条

1 契約は、次により解消するものとする。
(a) 契約が為された期間の満了
(b) 契約が為された期間の満了前労働者の死亡
2 労働者の死亡による契約の終了は、その後継者又は被扶養者の法律上の請求権を阻害することがないものとする。

第 十 二 条

1 使用者が契約を履行することができないとき、又は災害若しくは疾病のため労働者が契約を履行することができないときは、契約は、法規により規定される条件に基き解消するものとする。右の法規は、かかる場合において労働者が既に獲得した賃金に対する権利、労働者に支払われるべき据置貯金、災害又は疾病に関し労働者に支払われるべき補償及びその送還に対する権利を保障する規定を包含しなければならない。
2 契約は、法規により規定される条件に基き双方当事者間の協定により解消するものとし、右の法規は、次の規定を包含しなければならない。
(a) 労働者をその送還権の喪失より保護すること。尤も契約解消のための協定が別段の定をする場合はこの限りではない。
(b) 次のことを確めることを権限ある機関に要求すること。
(i) 労働者が自由意思を以て協定に同意したこと、及び右の同意が強制若しくは不当な勢力により又は詐謀若しくは錯誤の結果として得られたものでないこと。
(ii) 双方当事者間のすべての金銭的債務が解決されたこと。
3 契約は、法規により規定される場合及び条件において、一方当事者の請求に基き解消するものとし、右の法規は、次の規定を包含しなければならない。
(a) 契約を解除しようと欲する当事者により事前に与えられるべき予告の期間
(b) 右の解除より生ずる金銭上その他の問題(送還問題を含む。)の公平な解決
4 契約が前項に従い解消すべき場合の中には、使用者による労働者の虐待の場合を包含させなければならない。
5 法規は、契約が解消すべきその他の場合を規定することができるし、且つ本条による契約の解消が権限ある機関の承認を条件とすべき場合を規定することができる。

第 十 三 条

1 契約の当事者であり、且つ使用者により又は使用者のために行動する者により労務の場所に連行されたすべての労働者は、次の場合において、その出身地又は雇用地のうち労務の場所に近い方の地へ使用者の費用で送還される権利を有する。
(a) 契約に定められる労務期間の満了した場合
(b) 使用者が契約を履行することができないため契約を解消する場合
(c) 疾病又は災害のため労働者が契約を履行することができないため契約を解消する場合。尤も協定に別段の定をする場合はこの限りではない。
(d) 双方当事者の一方の請求に基き契約を解消する場合。尤も権限ある機関が別段の決定をする場合はこの限りではない。
2 労働者の家族が使用者により又は使用者のために行動する者により労務の場所に連行された場合においては、家族は、労働者が送還されるとき又は死亡したとき、使用者の費用を以てこれを送還しなければならない。
3 送還の費用は、次のものを包含しなければならない。
(a) 旅行中の旅費及び生活費
(b) 契約の解消期日と送還期日との間の期間中(若しあらば)の生活費
4 使用者は、次の理由により労働者の送還が遅延した期間に関し、生活費を負担する義務がない。
(a) 労働者自身の自由意思
(b) 不可抗力。尤も使用者が解消した契約に定められる賃金率を以て当該期間中労働者の労務を利用することができた場合はこの限りではない。
5 使用者が送還に関しその義務を履行しないときは、右の義務は、権限ある機関がこれを履行しなければならない。

第 十 四 条

 権限ある機関は、次の場合において送還費用を負担する義務より使用者を免除することができる。
(a) 権限ある機関が次のことを確める場合
(i) 労働者が文書による声明その他によりその送還の権利を行使することを欲しないことを表明したこと。
(ii) 労働者がその要求に基き又はその同意を得て労務の場所又はその附近において定着されたこと。
(b) 労働者が自己の自由意思により契約の満了又は解消する日より所定期間の満了するまでにその送還の権利を行使しなかつたことを権限ある機関が確める場合
(c) 契約が労働者の過失の結果として権限ある機関により解消された場合
(d) 労働者が疾病又は災害のため契約を履行することができない場合以外に契約が解消し、且権限ある機関が次のことを確める場合
(i) 賃金率を定めるに当り、労働者がその送還費を自ら支払わなければならないことを充分に斟酌したこと。
(ii) 労働者が送還費を支払うに必要な基金を有することを確保するため据置貯金制度又はその他の方法により適当の措置が講ぜられたこと。

