1952年の社会保障(最低基準)条約(第102号)
社会保障の最低基準に関する条約(第102号)
(1976年2月2日批准登録)
国際労働機関の総会は、
理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百五十二年六月四日にその第三十五回会期として会合し、
その会期の議事日程の第五議題に含まれる社会保障の最低基準に関する提案の採択を決定し、
その提案が国際条約の形式をとるべきであると決定して、
次の条約(引用に際しては、千九百五十二年の社会保障(最低基準)条約と称することができる。)を千九百五十二年六月二十八日に採択する。
第 一 部 一般規定
第 一 条
1 この条約において、
(a) 「所定の」とは、国内の法令により又はこれに基づいて定められていることをいう。
(b) 「居住」とは、加盟国の領域内に通常居住することをいい、「居住者」とは、加盟国の領域内に通常居住する者をいう。
(c) 「妻」とは、夫によつて扶養されている妻をいう。
(d) 「寡婦」とは、夫の死亡の当時夫によつて扶養されていた女子をいう。
(e) 「子」とは、国内の法令で定めるところにより、義務教育終了年齢又は十五歳に達しない子をいう。
(f) 「資格期間」とは、国内の法令で定めるところにより、拠出期間、雇用期間若しくは居住期間又はこれらの組合せをいう。
2 第十条、第三十四条及び第四十九条において、「給付」とは、医療の直接給付又は関係者が負担した費用の償還による間接給付をいう。
第 二 条
この条約の適用を受ける各加盟国は、
(a) 次の規定を履行する。
(i) 第一部の規定
(ii) 第二部から第十部までのうち少なくとも三の部(第四部から第六部まで、第九部及び第十部のうち少なくとも一の部を含むことを要する。)の規定
(iii) 第十一部から第十三部までの関係規定
(iv) 第十四部の規定
(b) その批准に際し、第二部から第十部までのうちこの条約の義務を受諾する部を指定する。
第 三 条
1 経済及び医療施設が十分に発達していない加盟国は、権限のある機関が必要と認める場合には、当該機関が必要と認める間、その批准に際して付する宣言により、第九条(d)、第十二条2、第十五条(d)、第十八条2、第二十一条(c)、第二十七条(d)、第三十三条(b)、第三十四条3、第四十一条(d)、第四十八条(c)、第五十五条(d)及び第六十一条(d)に定める暫定的な例外規定を援用することができる。
2 1の規定に基づく宣言を行つた各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に従つて提出するこの条約の適用に関する年次報告において、自国が援用しているそれぞれの例外規定について次のいずれかのことを述べる。
(a) 当該例外規定を援用する理由が引き続き存在していること。
(b) 当該例外規定を一定の日以後は援用しないこと。
第 四 条
1 この条約を批准した各加盟国は、その後において、国際労働事務局長に対し、第二部から第十部までのうちその批准に際して指定しなかつた一又は二以上の部についてこの条約の義務を受諾することを通告することができる。
2 1にいう義務の受諾は、批准の不可分の一部とみなされ、かつ、通告の日から批准と同一の効力を有する。
第 五 条
加盟国は、第二部から第十部までのうちその批准によつて義務を受諾することとなる部の規定を履行するに当たり被用者又は居住者の特定の百分率以上を構成する所定の種類の者を保護することが必要とされる場合には、その部の規定の履行を約束することに先立ち、所定の種類の者が当該特定の百分率に達していることを確認する。
第 六 条
加盟国は、第二部、第三部、第四部、第五部、第八部(医療に関する規定に限る。)、第九部又は第十部の規定を履行するに当たり、保護対象者について国内の法令により強制的なものとされていない保険であつて次の(a)から(c)までの要件に合致するものによつて行われる保護を考慮に入れることができる。
(a) 公の機関が監督し、又は使用者及び労働者が所定の基準に従つて共同で管理すること。
(b) 男子熟練労働者の勤労所得を超えない勤労所得を有する者のかなりの部分を対象とすること。
(c) 適当な場合には他の形式の保護との組合せにより、この条約の関係規定に適合すること。
第 二 部 医療
第 七 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、予防又は治療の性質を有する医療を必要とする状態に係る給付が与えられることを確保する。
第 八 条
給付事由は、すべての負傷又は疾病(原因のいかんを問わない。)並びに妊娠、分べん及びこれらの結果とする。
第 九 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者並びにその妻及び子
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者並びにその妻及び子
(c) すべての居住者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の居住者
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者並びにその妻及び子
第 十 条
1 給付には、少なくとも次のものを含む。
(a) 負傷又は疾病については、
(i) 一般医による診療(往診を含む。)
(ii) 病院における入院患者及び通院患者に対する専門医による診療並びに病院外で行うことができる専門医による診療
(iii) 医師その他資格のある者の処方による欠くことのできない薬剤
(iv) 必要がある場合の病院への収容
(b) 妊娠、分べん及びこれらの結果については、
(i) 医師又は資格のある助産婦による分べんの介助及び産前産後の手当
(ii) 必要がある場合の病院への収容
2 受給者が負傷又は疾病について受ける医療の費用は、受給者又は受給者の扶養者にその一部を負担させることができる。この費用負担に関する規則は、関係者が過重な負担を被らないように作成しなければならない。
3 この条の規定に基づく給付は、保護対象者の健康、労働能力及び自己の用を足す能力を維持し、回復し又は改善することを目的として支給しなければならない。
4 給付を管理する団体又は官庁は、適当と認められる手段により、公の機関又は公の機関の認める団体によつて保護対象者の利用に供された一般的な保健に関する施設を保護対象者が利用することを奨励する。
第 十 一 条
前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、保護対象者であつて、濫用を防止するために必要と認められる資格期間を満たしているもの又はその扶養者がこれを満たしているものに対して確保しなければならない。
第 十 二 条
1 第十条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、負傷又は疾病については、給付の支給期間は、同一の負傷又は疾病につき二十六週間に制限することができる。もつとも、給付は、傷病給付が支給されている間は、停止してはならないものとし、また、長期の療養が必要であると認められる所定の疾病については、その制限された期間を延長するための措置を講じなければならない。
