1959年の健康検査(漁船員)条約(第113号)

ILO条約 | 1959/06/19

漁船員の健康検査に関する条約(第113号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百五十九年六月三日にその第四十三回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第五議題の一部である漁船員の健康検査に関する提案の採択を決定し、
 この提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定したので、
 次の条約(引用に際しては、千九百五十九年の健康検査(漁船員)条約と称することができる。)を千九百五十九年六月十九日に採択する。

第 一 条

1 この条約の適用上、「漁船」とは、公有であると私有であるとを問わず、塩水において海上漁業に従事するすべての種類の船舶及び舟艇をいう。
2 権限のある機関は、関係のある漁船所有者団体及び漁船員団体があるときはそれらと協議の上、通常三日をこえる期間航海しない船舶をこの条約の規定の適用から除外することができる。
3 この条約は、港湾又は河口における漁業について、また、スポーツ又はレクリエーションのために漁ろうをする個人については適用しない。

第 二 条

 いかなる者も、その者が海上で行なうべき勤務に適する旨の証明書で権限のある機関が認める医師によつて署名されたものを提示しない限り、いかなる資格においても、漁船内の使用のために雇い入れられてはならない。

第 三 条

1 権限のある機関は、関係のある漁船所有者団体及び漁船員団体があるときはそれらと協議の上、健康検査の内容及び健康証明書に記入すべき事項を定めなければならない。
2 健康検査の内容を定める場合には、検査を受ける者の年令及び従事する職務の性質に対して十分な考慮を払わなければならない。
3 健康証明書は、特に、海上勤務によつて悪化し、若しくはその者を海上勤務に適さないようにするおそれのある病気又は船内の他の者の健康に害を及ぼすおそれのある病気にかかつていないことを証明しなければならない。

第 四 条

1 二十一才未満の年少者の健康証明書は、発給の日から一年をこえない期間効力を有する。
2 二十一才以上の者の健康証明書は、権限のある機関が定める期間効力を有する。
3 証明書の有効期間が航海中に満了した場合には、その航海の終了まで、引き続き効力を有する。

第 五 条

 検査の結果証明書の発給を拒否された者が漁船所有者、漁船所有者団体又は漁船員団体から独立した医事審査員による新たな検査を求めることができるように、措置を講じなければならない。

第 六 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 七 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 八 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。

第 九 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 十 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 十 一 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 十 ニ 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第八条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 三 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。