1946年の最終条項改正条約(第80号)

ILO条約 | 1946/10/09

国際労働機関の総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約により国際連盟事務総長に委任された一定の書記的任務を将来において遂行することに関し規定を設けることと、国際連盟の解体及び国際労働機関憲章の改正に伴つて必要とされる補充的改正をこれらの条約に加えることとを目的とするこれらの条約の一部改正に関する条約(第80号)
(1954年5月27日批准登録)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりモントリオールに招集されて、千九百四十六年九月十九日にその第二十九回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第二議題たる問題、すなわち、国際労働機関の総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約により国際連盟事務総長に委任された一定の書記的任務を将来において遂行することに関し規定を設けることと、国際連盟の解体及び国際労働機関憲章の改正に伴つて必要とされる補充的改正をこれらの条約に加えることとを目的とするこれらの条約の一部改正に関する提案の採択を決定し、
 この提案が国際条約の形式をとるべきであると考えるので、
 次の条約(引用に際しては、千九百四十六年の最終条項改正条約と称することができる。)を千九百四十六年十月九日に採択する。

第 一 条

1 国際労働総会がその第二十五回までの会期において採択した諸条約中「国際連盟事務総長」を「国際労働事務局長」に、「事務総長」を「事務局長」に、及び「国際連盟事務局」を「国際労働事務局」に、これらの字句が使用されているすべての箇所において、それぞれ改める。
2 国際労働総会がその第二十五回までの会期において採択した諸条約に規定する条約及びその改正の批准、廃棄並びに宣言の国際労働事務局長による登録は、これらの条約のもとの条項に従つて国際連盟事務総長がすべきであつた批准、廃棄及び宣言の登録と、すべての点で同一の効力を有する。
3 国際労働事務局長は、総会がその第二十五回までの会期において採択した諸条約で本条の規定により改正されたものの規定に従つて登録したすべての批准、廃棄及び宣言の完全な明細を、国際連合憲章第百二条に従う登録のため国際連合事務総長に通知しなければならない。

第 二 条

1 総会がその第十八回までの会期において採択した諸条約の前文の第一項中「国際連盟ノ」を削る。
2 総会がその第十七回までの会期において採択した諸条約の前文中「「ヴェルサイユ」条約ノ第十三編及他ノ平和諸条約ノ対当編ノ規定ニ従ヒ」及びこれに準ずる字句を「国際労働機関憲章ノ規定ニ従ヒ」に改める。
3 総会がその第二十五回までの会期において採択した諸条約中「「ヴェルサイユ」条約ノ第十三編及他ノ平和諸条約ノ対当編ニ定ムル条件ニ依ル」及びこれに準ずる字句を、これらの字句が使用されているすべての条項において「国際労働機関憲章ニ定ムル条件ニ依ル」に改める。
4 総会がその第二十五回までの会期において採択した諸条約中「「ヴェルサイユ」条約第四百八条及他ノ平和諸条約ノ対当条項」及びこれに準ずる字句を、これらの字句が使用されているすべての条項において、「国際労働機関憲章第二十二条」に改める。
5 総会がその第二十五回までの会期において採択した諸条約中「「ヴェルサイユ」条約第四百二十一条及他ノ平和諸条約ノ対当条項」及びこれに準ずる字句を、これらの字句が使用されているすべての条項において、「国際労働機関憲章第三十五条」に改める。
6 総会がその第二十五回までの会期において採択した諸条約の前文及び「条約案」という字句が使用されているすべての条項中「条約案」から「案」を削る。
7 総会が第二十八回会期において採択した諸条約中国際労働事務局長に言及しているすべての条項において「局長」(ディレクター)を「局長」(ディレクター=ジェネラル)に改める。
8 総会がその第十七回までの会期において採択した各条約の前文に、当該条約について国際労働事務局が現在使用している略称とともに「ト称セラルベキ」という字句を加える。
9 総会がその第十四回までの会期において採択した各条約中二以上の項を有する条の項で番号が附されていないすべてのものに番号を附する。

第 三 条

 国際労働機関の加盟国で、この条約の効力発生の日の後総会がその第二十八回までの会期において採択した条約の正式の批准書を国際労働事務局長に送付するものは、この条約によつて修正した条約を批准したものとみなす。

第 四 条

 この条約の二通は、総会議長及び国際労働事務局長の署名により認証されるものとする。その一通は、国際労働事務局の記録に寄託し、他の一通は、国際連合憲章第百二条による登録のため国際連合事務総長に送付するものとする。事務局長は、この条約の認証謄本を国際労働機関の各加盟国に送付しなければならない。

第 五 条

1 この条約の正式の批准書は、国際労働事務局長に送付するものとする。
2 この条約は、国際労働機関の二加盟国の批准書が事務局長によつて受領された日に効力を生ずる。
3 国際労働事務局長は、この条約が効力を生じたとき、及びその後この条約の批准書を受領したときは、国際労働機関のすべての加盟国及び国際連合事務総長にその旨を通告しなければならない。
4 この条約を批准する国際労働機関の加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日と自国の批准の日との間にこの条約に基き執られた措置が有効であることをその批准により承認するものとする。

第 六 条

 国際労働事務局長は、この条約が最初に効力を生じたときは、総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約でこの条約の規定によつて修正したものの原本二通を作成させ、その署名によりこれを正当に認証しなければならない。その一通は、国際労働事務局長の記録に寄託し、他の一通は、国際連合憲章第百二条による登録のため国際連合事務総長に送付するものとする。事務局長は、その認証謄本を国際労働機関の各加盟国に送付しなければならない。

第 七 条

 総会がその第二十八回までの会期において採択した諸条約の規定にかかわらず、加盟国によるこの条約の批准は、当然に前記のいずれかの条約の廃棄を伴うものではなく、また、この条約の効力発生は、前記のいずれかの条約の将来の批准のための開放を終了させるものではない。

第 八 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改める改正条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、当然この条約の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国によるこの条約の批准のための開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 九 条

 この条約の英語及びフランス語による本文は、ひとしく正文である。