1979年の労働時間及び休息期間(路面運送)条約(第153号)

ILO条約 | 1979/06/27

路面運送における労働時間及び休息期間に関する条約(第153号)
(日本は未批准、仮訳)

 国際労働機関の総会は、
 理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百七十九年六月六日にその第六十五回会期として会合し、
 その会期の議事日程の第五議題である路面運送における労働時間及び休息期間に関する提案の採択を決定し、
 その提案が国際条約の形式をとるべきであると決定して、
 次の条約(引用に際しては、千九百七十九年の労働時間及び休息期間(路面運送)条約と称することができる。)を千九百七十九年六月二十七日に採択する。

第 一 条

1 この条約は、第三者のための運送に従事する企業又は自己のために貨物若しくは乗客を運送する企業のいずれのためであるとを問わず、貨物又は乗客の路面による国内運送又は国際運送に業務用として用いられる車両に乗務する賃金労働者である運転者について適用する。
2 この条約に別段の規定がある場合を除くほか、この条約は、路面運送に業務用として用いられる車両の所有者及び賃金労働者でないその家族についても、運転者として労働する場合には、適用する。

第 二 条

1 各国の権限のある機関は、次のいずれかの運送に用いられる車両を運転する者をこの条約の規定の全部又は一部の適用から除外することができる。
 (a) 都市運送又は一定の種類の都市運送(特殊な技術的運行条件及び地方的事情を考慮するものとする。)
 (b) 農業的又は林業的企業による運送であつて、トラクターその他の地方の農業活動用又は林業活動用の車両により、専ら当該企業の事業のために行われるもの
 (c) 病人及び負傷者の運送、救出又は救助作業のための運送並びに消防業務のための運送
 (d) 国防及び警察業務のための運送並びに、第三者のための運送に従事する企業が行う運送と競合しない場合に限り、その他の公の機関の重要な業務のための運送
 (e) タクシーによる運送
 (f) 使用される車両の種類、旅客若しくは貨物の積載能力、限られた行程又は許可最高速度のために、運転時間及び休息期間に関する特別な規制を要しないと認め得る運送
2 各国の権限のある機関は、1の規定によりこの条約の規定の全部又は一部の適用から除外される運転者の運転時間及び休息期間に関する適当な基準を定める。

第 三 条

 各国の権限のある機関は、この条約の規定が適用される事項に関する決定を行う前に、関係のある代表的な使用者団体及び労働者団体と協議する。

第 四 条

1 この条約の適用上、「労働時間」とは、賃金労働者である運転者が次の作業のために費やす時間をいう。
 (a) 運転その他の車両の走行時間中の作業
 (b) 車両又はその乗客若しくは貨物に関連する補助的作業
2 車両上又は事業場における単なる待ち時間又は待機の時間で運転者が自由に使用することができないものは、各国において、権限のある機関が定める範囲又は労働協約若しくは国内慣行に適合するその他の方法によつて定める範囲で、労働時間とみなすことができる。

第 五 条

1 運転者は、休憩なしに四時間を超えて連続して運転することを許されてはならない。
2 各国の権限のある機関は、特殊な国内事情を考慮の上、一時間以内の範囲で、1に規定する時間を超えることを認めることができる。
3 この条に規定する休憩の長さ及び、適当な場合には、休憩が分割される方法は、各国の権限のある機関が決定する。
4 各国の権限のある機関は、時間表に定められる停車又は作業の断続的な性質により、運転者が十分な休憩を有することを理由として、この条の規定が適用されない場合を明示することができる。

第 六 条

1 最大総運転時間(超過勤務を含む。)は、一日について九時間、一週間について四十八時間を超えてはならない。
2 1に規定する総運転時間は、各国の権限のある機関によつて決定される数の日又は週にわたる平均として計算することができる。
3 1に規定する総運転時間は、特に困難な事情の下で行われる運送活動の場合には減ずるものとする。各国の権限のある機関は、この活動を定義し、かつ、関係のある運転者について適用される総運転時間を決定する。

第 七 条

1 すべての賃金労働者である運転者は、第四条1に定義する継続する五時間の労働時間の後に、休憩を与えられる。
2 1に規定する休憩の長さ及び、適当な場合には、休憩が分割される方法は、各国の権限のある機関が決定する。

