1971年の労働者代表条約(第135号)

ILO条約 | 1971/06/23

企業における労働者代表に与えられる保護及び便宜に関する条約(第135号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百七十一年六月二日にその第五十六回会期として会合し、
 雇用に関する反組合的な差別待遇に対する労働者の保護について規定している千九百四十九年の団結権及び団体交渉権条約の規定に留意し、
 労働者代表に関し、これらの規定を補足することが望ましいことを考慮し、
 前記の会期の議事日程の第五議題である企業における労働者代表に与えられる保護及び便宜に関する提案の採択を決定し、
 その提案が国際条約の形式をとるべきであると決定して、
 次の条約(引用に際しては、千九百七十一年の労働者代表条約と称することができる。)を千九百七十一年六月二十三日に採択する。

第 一 条

 企業における労働者代表は、現行の法令、労働協約又は労使の合意に基づくその他の取決めに従つて行動する限り、労働者代表としての地位若しくは活動、組合員であること又は組合活動への参加を理由としてとられる解雇等のそれらの者にとつて不利益な措置に対する効果的な保護を享有する。

第 二 条

1 労働者代表がその任務を迅速かつ能率的に遂行することができるように、企業における適切な便宜が労働者代表に与えられる。
2 その場合には、国内の労使関係制度の特性並びに当該企業の必要、規模及び能力を考慮する。
3 1の便宜の供与は、当該企業の能率的な運営を妨げるものであつてはならない。

第 三 条

 この条約の適用上、「労働者代表」とは、国内法令又は国内慣行の下で労働者代表と認められる者をいい、次のいずれに該当するかを問わない。
 (a) 労働組合代表、すなわち、労働組合又は労働組合員が指名し又は選挙した代表
 (b) 被選出代表、すなわち、企業の労働者が国内法令又は労働協約に従つて自由に選挙した代表であつて、その任務に当該国において労働組合の専属的特権として認められている活動が含まれていないもの

第 四 条

 国内法令、労働協約、仲裁裁定又は裁判所の判決は、この条約に定める保護及び便宜を受ける権利を有する労働者代表の種類を決定することができる。

第 五 条

 同一企業内に労働組合代表及び被選出代表の双方が存在する場合には、被選出代表の存在が当該労働組合又はその代表の地位を害するために利用されることがないようにし、かつ、被選出代表と当該労働組合及びその代表との間のすべての関係事項に関する協力を奨励するため、必要に応じて適当な措置をとる。

第 六 条

 この条約は、国内法令若しくは労働協約により又は国内慣行に適合するその他の方法で実施することができる。

第 七 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 八 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 九 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。

第 十 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 十 一 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 十 二 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 十 三 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第九条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 十 四 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。