2 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、給付の支給期間は、同一の負傷又は疾病につき十三週間に制限することができる。
第 三 部 傷病給付
第 十 三 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、傷病給付が与えられることを確保する。
第 十 四 条
給付事由は、負傷又は疾病に起因し、かつ、勤労所得の停止を伴う労働不能であつて、国内の法令で定めるものとする。
第 十 五 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
(c) 給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するように国内の法令で定める限度額を超えないすべての居住者
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
第 十 六 条
1 所定の種類の被用者又は所定の種類の経済活動従事者を保護対象者とする場合には、給付は、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金とする。
2 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすベての居住者を保護対象者とする場合には、給付は、第六十七条の要件に適合するように算定される定期金とする。
第 十 七 条
前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、濫用を防止するために必要と認められる資格期間を満たしている保護対象者に対して確保しなければならない。
第 十 八 条
1 第十六条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、給付の支給期間は、同一の負傷又は疾病につき二十六週間に制限することができるものとし、また、給付は、勤労所得の停止の最初の三日間については支給することを要しない。
2 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、給付の支給期間は、次のいずれかの期間に制限することができる。
(a) 一年間における傷病給付の支給日数の延べ数がその一年間における保護対象者の平均人数の十倍以上の数となるような期間
(b) 同一の負傷又は疾病につき十三週間。この場合において、給付は、勤労所得の停止の最初の三日間については支給することを要しない。
第 四 部 失業給付
第 十 九 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、失業給付が与えられることを確保する。
第 二 十 条
給付事由は、労働能力を有し、かつ、就労することができる状態にある保護対象者が被る適当な職業に就くことができないことによる勤労所得の停止であつて、国内の法令で定めるものとする。
第 二 十 一 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するように国内の法令で定める限度額を超えないすべての居住者
(c) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
第 二 十 二 条
1 所定の種類の被用者を保護対象者とする場合には、給付は、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金とする。
2 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居住者を保護対象者とする場合には、給付は、第六十七条の要件に適合するように算定される定期金とする。
第 二 十 三 条
前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、濫用を防止するために必要と認められる資格期間を満たしている保護対象者に対して確保しなければならない。
第 二 十 四 条
1 第二十二条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、給付の支給期間は、次のいずれかの期間に制限することができる。
(a) 所定の種類の被用者を保護対象者とする場合には、十二箇月の期間内において十三週間
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居住者を保護対象者とする場合には、十二箇月の期間内において二十六週間
2 給付の支給期間が拠出期間の長さ又は所定の期間内に既に受けた給付によつて異なることを国内の法令で定めている場合において、給付の平均支給期間が十二箇月の期間内において少なくとも十三週間であるときは、1(a)の規定は、満たされたものとみなす。
3 給付は、同一の勤労所得の停止につき最初の七日の待期期間については支給することを要しない。この場合において、所定の期間を超えない一時的就業の前後における失業日数は、同一の勤労所得の停止に係るものとして計算する。
4 季節的労働者については、給付の支給期間及び待期期間をその就業の条件に適合させることができる。
第 五 部 老齢給付
第 二 十 五 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、老齢給付が与えられることを確保する。
第 二 十 六 条
1 給付事由は、所定の年齢を超えて生存していることとする。
2 所定の年齢は、六十五歳を超えない年齢又は権限のある機関が当該国の高年齢者の労働能力に十分な考慮を払つて定める六十五歳より高い年齢とする。
3 給付を受ける権利を有すべき者が所定の有償の活動に従事している場合に当該給付を停止すること、並びに拠出制による給付については受給者の勤労所得が所定の額を超える場合及び無拠出制による給付については受給者の勤労所得若しくは勤労所得以外の資産の価額又はこれらを合算した額が所定の額を超える場合に当該給付を減額することを、国内の法令で定めることができる。
第 二 十 七 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
(c) 給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するように国内の法令で定める限度額を超えないすべての居住者
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
第 二 十 八 条
給付は、次の定期金とする。
(a) 所定の種類の被用者又は所定の種類の経済活動従事者を保護対象者とする場合には、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居住者を保護対象者とする場合には、第六十七条の要件に適合するように算定される定期金
第 二 十 九 条
1 前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも次のいずれかの者に対して確保しなければならない。
