1987年の社会保障(船員)条約(改正)(第165号)
船員のための社会保障に関する条約(第165号)
(日本は未批准、仮訳)
国際労働機関の総会は、
理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百八十七年九月二十四日にその第七十四回会期として会合し、
その会期の議事日程の第三議題である船員(自国の旗以外の旗を掲げる船舶に乗り組むものを含む。)のための社会保障の保護に関する提案の採択を決定し、
その提案が千九百三十六年の疾病保険(海上)条約及び千九百四十六年の社会保障(船員)条約を改正する国際条約の形式をとるべきであることを決定して、
次の条約(引用に際しては、千九百八十七年の社会保障(船員)条約(改正)と称することができる。)を千九百八十七年十月九日に採択する。
第 一 部 一般規定
第 一 条
この条約において、
(a) 「加盟国」とは、この条約の拘束を受ける国際労働機関の加盟国をいう。
(b) 「法令」とは、法律、命令及び社会保障に関する規則をいう。
(c) 「船員」とは、資格のいかんを問わず、商業のため貨物若しくは旅客の輸送に従事し、他の商業的な目的で使用され又は海上航行の引き船である海上航行船舶に雇い入れられる者をいい、次の船舶に雇い入れられる者を除く。
(i) 補助機関を有するか有しないかを問わず、主として帆によつて推進する船舶を含む小型船舶
(ii) 石油掘削船及び掘削用のプラットフォーム等の船舶で航行していないもの
(i)及び(ii)の適用を受ける船舶及び装置については、加盟国の権限のある機関が最も代表的な船舶所有者団体及び船員団体と協議の上決定する。
(d) 「被扶養者」とは、国内法令に定める意味を有する。
(e) 「遺族」とは、給付を裁定する法令により遺族として定義され又は認められる者をいい、死亡者と共に生活していたという条件にのみ基づいて関係法令により遺族として定義され又は認められる者の場合には、死亡者から主な扶養を受けていた者について当該条件が満たされているものとみなす。
(f) 「権限のある加盟国」とは、関係者がその法令に基づいて給付を請求することができる加盟国をいう。
(g) 「居住」及び「居住している」とは、通常の居住をいう。
(h) 「一時的に居住している」とは、一時的な滞在をいう。
(i) 「送還」とは、船員がその者に適用される法令又は労働協約に基づいて送還される権利を有する場所への輸送をいう。
(j) 「無拠出制」とは、その裁定が保護対象者若しくはその使用者による直接の費用分担又は職業活動による資格期間に基づかない給付をいう。
(k) 「難民」とは、千九百五十一年七月二十八日の難民の地位に関する条約第一条及び千九百六十七年一月三十一日の難民の地位に関する議定書第一条2に定める意味を有する。
(l) 「無国籍者」とは、千九百五十四年九月二十八日の無国籍者の地位に関する条約第一条に定める意味を有する。
第 二 条
1 この条約は、すべての船員並びに適用可能な場合にはその被扶養者及び遺族に適用する。
2 権限のある機関は、代表的な漁船所有者団体及び漁船員団体と協議の後、実行可能と認める限度でこの条約の規定を商業海洋漁業に適用する。
第 三 条
加盟国は、次の社会保障の部門のうち少なくとも三の部門について第九条又は第十一条の規定に従うものとし、これらの部門には、(c)、(d)、(e)、(h)及び(i)の部門のうちの少なくとも一の部門を含む。
(a) 医療
(b) 傷病給付
(c) 失業給付
(d) 老齢給付
(e) 業務災害給付
(f) 家族給付
(g) 妊産給付
(h) 障害給付
(i) 遺族給付
第 四 条
加盟国は、その批准の時に第三条に掲げる部門のうちのいずれの部門について第九条又は第十一条による義務を受諾するかを指定するものとし、また、指定した部門のそれぞれについて、自国が第九条の最低基準又は第十一条の高度基準のいずれを当該部門に適用するかを別個に表示する。
第 五 条
加盟国は、その後において、国際労働事務局長に対し、第三条に掲げる部門のうちこの条約の批准の時に指定しなかつた一又は二以上の部門について、自国がこの条約の義務を通告の日から履行するものとして受諾することを通告することができる。この場合において、これらの部門のそれぞれについて、自国が第九条の最低基準又は第十一条の高度基準のいずれを当該部門に適用するかを別個に表示するものとする。
第 六 条
加盟国は、その後において、国際労働事務局長への通告でこれがされた日から効力を生ずるものにより、受諾したいずれの部門についても第九条の規定に代えて第十一条の規定を適用することができる。
第 二 部 保護の付与
一般基準
第 七 条
加盟国の法令は、これが適用される船員に対し、第三条に掲げる社会保障の部門で法令が実施されているもののそれぞれについて海岸労働者に与えられている社会保障の保護よりも不利でない保護を与える。
第 八 条
船員のための加盟国の強制社会保障制度を脱退し、海岸労働者のための当該加盟国のこれに相当する制度に加入する者又は海岸労働者のための加盟国の強制社会保障制度を脱退し、船員のための当該加盟国のこれに相当する制度に加入する者による取得の過程にあつた権利の維持のための調整は、関係ある制度の間で行う。