第 八 条

1 運転者の一日当たりの休息は、労働日の始業から始まる二十四時間の期間中の少なくとも継続する十時間とする。
2 一日当たりの休息は、各国の権限のある機関によつて決定される期間にわたる平均として計算することができる。ただし、一日当たりの休息は、いかなる場合においても八時間を下回つてはならず、かつ、一週間に二回以上八時間に短縮されてはならない。
3 最低時間数に関する1及び2の規定が遵守されるという条件の下に、各国の権限のある機関は、旅客運送又は貨物運送のいずれが行われるか並びに休息が家庭又はそれ以外の場所のいずれでとられるかに応じ、異なる長さの一日当たりの休息期間を定めることができる。
4 各国の権限のある機関は、二人乗務の車両及び連絡船又は列車を利用する車両の場合には、一日当たりの休息期間の長さ及びその取得の方法に関する1及び2の規定の例外を定めることができる。
5 運転者は、一日当たりの休息期間中において、車両及びその貨物の安全を確保するために必要な予防措置を講じた場合には、車両の中に又はその近くにまることを要求されない。

第 九 条

1 各国の権限のある機関は、次の場合において不可決な作業の遂行のために必要であるときに限り、一時的な例外として、第五条、第六条、第七条及び第八条に規定する運転時間の延長、継続する労働時間の延長及び一日当たりの休息期間の長さの短縮を許可することができる。
 (a) 事故、故障、予見されない遅延、運行の乱れ又は交通断の場合
 (b) 不可抗力の場合
 (c) 公益事業の業務の運営を確保するために緊急にかつ例外的に必要な場合
2 路面運送に係る国内事情又は地方的事情が、第五条、第六条、第七条又は第八条の厳格な遵守に適さない場合には、各国の権限のある機関は、これらの条に規定する運転時間の延長、継続する労働時間の延長及び一日当たりの休息期間の長さの短縮を認め、第一条2に規定する運転者に対する第五条、第六条又は第八条の規定の適用に関する例外を認めることができる。このような場合には、当該加盟国は、その批准に際して付する宣言により、これらの国内事情又は地方的事情及びこの2の規定に基づいて認められる延長、短縮又は例外を述べなければならない。当該加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に基づく報告において、第五条、第六条、第七条及び第八条の規定を一層厳格に又は広く適用するために得られた進展を指摘しなければならず、かつ、いつでもその後の宣言により従前の宣言を取り消すことができる。

第 十 条

1 各国の権限のある機関は、
 (a) 個人別管理手帳に関する規定を定め、その交付の条件、その内容及び運転者が保持する方法を定める。
 (b) 第九条1の規定に基づいて作業がなされた時間及びそれらを正当化する事情を届け出るための手段を定める。
2 各使用者は、
 (a) 各国の権限のある機関によつて承認される様式により、使用するすべての運転者の労働時間及び休息の時間を示す記録を行う。
 (b) 各国の権限のある機関によつて決定される方法に従い、監督機関がこの記録を自由に利用し得るようにする。
3 一定の運送部門にとつて必要であることが判明する場合には、1及び2に規定する伝統的な監督手段は、各国の権限のある機関によつて定められる規程に従つて、できる限りタコグラフのような近代的な手段によつて置き換えられ又は補足される。

第 十 一 条

 各国の権限のある機関は、次の事項のための措置をとる。
 (a) 企業内及び路上での検査を含む適当な監督制度
 (b) この条約の要件に違反する場合における相当な刑罰

第 十 二 条

 この条約の規定は、労働協約若しくは仲裁裁定又は国内慣行に適合するその他の方法によつて実施される場合を除くほか、法令によつて実施する。

第 十 三 条

 この条約は、千九百三十九年の労働時間及び休息期間(路面運送)条約を改正する。

第 十 四 条

 この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。

第 十 五 条

1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。

第 十 六 条

1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。その廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1に定める十年の期間が満了した後一年以内にこの条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。

第 十 七 条

1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。

第 十 八 条

 国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。

第 十 九 条

 国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。

第 二 十 条

1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
 (a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第十六条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
 (b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。

第 二 十 一 条

 この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。