1965年の最低年齢(坑内労働)条約(第123号)

ILO条約 | 1965/06/22

鉱山の坑内労働に使用することができる最低年齢に関する条約(第123号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百六十五年六月二日にその第四十九回会期として会合し、
 この会期の議事日程の第四議題に含まれる鉱山の坑内労働に使用することができる最低年齢に関する提案の採択を決定し、
 千九百三十五年の坑内作業(女子)条約が、年齢のいかんを問わず鉱山における坑内の作業に女子を使用することを原則として禁止していることに留意し、
 鉱山に適用される千九百三十七年の最低年齢(工業)条約(改正)が、十五歳未満の児童はすべての公私の企業又はその分科において使用され又は労働することができないと規定していることに留意し、
 千九百三十七年の条約が、労働であつてその性質又はそれが行なわれる事情によりそれに使用される者の生命、健康又は道徳に危険なものに関して、国内法令は、年少者又は青年をそれらの労働に使用することができるため十五歳をこえる年齢を定めるか又はこのような年齢を定める権限を適当な機関に付与しなければならないとさらに規定していることに留意し、
 鉱山の坑内労働の性質にかんがみ、このような労働に使用することができるため十五歳をこえる年齢を設定する国際基準が望ましいことを考慮し、
 この基準が国際条約の形式をとるべきであることを決定して、
 次の条約(引用に際しては、千九百六十五年の最低年齢(坑内労働)条約と称することができる。)を千九百六十五年六月二十二日に採択する。

第 一 条

1 この条約の適用上、「鉱山」とは、坑内において人間を使用することにより地下から物質を採取するためのすべての公私の事業場をいう。
2 鉱山の坑内における使用又は労働に関するこの条約の規定は、採石場の坑内における使用又は労働についても適用される。

第 二 条

1 指定された最低年齢に達しない者は、鉱山の坑内において使用され、又は労働してはならない。
2 この条約を批准する各加盟国は、その批准に附する宣言において最低年齢を指定しなければならない。
3 最低年齢は、いかなる場合にも十六歳未満であつてはならない。

第 三 条

 この条約を批准した各加盟国は、その後の宣言により、批准の際に指定した年齢よりも高い最低年齢を指定する旨を国際労働事務局長に通告することができる。

第 四 条

1 この条約の規定の有効な実施を確保するため、権限のある機関は、すべての必要な措置(適当な刑罰を設けることを含む。)を執らなければならない。
2 この条約を批准する各加盟国は、この条約の規定の適用を監督するため、適当な監督制度を維持するものとし、又は適当な監督が実施されることを確認するものとする。
3 国内法令は、この条約の規定の遵守について責任を負う者を定めなければならない。
4 使用者は、坑内において使用され又は労働する者であつて指定された最低年齢を二年以上こえないものについて次の事項を記載した記録を保持し、かつ、監督官の利用に供さなければならない。
 (a) 生年月日(可能な限り正当な証明を受けるものとする。)
 (b) 関係企業の坑内において初めて使用され又は労働した年月日
5 使用者は、坑内において使用され又は労働する者であつて指定された最低年齢を二年以上こえないものの名簿を、労働者代表の要求があるときは、その利用に供さなければならない。前記の名簿は、前記の者の生年月日及び前記の者が関係企業の坑内において初めて使用され又は労働した年月日を記載するものとする。

第 五 条

 第二条及び第三条の規定に従つて指定すべき最低年齢は、関係のある最も代表的な使用者団体及び労働者団体と協議の後決定しなければならない。

第 六 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 七 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 八 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。

第 九 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 十 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 十 一 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 十 二 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第八条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 三 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。