最低基準
第 九 条
加盟国がこの条の規定を社会保障のいずれかの部門に適用することを約束している場合には、当該加盟国の法令により保護される船員並びに適用可能なときはその被扶養者及び遺族は、当該部門の給付事由、裁定の条件、水準及び期間につき、千九百五十二年の社会保障(最低基準)条約のうちの次の規定に定める社会保障の給付よりも不利でない給付を受ける権利を有する。
(a) 医療については、第八条、第十条1から3まで、第十一条及び第十二条1の規定
(b) 傷病給付については、第十四条、第十六条(及び第六十五条、第六十六条又は第六十七条)、第十七条及び第十八条1の規定
(c) 失業給付については、第二十条、第二十二条(及び第六十五条、第六十六条又は第六十七条)、第二十三条及び第二十四条の規定
(d) 老齢給付については、第二十六条、第二十八条(及び第六十五条、第六十六条又は第六十七条)、第二十九条及び第三十条の規定
(e) 業務災害給付については、第三十二条、第三十四条1、2及び4、第三十五条、第三十六条(及び第六十五条又は第六十六条)並びに第三十八条の規定
(f) 家族給付については、第四十条、第四十二条、第四十三条、第四十四条(及び適用可能な場合には第六十六条)及び第四十五条の規定
(g) 妊産給付については、第四十七条、第四十九条1から3まで、第五十条(及び第六十五条又は第六十六条)、第五十一条及び第五十二条の規定
(h) 障害給付については、第五十四条、第五十六条(及び第六十五条、第六十六条又は第六十七条)、第五十七条及び第五十八条の規定
(i) 遺族給付については、第六十条、第六十二条(及び第六十五条、第六十六条又は第六十七条)、第六十三条及び第六十四条の規定
第 十 条
加盟国は、前条(a)、(b)、(c)、(d)、(g)(医療に関する規定に限る。)、(h)又は(i)の規定を履行するに当たり、船員について自国の法令により強制的なものとされていない保険であつて次の(a)から(c)までの要件に合致するものによつて行われる保護を考慮に入れることができる。
(a) 公の機関が監督し又は船舶所有者及び船員が所定の基準に従つて共同で管理すること。
(b) 熟練被用者の勤労所得を超えない勤労所得を有する船員のかなりの部分を対象とすること。
(c) 適当な場合には他の形式の保護との組合せにより、千九百五十二年の社会保障(最低基準)条約の関係規定に適合すること。
高度基準
第 十 一 条
加盟国がこの条の規定を社会保障のいずれかの部門に適用することを約束している場合には、当該加盟国の法令により保護される船員並びに適用可能なときはその被扶養者及び遺族は、給付事由、裁定の条件、水準及び期間につき、次の規定に定める社会保障の給付よりも不利でない給付を受ける権利を有する。
(a) 医療については、千九百六十九年の医療及び疾病給付条約の第七条(a)、第八条、第九条、第十三条、第十五条、第十六条及び第十七条の規定
(b) 傷病給付については、千九百六十九年の医療及び疾病給付条約の第七条(b)、第十八条、第二十一条(及び第二十二条、第二十三条又は第二十四条)、第二十五条並びに第二十六条1及び3の規定
(c) 老齢給付については、千九百六十七年の障害、老齢及び遺族給付条約の第十五条、第十七条(及び第二十六条、第二十七条又は第二十八条)、第十八条、第十九条及び第二十九条1の規定
(d) 業務災害給付については、千九百六十四年の業務災害給付条約の第六条、第九条2及び3柱書き、第十条、第十三条(及び第十九条又は第二十条)、第十四条(及び第十九条又は第二十条)、第十五条1、第十六条、第十七条、第十八条1及び2(並びに第十九条又は第二十条)並びに第二十一条1の規定
(e) 妊産給付については、千九百五十二年の母性保護条約(改正)の第三条及び第四条の規定
(f) 障害給付については、千九百六十七年の障害、老齢及び遺族給付条約の第八条、第十条(及び第二十六条、第二十七条又は第二十八条)、第十一条、第十二条、第十三条及び第二十九条1の規定
(g) 遺族給付については、千九百六十七年の障害、老齢及び遺族給付条約の第二十一条、第二十三条(及び第二十六条、第二十七条又は第二十八条)、第二十四条、第二十五条及び第二十九条1の規定
(h) 失業給付及び家族給付については、第九条(c)及び(f)の基準よりも高度な基準を定める将来の条約におけるこれらの給付であつて、その条約が効力を生じた後、国際労働機関の総会がその議事日程に含まれる特別の海事問題の枠組みの中で採択される議定書によりこの(h)の規定の適用に適合すると認めたもの
第 十 二 条
加盟国は、前条(a)、(b)、(c)、(e)(医療に関する規定に限る。)、(f)、(g)又は(h)(失業給付に限る。)の規定を履行するに当たり、船員について自国の法令により強制的なものとされていない保険であつて次の(a)から(c)までの要件に合致するものによつて行われる保護を考慮に入れることができる。
(a) 公の機関が監督し又は船舶所有者及び船員が所定の基準に従つて共同で管理すること。