(a) 給付事由が生ずる前に、拠出若しくは雇用について三十年又は居住について二十年の資格期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者を保護対象者とする場合には、拠出について所定の資格期間を満たしている保護対象者であつて、労働年齢にあつた間に所定の年平均納付回数の拠出金の納付が行われたもの
2 1の給付が拠出又は雇用について最小限の期間の満了を条件とする場合には、少なくとも次のいずれかの者に対し、減額された給付を確保しなければならない。
(a) 給付事由が生ずる前に、拠出又は雇用について十五年の資格期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者を保護対象者とする場合には、拠出について所定の資格期間を満たしている保護対象者であつて、労働年齢にあつた間に1(b)にいう所定の年平均納付回数の二分の一の回数の拠出金の納付が行われたもの
3 第十一部の付表に掲げる関係標準受給者に係る百分率を当該百分率から百分の十の率を減じた百分率とした上で同部の要件に適合するように算定された給付が、少なくとも、拠出若しくは雇用について十年又は居住について五年の期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者に対して確保される場合には、1の要件は、満たされたものとみなす。
4 給付のために必要とされる資格期間が拠出又は雇用について十年を超え三十年に満たない場合には、給付は、第十一部の付表に掲げる百分率を比例的に減算して得た百分率により算定された給付とすることができる。この場合において、当該資格期間が十五年を超えるときは、減額された給付を2の規定に適合するように支給しなければならない。
5 1、3又は4の給付が拠出又は雇用について最小限の期間の満了を条件とする場合には、この部の適用についての関係規定の効力発生の時に年齢が高いという理由のみにより、2の規定に従つて国内の法令で定める条件を満たすことができない保護対象者に対し、減額された給付を所定の条件に従つて支給しなければならない。ただし、そのような者に対し、1、3又は4の規定に適合する給付が通常の年齢より高い年齢で確保されている場合は、この限りでない。
第 三 十 条
前二条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。
第 六 部 業務災害給付
第 三 十 一 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、業務災害給付が与えられることを確保する。
第 三 十 二 条
給付事由は、業務に起因する事故又は所定の職業病による次のものとする。
(a) 負傷又は疾病
(b) 負傷又は疾病に起因し、かつ、勤労所得の停止を伴う労働不能であつて、国内の法令で定めるもの
(c) 所得能力の全部喪失若しくは所定の程度を超える所得能力の一部喪失で永久的なものとなるおそれがあるもの又はこれらに相当する身体機能の喪失
(d) 扶養者の死亡の結果として寡婦又は子が被る扶養の喪失。ただし、寡婦の給付を受ける権利については、国内の法令に従いその者が自活することができない状態にあるとされることを条件とすることができる。
第 三 十 三 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者並びに、扶養者の死亡に係る給付については、当該所定の種類の被用者の妻及び子
(b) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者並びに、扶養者の死亡に係る給付については、当該所定の種類の被用者の妻及び子
第 三 十 四 条
1 負傷又は疾病については、給付は、2及び3に規定する医療とする。
2 医療は、次のものから成る。
(a) 入院患者及び通院患者に対する一般医及び専門医による診療(往診を含む。)
(b) 歯科診療
(c) 家庭又は病院その他の医療施設における看護
(d) 病院、回復期療養所、サナトリウムその他の医療施設への収容
(e) 歯科用治療材料、薬剤その他の内科用又は外科用の治療材料(補装具及びその修理を含む。)及び眼鏡
(f) 医業に類するものとして法律上認められる職業に従事する者が医師又は歯科医師の監督の下に行う診療
3 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、医療には、少なくとも次のものを含む。
(a) 一般医による診療(往診を含む。)
(b) 病院における入院患者及び通院患者に対する専門医による診療並びに病院外で行うことができる専門医による診療
(c) 医師その他資格のある者の処方による欠くことのできない薬剤
(d) 必要がある場合の病院への収容
4 1から3までの規定に基づく医療は、保護対象者の健康、労働能力及び自己の用を足す能力を維持し、回復し又は改善することを目的として支給しなければならない。
第 三 十 五 条
1 医療を管理する団体又は官庁は、心身障害者を適当な業務に再び就かせることを目的として、一般的な職業リハビリテーション事業と適宜協力する。
2 1の団体又は官庁に対しては、国内の法令により、心身障害者の職業リハビリテーションのための措置をとることを認めることができる。
第 三 十 六 条
1 労働不能、永久的なものとなるおそれのある所得能力の全部喪失若しくはこれに相当する身体機能の喪失又は扶養者の死亡については、給付は、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金とする。
2 永久的なものとなるおそれのある所得能力の一部喪失又はこれに相当する身体機能の喪失については、給付は、支給する場合には、所得能力の全部喪失又はこれに相当する身体機能の喪失に係る定期金に対して適当な比率の定期金とする。
3 次のいずれかの場合には、定期金は、一時金として支給することができる。
(a) 不能又は喪失の程度が軽微である場合
(b) 一時金が適切に使用されると権限のある機関が認める場合
第 三 十 七 条
第三十四条及び前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、事故の発生の当時又は職業病にかかつた当時自国の領域内で雇用されていた保護対象者に対し、また、扶養者の死亡に係る定期金については、当該保護対象者の寡婦及び子に対して確保しなければならない。
第 三 十 八 条
第三十四条及び第三十六条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、労働不能に係る給付は、同一の勤労所得の停止につき最初の三日間については支給することを要しない。
第 七 部 家族給付
第 三 十 九 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、家族給付が与えられることを確保する。
第 四 十 条
給付事由は、国内の法令で定めるところにより、子を扶養する責務とする。
第 四 十 一 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
(c) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居住者