第 十 五 条

1 使用者は、送還される労働者のためできるだけ輸送手段を提供しなければならない。
2 権限ある機関は、次のことを確保するためすべての必要な措置を講じなければならない。
(a) 労働者の輸送に使用される船又は車がかかる輸送に適し、良好な衛生状態に在り且つ乗員過剰でないこと。
(b) 夜間旅行を停止することが必要なときは、労働者のために適当な宿泊設備を提供すること。
(c) 労働者が徒歩で長距離旅行をしなければならないときは、日々の旅程が労働者の健康及び体力の保持と両立すること。
(d) 長距離旅行については、労働者の医療及び福利のためすべての必要な準備をすること。
3 労働者が集団を成して長距離旅行をしなければならないときは責任ある者がこれを護送しなければならない。

第 十 六 条

1 契約満了の際為される再雇用契約に定めらるべき最長労務期間は、法規を以てこれを規定しなければならない。尤も一般原則としてこの条約の第九条に従い規定される期間よりも短くなければならない。
2 再雇用契約に定められる労務期間と満了した契約に基き既に遂行された労務期間とが十八箇月を超えて労働者をその家庭より別離させる場合においては、労働者は、使用者の費用を以て家庭に帰る機会をもつた後でなければ再雇用契約に定められる労務を開始してはならない。尤も権限ある機関は、この規定の適用が不可能であるか又は望ましくないときは、この規定よりの免除を許容することができる。
3 本条第一項及び第二項に定められる場合を除き、前諸条のすべての規定は、再雇用契約に適用しなければならない。尤も権限ある機関は、その裁量を以て第六条第一項乃至第五項及び第七条の規定よりかかる契約を除外することができる。

第 十 七 条

1 権限ある機関は、必要の場合に公用語又は当該地域の用語及び労働者に知られている用語を以て契約に関する法規の概要を印刷にし、且つかかる概要を関係ある使用者及び労働者の利用に供しなければならない。
2 必要な場合には、使用者は、右の概要を労働者に知られている用語を以て見易い箇所に掲示することを要する。

第 十 八 条

 法規は、一地域において為される契約が異つた行政官庁の下に在る地域における労務に関するときは、労働者の保護のため充分な規定を包含しなければならない。

第 十 九 条

1 一地域(以後原地域と称する。)において為される契約が異つた行政官庁の下に在る地域(以後労務地域と称する。)における労務に関する場合においては、この条約の規定は、次の方法を以てこれを適用しなければならない。
(a) 第六条により要求される契約の証明は、労働者が原地域を去る前右地域の公務員の面前でこれを行わなければならない。
(b) 第六条第七項により要求される措置は、原地域の権限ある機関がこれを行わなければならない。
(c) 第七条により要求される健康診断は、遅くとも労働者が原地域を出発する場所においてこれを行わなければならない。
(d) 未成年者であつてその推定年令が原地域の法規により定められる最低年令又は労務地域の法規により定められる最低年令よりも以下であるものは、契約をすることができない。
(e) 第十条により要求される公務員による契約移譲の裏書は、労働者が移譲に同意する地域の公務員がこれをしなければならない。
(f) 契約に定められる労務期間は、原地域の法規により規定される最長期間又は労務地域の法規により規定される最長期間を超えてはならない。
(g) 契約が解消すべき条件は、労務地域の法規を以てこれを定めなければならない。
(h) 使用者が送還に関しその義務を履行しないときは、右の義務は、労務地域の権限ある機関がこれを履行しなければならない。
(i) 送還費用の負担義務より使用者を免除することができる権限ある機関は、労務地域の権限ある機関でなければならない。
(j) 原地域と労務地域との権限ある機関は、第十五条第二項の適用を確保するため協力しなければならない。
(k) 再雇用契約に定められる労務期間は、原地域の法規により規定される最長期間又は労務地域の法規により規定される最長期間を超えてはならない。
2 条約が原地域及び労務地域の双方において実施されない場合においては、前項に定められる規定は、次の規定を条件としてこれを適用しなければならない。
(a) この条約が労務地域において実施されない場合においては、原地域の公務員は、労働者がその地域の法規により又は契約の条項により本条約第十条乃至第十六条に規定される権利及び保護を労務地域において享受するであろうことを確認するのでなければ、契約を証明してはならない。
(b) この条約が原地域において実施されない場合においては、本条第一項(a)、(b)及び(c)により原地域の権限ある機関が処理することを要する事項は、労務地域の権限ある機関がこれを処理しなければならない。尤も原地域の権限ある機関が右の事項を条約の規定に従い事実上処理したことを労務地域の権限ある機関が確認する場合は、この限りではない。
3 原地域及び労務地域の権限ある機関は、必要であるか又は望ましいときは、この条約の規定の適用に関連して起る共通関係の事項を規律するため協定を締結すべく、且つかかる協定においては、この協定を受諾した一地域において同じくこの協定を受諾した他の地域の労務のために為した契約に関し、本条第一項の規定に抵触する条項を設けることができる。