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
第 四 十 二 条
給付は、次のいずれかのものとする。
(a) 所定の資格期間を満たしているすべての保護対象者に支給される定期金
(b) 子に対し又は子に関して与えられる食物、衣類、住居、休暇又は家事手伝い
(c) (a)及び(b)の組合せ
第 四 十 三 条
前条の給付は、少なくとも、拠出若しくは雇用について三箇月又は居住について一年の資格期間のいずれかであつて国内の法令で定めるものを所定の期間内に満たしている保護対象者に対して確保しなければならない。
第 四 十 四 条
第四十二条の規定に従い保護対象者に対して支給される給付の価額の合計額は、次のいずれかの額に相当するものでなければならない。
(a) 第六十六条に定める規則に従つて決定する普通成年男子労働者の賃金の三パーセントにすべての保護対象者の子の総数を乗じて得た額
(b) (a)の賃金の一・五パーセントにすべての居住者の子の総数を乗じて得た額
第 四 十 五 条
給付は、定期金である場合には、給付事由が存続する間、支給する。
第 八 部 母性給付
第 四 十 六 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、母性給付が与えられることを確保する。
第 四 十 七 条
給付事由は、妊娠、分べん及びこれらの結果並びに国内の法令で定めるそれらに起因する勤労所得の停止とする。
第 四 十 八 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者のうちのすべての女子及び、母性医療給付については、これらの女子のほか、当該所定の種類に属する男子の妻
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者のうちのすべての女子及び、母性医療給付については、これらの女子のほか、当該所定の種類に属する男子の妻
(c) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者のうちのすべての女子及び、母性医療給付については、これらの女子のほか、当該所定の種類に属する男子の妻
第 四 十 九 条
1 妊娠、分べん及びこれらの結果については、母性医療給付は、2及び3に規定する医療とする。
2 医療には、少なくとも次のものを含む。
(a) 医師又は資格のある助産婦による分べんの介助及び産前産後の手当
(b) 必要がある場合の病院への収容
3 2の医療は、保護対象者の健康、労働能力及び自己の用を足す能力を維持し、回復し又は改善することを目的として支給しなければならない。
4 母性医療給付を管理する団体又は官庁は、適当と認められる手段により、公の機関又は公の機関の認める団体によつて保護対象者の利用に供された一般的な保健に関する施設を保護対象者が利用することを奨励する。
第 五 十 条
妊娠、分べん及びこれらの結果に起因する勤労所得の停止については、給付は、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金とする。定期金の額は、その平均額が第六十五条又は第六十六条の要件に適合することを条件として、給付事由が存する期間を通じて一定の額であることを要しない。
第 五 十 一 条
前二条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、第四十八条に規定する所定の種類に属する女子であつて、濫用を防止するために必要と認められる資格期間を満たしているものに対して確保しなければならない。第四十九条の給付は、また、第四十八条に規定する所定の種類に属する男子がそのような資格期間を満たしているときは、その妻に対しても確保しなければならない。
第 五 十 二 条
第四十九条及び第五十条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、定期金の支給期間は、国内の法令により十二週間を超える休業期間が要求され又は認められている場合を除くほか、十二週間に制限することができる。国内の法令により十二週間を超える休業期間が要求され又は認められている場合には、定期金の支給期間は、この休業期間に満たない期間に制限することができない。
第 九 部 廃疾給付
第 五 十 三 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、廃疾給付が与えられることを確保する。
第 五 十 四 条
給付事由は、有償の活動に従事することができない状態(所定の程度のもの)であつて、永久的なものとなるおそれがあるもの及び傷病給付の受給の終了後も存続するものとする。
第 五 十 五 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
(c) 給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するように国内の法令で定める限度額を超えないすべての居住者
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
第 五 十 六 条
給付は、次の定期金とする。
(a) 所定の種類の被用者又は所定の種類の経済活動従事者を保護対象者とする場合には、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居住者を保護対象者とする場合には、第六十七条の要件に適合するように算定される定期金
第 五 十 七 条
1 前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも次のいずれかの者に対して確保しなければならない。
(a) 給付事由が生ずる前に、拠出若しくは雇用について十五年又は居住について十年の資格期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者を保護対象者とする場合には、拠出について三年の資格期間を満たしている保護対象者であつて、労働年齢にあつた間に所定の年平均納付回数の拠出金の納付が行われたもの
2 1の給付が拠出又は雇用について最小限の期間の満了を条件とする場合には、少なくとも次のいずれかの者に対し、減額された給付を確保しなければならない。
(a) 給付事由が生ずる前に、拠出又は雇用について五年の資格期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者を保護対象者とする場合には、拠出について三年の資格期間を満たしている保護対象者であつて、労働年齢にあつた間に1(b)にいう所定の年平均納付回数の二分の一の回数の拠出金の納付が行われたもの
3 第十一部の付表に掲げる関係標準受給者に係る百分率を当該百分率から百分の十の率を減じた百分率とした上で同部の要件に適合するように算定された給付が、少なくとも、拠出、雇用又は居住について五年の期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者に対して確保される場合には、1の要件は、満たされたものとみなす。
4 給付のために必要とされる資格期間が拠出又は雇用について五年を超え十五年に満たない場合には、給付は、第十一部の付表に掲げる百分率を比例的に減算して得た百分率により算定された給付とすることができる。この場合には、減額された給付を2の規定に適合するように支給しなければならない。
第 五 十 八 条
前二条の給付は、給付事由が存続する間又は老齢給付が支給されることとなるまでの間、支給する。
第 十 部 遺族給付
第 五 十 九 条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に対し、遺族給付が与えられることを確保する。
第 六 十 条
1 給付事由は、扶養者の死亡の結果として寡婦又は子が被る扶養の喪失とする。ただし、寡婦の給付を受ける権利については、国内の法令に従いその者が自活することができない状態にあるとされることを条件とすることができる。
2 給付を受ける権利を有すべき者が所定の有償の活動に従事している場合に当該給付を停止すること、並びに拠出制による給付については受給者の勤労所得が所定の額を超える場合及び無拠出制による給付については受給者の勤労所得若しくは勤労所得以外の資産の価額又はこれらを合算した額が所定の額を超える場合に当該給付を減額することを、国内の法令で定めることができる。
第 六 十 一 条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者のうち扶養者であるものの妻及び子
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者のうち扶養者であるものの妻及び子
(c) 扶養者を失つており、かつ、給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するように国内の法令で定める限度額を超えないすべての寡婦及び子(居住者であるものに限る。)
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者のうち扶養者であるものの妻及び子
第 六 十 二 条
給付は、次の定期金とする。
(a) 所定の種類の被用者又は所定の種類の経済活動従事者を保護対象者とする場合には、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居住者を保護対象者とする場合には、第六十七条の要件に適合するように算定される定期金
第 六 十 三 条
1 前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも次のいずれかの者に対して確保しなければならない。
(a) 扶養者が拠出若しくは雇用について十五年又は居住について十年の資格期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者の妻及び子を保護対象者とする場合には、保護対象者であつて、その扶養者が拠出について三年の資格期間を満たしており、かつ、当該扶養者について、労働年齢にあつた間に所定の年平均納付回数の拠出金の納付が行われたもの
2 1の給付が拠出又は雇用について最小限の期間の満了を条件とする場合には、少なくとも次のいずれかの者に対し、減額された給付を確保しなければならない。
(a) 扶養者が拠出又は雇用について五年の資格期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者の妻及び子を保護対象者とする場合には、保護対象者であつて、その扶養者が拠出について三年の資格期間を満たしており、かつ、当該扶養者について、労働年齢にあつた間に1(b)にいう所定の年平均納付回数の二分の一の回数の拠出金の納付が行われたもの
3 第十一部の付表に掲げる関係標準受給者に係る百分率を当該百分率から百分の十の率を減じた百分率とした上で同部の要件に適合するように算定された給付が、少なくとも、扶養者が拠出、雇用又は居住について五年の期間を所定の規則に従つて満たしている保護対象者に対して確保される場合には、1の要件は、満たされたものとみなす。
4 給付のために必要とされる資格期間が拠出又は雇用について五年を超え十五年に満たない場合には、給付は、第十一部の付表に掲げる百分率を比例的に減算して得た百分率により算定された給付とすることができる。この場合には、減額された給付を2の規定に適合するように支給しなければならない。
5 子を有しない寡婦で自活することができない状態にあるとされるものが遺族給付を受ける権利を取得するためには、婚姻が最小限の期間存続していたことを要件とすることができる。
第 六 十 四 条
前二条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。
第 十 一 部 定期金の算定基準
第 六 十 五 条
1 この条の規定の適用を受ける定期金については、給付の額と給付事由の存する期間中に支給される家族手当の額との合計額が、当該給付事由に関し、この部の付表に掲げる標準受給者にあつては、受給者又は受給者の扶養者の従前の勤労所得の額と標準受給者と同一の家族的責任を有する保護対象者に支給される家族手当の額との合計額に同付表の百分率を乗じて得た額に少なくとも達するようにする。
2 受給者又は受給者の扶養者の従前の勤労所得は、所定の規則によつて計算する。保護対象者又は保護対象者の扶養者がその勤労所得に従つて階層に分類されているときは、その者の従前の勤労所得は、その者が属していた階層の標準勤労所得によつて計算することができる。
3 給付の額又は給付の計算に当たつて考慮される勤労所得については、最高限度を国内の法令で定めることができる。ただし、この最高限度は、受給者又は受給者の扶養者の従前の勤労所得が男子熟練労働者の賃金に等しく又はこれより低い場合について1の規定が満たされるように定める。
4 受給者又は受給者の扶養者の従前の勤労所得、男子熟練労働者の賃金、給付及び家族手当は、同一の時点を基礎として計算する。
5 標準受給者以外の受給者に対する給付は、標準受給者に対する給付と合理的な関係になければならない。
6 この条の規定の適用上、男子熟練労働者は、次のいずれかの者とする。
(a) 電気機械製造業以外の機械製造業の取付工又は旋盤工
(b) 7の規定に基づいて選定される典型的な熟練労働者
(c) すべての保護対象者のうちの七十五パーセントの者の勤労所得と比較してこれに等しいか又はこれを超えることとなる勤労所得を有する者。この場合において、勤労所得は、国内の法令で定めるところにより一年又はこれより短い期間を基準とする。
(d) すべての保護対象者の勤労所得の平均の百二十五パーセントに等しい勤労所得を有する者
7 6(b)の規定の適用上、典型的な熟練労働者は、当該給付事由に係る男子保護対象者(経済活動に従事するもの)又は保護対象者の扶養者の最大多数を有する経済活動の大分類中でこれらの男子保護対象者又は扶養者の最大多数を有する中分類において雇用されている者のうちから選定する。このため、千九百四十八年八月二十七日に国際連合経済社会理事会の第七回会期で採択された全経済活動の国際標準産業分類(附属書に掲げるもの)又は改正される場合にはその改正後の分類を使用する。
8 給付の額が地域によつて異なる場合には、男子熟練労働者を6及び7の規定に従つて地域ごとに決定することができる。