第 二 十 条

1 この条約は、その適用問題が起る地域においてこの条約の実施前に締結された契約に適用しないものとする。
2 この条約の廃棄は、廃棄が効力を発生する前に締結された契約より生ずる権利又は義務に影響を及ぼさないものとする。

第 二 十 一 条

 この条約の正式批准は、登録のため国際労働事務局長にこれを通告しなければならない。

第 二 十 二 条

1 国際労働機関憲章第三十五条に掲げられる地域に関しては、この条約を批准する加盟国は、次のことを示す宣言をその批准に添付しなければならない。
(a) 右の加盟国が変更を加えないでこの条約の規定を適用することを約する地域
(b) 右の加盟国が変更を加えてこの条約の規定を適用することを約する地域及び右の変更の詳細
(c) この条約を批准することができない地域及びかかる場合においてはこれを適用することができない理由
(d) 右の加盟国がその決定を留保する地域
2 本条第一項(a)及び(b)に掲げられる約束は、批准の不可欠な一部とみなされ且つ批准の効力を有する。
3 加盟国は、本条第一項(b)、(c)又は(d)によりその原宣言において為した留保を爾後の宣言により何時でも全部的又は一部的に取消すことができる。

第 二 十 三 条

1 この条約は、国際労働事務局長にその批准を登録した国際労働機関の加盟国のみを拘束する。
2 この条約は、事務局長が加盟国中の二国の批准を登録した日の十二箇月後に効力を発生する。
3 爾後この条約は、他の何れの加盟国に付ても、その批准を登録した日の十二箇月後に効力を発生する。

第 二 十 四 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約の最初の効力発生の日より十年の期間満了後において、国際労働事務局長宛登録のためにする通告によりこれを廃棄することができる。右の廃棄は、該事務局に登録があつた日の後一年間はその効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国であつて前項に掲げる十年の期間満了後一年以内に本条に定める廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受くべく、又爾後各十年の期間満了毎に本条に定める条件により、この条約を廃棄することができる。

第 二 十 五 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国により事務局長に通告されたすべての批准及び廃棄並びにこの条約の第二十二条の規定に従い事務局長に通告されたすべての宣言の登録を国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。
2 事務局長は、これに通告された第二回目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告するときは、この条約が効力を発生する日について国際労働機関の加盟国の注意を喚起しなければならない。

第 二 十 六 条

 国際労働事務局の理事会は、この条約の効力発生より各十年の期間満了毎にこの条約の施行に関する報告を総会に提出すべく、且つその全部又は一部の改正に関する問題を総会の会議事項に掲ぐべきや否やを審議しなければならない。

第 二 十 七 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する新条約を採択する場合には、新条約が別段の定をしない限り、
(a) 一加盟国による新改正条約の批准は、新改正条約が効力を発生したとき、前記第二十四条の規定に拘わらず、当然にこの条約の即時の廃棄を生ぜしめる。
(b) 新改正条約の効力発生の日より、この条約は、加盟国により批准され得ないようになる。
2 この条約は、これを批准したるも改正条約を批准しない加盟国に対しては、いかなる場合においても、その現在の形式及び内容において引き続いて効力を有する。

第 二 十 八 条

 この条約は、フランス語及びイギリス語の本文を以て共に正文とする。