9 男子熟練労働者の賃金は、労働協約によつて定められ、国内の法令の適用があるときはこれにより若しくはこれに基づいて定められ、又は慣習によつて定められる通常の労働時間の賃金(生計費手当があるときはこれを含む。)を基準として決定する。これらの賃金が地域によつて異なり、かつ、8の規定が適用されない場合には、中位の賃金を採用する。
10 老齢、業務災害(労働不能の場合を除く。)、廃疾及び扶養者の死亡に係る定期金の額は、生計費のかなりの変動の結果として一般勤労所得水準にかなりの変動が生じた場合には、再検討される。
第 六 十 六 条
1 この条の規定の適用を受ける定期金については、給付の額と給付事由の存する期間中に支給される家族手当の額との合計額が、当該給付事由に関し、この部の付表に掲げる標準受給者にあつては、普通成年男子労働者の賃金の額と標準受給者と同一の家族的責任を有する保護対象者に支給される家族手当の額との合計額に同付表の百分率を乗じて得た額に少なくとも達するようにする。
2 普通成年男子労働者の賃金並びに給付及び家族手当は、同一の時点を基礎として計算する。
3 標準受給者以外の受給者に対する給付は、標準受給者に対する給付と合理的な関係になければならない。
4 この条の規定の適用上、普通成年男子労働者は、次のいずれかの者とする。
(a) 電気機械製造業以外の機械製造業の典型的な不熟練労働者
(b) 5の規定に基づいて選定される典型的な不熟練労働者
5 4(b)の規定の適用上、典型的な不熟練労働者は、当該給付事由に係る男子保護対象者(経済活動に従事するもの)又は保護対象者の扶養者の最大多数を有する経済活動の大分類中でこれらの男子保護対象者又は扶養者の最大多数を有する中分類において雇用されている者のうちから選定する。このため、千九百四十八年八月二十七日に国際連合経済社会理事会の第七回会期で採択された全経済活動の国際標準産業分類(附属書に掲げるもの)又は改正される場合にはその改正後の分類を使用する。
6 給付の額が地域によつて異なる場合には、普通成年男子労働者を4及び5の規定に従つて地域ごとに決定することができる。
7 普通成年男子労働者の賃金は、労働協約によつて定められ、国内の法令の適用があるときはこれにより若しくはこれに基づいて定められ、又は慣習によつて定められる通常の労働時間の賃金(生計費手当があるときはこれを含む。)を基準として決定する。これらの賃金が地域によつて異なり、かつ、6の規定が適用されない場合には、中位の賃金を採用する。
8 老齢、業務災害(労働不能の場合を除く。)、廃疾及び扶養者の死亡に係る定期金の額は、生計費のかなりの変動の結果として一般勤労所得水準にかなりの変動が生じた場合には、再検討される。
第 六 十 七 条
この条の規定の適用を受ける定期金については、
(a) 給付の額は、所定の給付区分又は権限のある公の機関が所定の規則に従つて定める給付区分によつて決定する。
(b) (a)の額は、受給者及びその家族の当該給付以外の資産の価額が所定のかなりの額又は権限のある公の機関が所定の規則に従つて定めるかなりの額を超える場合に限り、その限度において減額することができる。
(c) 給付と給付以外の資産の価額との合計額から(b)のかなりの額を控除した額は、受給者及びその家族が健康かつ相応な生活を維持するために十分であり、かつ、前条の要件に適合するように算定された対応する給付の額を下回らない額でなければならない。
(d) 当該部の規定に基づいて支払われた給付の総額が、前条の規定及び次に掲げる規定を適用した場合に得られる給付の総額を三十パーセント以上超えるときは、(c)に規定する要件は、満たされたものとみなす。
(i) 第三部については、第十五条(b)の規定
(ii) 第五部については、第二十七条(b)の規定
(iii) 第九部については、第五十五条(b)の規定
(iv) 第十部については、第六十一条(b)の規定
第十一部の付表 標準受給者に対する定期金
部 |
給付事由 |
標準受給者 |
百分率 |
三 |
傷 病 | 妻及び二子を有する男子 | 45 |
四 |
失 業 | 妻及び二子を有する男子 | 45 |
五 |
老 齢 | 年金受給者資格年齢の妻を有する男子 | 40 |
六 |
業務災害 | ||
労働不能 | 妻及び二子を有する男子 | 50 |
|
廃 疾 | 妻及び二子を有する男子 | 50 |
|
遺 族 | 二子を有する寡婦 | 40 |
|
八 |
母 性 | 女子 | 45 |
九 |
廃 疾 | 妻及び二子を有する男子 | 40 |
十 |
遺 族 | 二子を有する寡婦 | 40 |
第 十 二 部 外国人居住者に対する均等待遇
第 六 十 八 条
1 外国人居住者は、自国民居住者と同一の権利を有する。ただし、専ら又は主として公の資金を財源とする給付又は給付の部分及び過渡的な制度については、外国人及び自国の領域外で生まれた自国民に関する特別な規則を国内の法令で定めることができる。
2 被用者を保護対象者とする拠出制の社会保障制度においては、当該部の義務を受諾した他の加盟国の国民である保護対象者は、その部に関して自国民と同一の権利を有する。ただし、この2の規定の適用については、相互主義を規定する二国間又は多数国間の協定の存在を条件とすることができる。
第 十 三 部 共通規定
第 六 十 九 条
第二部から第十部までのいずれかの部の規定に従い保護対象者に支給すべき給付は、次の期間中又は次の場合には、所定の範囲内において停止することができる。
(a) その者が当該加盟国の領域内にいない期間
(b) その者が公の費用又は社会保障の団体若しくは事業の費用で生活を維持している期間。ただし、この生活の維持のための費用の額を超える給付の部分は、受給者の被扶養者に支給する。
(c) その者が他の社会保障給付(家族給付を除き、かつ、現金によるものに限る。)を受けている期間及びその者が同一の事由について第三者から補償を受けている期間。ただし、停止される給付の部分は、当該他の社会保障給付又は第三者による補償の額を超えないものとする。
(d) その者が虚偽の請求をした場合
(e) 給付事由がその者の犯罪行為によつて生じた場合
(f) 給付事由がその者の意図的な不当行為によつて生じた場合
(g) 適当な場合において、その者が、その利用に供された医療若しくはリハビリテーションに関する施設の利用を怠り、又は給付事由の発生若しくは継続の確認若しくは受給者の行うべき行為に関する所定の規則に従わない場合
(h) 失業給付については、その者がその利用に供された職業安定に関する施設を利用しなかつた場合
(i) 失業給付については、その者が労働争議による作業の停止の直接の結果として失業し、又は正当な理由なしに自発的に退職した場合
(j) 遺族給付については、寡婦が男子と同棲(せい)している期間
第 七 十 条
1 すべての請求人は、給付が拒否された場合又は給付の質若しくは量に関する不服がある場合に申立てを行う権利を有する。
2 この条約の適用上、立法機関に対して責任を負う官庁によつて医療が管理されている場合には、医療の拒否又は受けた医療の質に関する不服については、適当な機関に対して審査を請求する権利をもつて、1に定める申立てを行う権利に代えることができる。
3 社会保障に関する問題の処理のために設置され、かつ、保護対象者の代表者が参加する特別の裁定機関によつて請求が解決される場合には、申立てを行う権利は、与えることを要しない。
第 七 十 一 条
1 この条約に基づく給付に要する費用及び当該給付の管理に要する費用は、資産の少ない者が過重な負担を被らないように、かつ、加盟国及び各種類の保護対象者の経済状態を考慮して、保険拠出金若しくは税又はこれらの双方によつて集団的に負担されなければならない。
2 保護対象者である被用者が負担する保険拠出金の総額は、被用者並びにその妻及び子の保護にあてられる財源の総額の五十パーセントを超えないものとする。この条件が満たされているかどうかを確認するに当たつては、加盟国が行うこの条約に基づく給付は、家族給付及び特別の部門により行われる場合における業務災害給付を除くほか、そのすべてを全体として考慮することができる。
3 加盟国は、この条約に基づく給付の適正な支給について一般的責任を負い、かつ、この目的のために必要なすべての措置をとるものとし、また、財政的均衡に関して必要な保険数理上の研究及び計算が、定期的に、かつ、いかなる場合にも給付の変更、保険拠出金の額の変更又は当該給付事由を対象とする給付にあてられる税の変更に先立つて、行われることを適宜確保する。
第 七 十 二 条
1 公の機関の規制を受ける団体又は立法機関に対して責任を負う官庁によつて管理が行われていない場合には、保護対象者の代表者は、所定の条件に従つて、運営に参加し又は顧問の資格でこれに参与する。使用者及び公の機関の代表者の参加についても、国内の法令において定めることができる。
2 加盟国は、この条約の適用に関与する団体及び事業の適切な管理について一般的責任を負う。
第 十 四 部 雑則
第 七 十 三 条
この条約は、次のものについては適用しない。
(a) 当該部が当該加盟国について効力を生ずる前に生じた事由
(b) 当該部が当該加盟国について効力を生じた後に生ずる事由に係る給付であつて、給付を受ける権利がこの効力を生じた日前の期間に由来するもの
第 七 十 四 条
この条約は、現存するいずれの条約をも改正するものとみなしてはならない。
第 七 十 五 条
この条約において取り扱われている事項に関して将来総会が採択する条約にその旨の規定がある場合には、当該条約に明記するこの条約の規定は、当該条約を批准した加盟国について当該条約が効力を生ずる日から、その加盟国について適用されなくなる。
第 七 十 六 条
1 この条約を批准する各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に従つて提出するこの条約の適用に関する年次報告中に次のものを含める。
(a) この条約の規定を実施する法令に関する十分な情報
(b) 次に掲げる規定に定める統計的条件を満たしていることについての証拠。証拠を表示するに当たつては、国際労働機関の理事会が表示の統一化に関して行つた示唆に実行可能な限り従うものとする。
(i) 保護対象者の数に関し、第九条(a)、(b)、(c)若しくは(d)、第十五条(a)、(b)若しくは(d)、第二十一条(a)若しくは(c)、第二十七条(a)、(b)若しくは(d)、第三十三条(a)若しくは(b)、第四十一条(a)、(b)若しくは(d)、第四十八条(a)、(b)若しくは(c)、第五十五条(a)、(b)若しくは(d)又は第六十一条(a)、(b)若しくは(d)の規定
(ii) 給付の額に関し、第四十四条、第六十五条、第六十六条又は第六十七条の規定
(iii) 傷病給付の支給期間に関し、第十八条2(a)の規定
(iv) 失業給付の支給期間に関し、第二十四条2の規定
(v) 保護対象者である被用者の保険拠出金が財源中に占める割合に関し、第七十一条2の規定
2 この条約を批准する各加盟国は、第二部から第十部までのうちその批准に際し又は第四条の規定に基づきその後に行う通告において指定しなかつた部に関する自国の法律及び慣行の現況を、理事会が要請する適当な間隔を置いて、国際労働事務局長に報告する。
第 七 十 七 条
1 この条約は、海員又は海上漁船員については適用しない。海員及び海上漁船員の保護のための規定は、国際労働機関の総会によつて採択された千九百四十六年の社会保障(船員)条約及び千九百四十六年の船員年金条約中に設けられている。
2 加盟国は、第二部から第十部までのうちその批准によつて義務を受諾した部の規定に基づいて保護対象者とされる被用者又は居住者に係る百分率を計算するに当たり、海員及び海上漁船員を被用者、経済活動従事者又は居住者の数から除外することができる。
第 十 五 部 最終規定
第 七 十 八 条
この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。
第 七 十 九 条
1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
第 八 十 条
1 国際労働機関憲章第三十五条2の規定に従つて国際労働事務局長に通知する宣言には、次の事項を示さなければならない。
(a) 当該加盟国がこの条約又はこの条約のいずれかの部の規定を変更を加えずに適用することを約束する地域
(b) 当該加盟国がこの条約又はこの条約のいずれかの部の規定を変更を加えて適用することを約束する地域及びその変更の細目
(c) この条約を適用することができない地域及びその適用することができない理由
(d) 当該加盟国が更に事情を検討する間決定を留保する地域
2 1(a)及び(b)に掲げる約束は、批准の不可分の一部とみなされ、かつ、批准と同一の効力を有する。
3 いずれの加盟国も、1(b)、(c)又は(d)の規定に基づきその最初の宣言において行つた留保の全部又は一部をその後の宣言によつていつでも取り消すことができる。
4 いずれの加盟国も、第八十二条の規定に従つてこの条約を廃棄することができる期間中はいつでも、前の宣言の条項を他の点について変更し、かつ、指定する地域に関する現況を述べる宣言を、事務局長に通知することができる。
第 八 十 一 条
1 国際労働機関憲章第三十五条4又は5の規定に従つて国際労働事務局長に通知する宣言は、その宣言によつて受諾するこの条約又はこの条約のいずれかの部の規定を当該地域内で変更を加えずに適用するか又は変更を加えて適用するかを示さなければならない。その宣言は、この条約又はこの条約のいずれかの部の規定を変更を加えて適用することを示している場合には、その変更の細目を示さなければならない。
2 関係のある一若しくは二以上の加盟国又は国際機関は、前の宣言において示した変更を援用する権利の全部又は一部をその後の宣言によつていつでも放棄することができる。
3 関係のある一若しくは二以上の加盟国又は国際機関は、次条の規定に従つてこの条約を廃棄することができる期間中はいつでも、前の宣言の条項を他の点について変更し、かつ、この条約の適用に関する現況を述べる宣言を、事務局長に通知することができる。
第 八 十 二 条
1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約又は第二部から第十部までのうち一若しくは二以上の部を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約又は第二部から第十部までのうち一若しくは二以上の部を廃棄することができる。
第 八 十 三 条
1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准、宣言及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。
第 八 十 四 条
国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准、宣言及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。
第 八 十 五 条
国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。
第 八 十 六 条
1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
(a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第八十二条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
(b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。
第 八 十 七 条
この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。
附 属 書
全経済活動の国際標準産業分類(千九百六十八年までの改正を含む。)
(第65条7項及び第66条5項に従い改正)
大分類、中分類及び小分類表
中分類 | 小分類 | |
大分類 1 農業、狩猟業、林業及び漁業 | ||
11 | 農業及び狩猟業 | |
111 | 農業及び畜産業 | |
112 | 農業的サービス業 | |
113 | 狩猟、わなかけ業及び猟鳥獣増殖業 | |
12 | 林業及び伐木業 | |
121 | 林業 | |
122 | 伐木業 | |
13 | 130 | 漁業 |
大分類 2 鉱業及び採石業 | ||
21 | 210 | 石炭鉱業 |
22 | 220 | 原油鉱業及び天然ガス鉱業 |
23 | 230 | 金属鉱業 |
29 | 290 | その他の鉱業 |
大分類 3 製造業 | ||
31 | 食料品、飲料品及びたばこの製造業 | |
311―312 | 食料品製造業 | |
313 | 飲料品製造業 | |
314 | たばこ製造業 | |
32 | 繊維製品、衣服類及び皮革の製造業 | |
321 | 繊維製品製造業 | |
322 | 衣服類製造業(はき物製造業を除く。) | |
323 | 皮革、皮革製品、皮革代用品の製品及び毛皮製品の製造業(はき物及び衣服類の製造業を除く。) | |
324 | はき物製造業(硬化ゴム製、型ゴム製及びプラスチック製のはき物の製造業を除く。) | |
33 | 木材及び木製品の製造業(家具製造業を含む。) | |
331 | 木材、木製品及びコルク製品の製造業(家具製造業を除く。) | |
332 | 家具及び装備品の製造業(主として金属を材料とする家具及び装備品の製造業を除く。) | |
34 | 紙及び紙製品の製造業、印刷業並びに出版業 | |
341 | 紙及び紙製品の製造業 | |
342 | 印刷業、出版業及び関連産業 | |
35 | 化学薬品、化学製品、石油製品、石炭製品、ゴム製品及びプラスチック製品の製造業 | |
351 | 工業用化学薬品製造業 | |
352 | その他の化学製品の製造業 | |
353 | 石油精製業 | |
354 | 各種の石油製品及び石炭製品の製造業 | |
355 | ゴム製品製造業 | |
356 | 他に分類されないプラスチック製品の製造業 | |
36 | 非金属鉱物製品製造業(石油製品及び石炭製品の製造業を除く。) | |
361 | 陶磁器及び土器の製造業 | |
362 | ガラス及びガラス製品の製造業 | |
369 | その他の非金属鉱物製品の製造業 | |
37 | 第一次金属工業 | |
371 | 鉄鋼一次製品製造業 | |
372 | 非鉄金属一次製品製造業 | |
38 | 金属製品及び機械器具の製造業 | |
381 | 金属製品製造業(機械器具製造業を除く。) | |
382 | 機械製造業(電気機械製造業を除く。) | |
383 | 電気機械、電気装置、電気器具及び電気用品の製造業 | |
384 | 輸送用機械器具製造業 | |
385 | 専門機械器具、理化学機械器具、計測用器械及び制御用器械で他に分類されないもの、写真用品並びに光学用品の製造業 | |
39 | 390 | その他の製造業 |
大分類 4 電気業、ガス業及び水道業 | ||
41 | 410 | 電気業、ガス業及びスチーム業 |
42 | 420 | 水道業 |
大分類 5 建設業 | ||
50 | 500 | 建設業 |
大分類 6 卸売業、小売業、飲食店及び旅館業 | ||
61 | 610 | 卸売業 |
62 | 620 | 小売業 |
63 | 飲食店及び旅館業 | |
631 | 料理店、喫茶店その他の飲食店 | |
632 | 旅館、下宿、キャンプその他の宿泊所 | |
大分類 7 運輸業、倉庫業及び通信業 | ||
71 | 運輸業及び倉庫業 | |
711 | 陸上運輸業 | |
712 | 水上運輸業 | |
713 | 航空運輸業 | |
719 | 運輸関連サービス業 | |
72 | 720 | 通信業 |
大分類 8 金融業、保険業、不動産業及び対企業サービス業 | ||
81 | 810 | 金融業 |
82 | 820 | 保険業 |
83 | 不動産業及び対企業サービス業 | |
831 | 不動産業 | |
832 | 対企業サービス業(機械器具貸付業を除く。) | |
833 | 機械器具貸付業 | |
大分類 9 公共サービス業、対社会サービス業及び対個人サービス業 | ||
91 | 910 | 一般行政機関及び防衛機関 |
92 | 920 | 衛生業及び類似のサービス業 |
93 | 対社会サービス業及び関連公共サービス業 | |
931 | 教育機関 | |
932 | 研究所及び科学機関 | |
933 | 医科サービス機関、歯科サービス機関その他の保健サービス機関及び獣医科サービス機関 | |
934 | 福祉機関 | |
935 | 経済団体、職業団体及び労働団体 | |
939 | その他の対社会サービス業及び関連公共サービス業 | |
94 | 娯楽サービス業及び文化サービス業 | |
941 | 映画その他の娯楽提供業 | |
942 | 図書館、博物館、植物園、動物園及び他に分類されないその他の文化サービス業 | |
949 | 他に分類されない娯楽サービス業 | |
95 | 対個人サービス業及び家事サービス業 | |
951 | 他に分類されない修理サービス業 | |
952 | 洗たく業、洗たくサービス業及び染色業 | |
953 | 家事サービス業 | |
959 | 各種の対個人サービス業 | |
96 | 960 | 国際機関その他の治外法権享有機関 |
大分類 0 分類不能の経済活動 | ||
00 | 000 | 分類不能の経済活動 |