(b) 熟練被用者の勤労所得を超えない勤労所得を有する船員のかなりの部分を対象とすること。
(c) 適当な場合には他の形式の保護の組合せにより、前条の(a)から(h)までに掲げる条約の規定に適合すること。
第 三 部 船舶所有者の責任
第 十 三 条
船舶所有者は、その状態により船内で医療が必要な船員又はその状態のため権限のある加盟国以外の国の領域内に残される船員に対し、次のことを提供することを要求される。
(a) 当該船員が治癒し又は送還されるまで(いずれが先に起ころうとも)の適切かつ十分な医療
(b) 当該船員が適当な雇用を得ることができるまで又は送還されるまで(いずれが先に起ころうとも)の食事及び宿泊
(c) 送還
第 十 四 条
その状態のため権限のある加盟国以外の国の領域内に残される船員は、残された時点から、適当な雇用の申出を受け、送還され又は当該加盟国の国内法令若しくは労働協約が定める長さの期間であつて十二週間を下回らないものの満了するまで(いずれが先に起ころうとも)、その賃金(賞与を除く。)の全額を受ける権利を引き続き有する。船舶所有者は、当該船員が権限のある加盟国の法令により現金給付を受ける権利が生じた時から、賃金の支払の責任を免れる。
第 十 五 条
その状態のため送還され又は権限のある加盟国の領域内に上陸させられる船員は、送還又は上陸の時点から、治癒し又は当該加盟国の国内法令若しくは労働協約が定める長さの期間であつて十二週間を下回らないものの満了するまで(いずれが先に起ころうとも)、その賃金(賞与を除く。)の全額を受ける権利を引き続き有する。ただし、前条の規定に基づいて賃金が支払われた期間については、前段の期間より減ずるものとする。船舶所有者は、当該船員が権限のある加盟国の法令により現金給付を受ける権利が生じた時から、賃金の支払の責任を免れる。
第 四 部 外国人船員及び移動船員の保護
第 十 六 条
この部の次の諸条の規定は、第三条に掲げる社会保障の部門であつて一又は二以上の加盟国が自国の法令により船員に対し適用を実施するものについて当該加盟国の法令の適用を受けており又は受けたことのある船員並びに適用可能な場合にはその被扶養者及び遺族に適用する。
第 十 七 条
法律の抵触を避けるため及び保護を欠いていることにより又は拠出金その他の責任若しくは給付の不当な重複の結果として関係者に対して生じさせることのある望ましくない結果を避けるため、船員について適用する法令は、次のことに従つて関係加盟国が決定する。
(a) 船員は、一の加盟国のみの法令の適用を受ける。
(b) (a)の法令は、原則として、船舶がその旗を掲げる加盟国の法令又は船員がその領域内に居住している加盟国の法令
(c) (a)及び(b)の規定にかかわらず、関係加盟国は、関係者の利益のために、相互の合意により、船員に適用する法令に関する他の規定を決定することができる。
第 十 八 条
一の加盟国の法令の適用を受ける船員であつて、他の加盟国の国民である者又は当該一の加盟国の領域内に居住している難民若しくは無国籍者である者は、適用範囲及び給付を受ける権利について、当該一の加盟国の法令に基づいてその国民と均等の待遇を与えられるものとし、また、当該一の加盟国の国民がその領域内に居住していることを条件とすることなく保護される場合には、当該領域内に居住していることを条件とすることなく均等の待遇を与えられる。このような要件は、適当な場合には、国籍のいかんを問わず、船員の被扶養者及び遺族の給付を受ける権利についても適用する。
第 十 九 条
前条の規定にかかわらず、無拠出制による給付の裁定については、受給者が権限のある加盟国の領域内に居住していたことを条件とすることができるものとし、遺族給付には、死亡者が当該領域内に次の期間を超えない期間居住していたことを条件とすることができる。
(a) 失業給付及び妊産給付については、請求の申立ての直前の六箇月
(b) 障害給付については請求の申立ての直前の連続する五年、遺族給付については死亡の直前の連続する五年
(c) 老齢給付については、十八歳から年金受給資格年齢までの間の十年。ただし、このうちの五年については、請求の申立ての直前であることを要件とすることができる。
第 二 十 条
第十三条から第十五条までに定める船舶所有者の責任についての各加盟国の法令は、船員に対し、その居住地にかかわりなく、均等の待遇を与えることを確保する。
第 二 十 一 条
加盟国は、すべての他の関係加盟国と共に、船員の資格で継続して又は交互にその加盟国の法令の適用を受けてきた者の給付のために、第三条に掲げる社会保障の部門であつて加盟国のそれぞれが法令を実施するものについて取得の過程にあつた権利の維持のための制度に参加するよう努める。
第 二 十 二 条
前条の取得の過程にあつた権利の維持のための制度には、権利の取得、維持又は回復及び場合に応じて給付の算定のために、関係加盟国の法令に従つて満たしている保険、雇用又は居住の期間を、必要な範囲内で場合に応じて加算することを定める。
第 二 十 三 条
第二十一条の取得の過程にあつた権利の維持のための制度には、障害給付、老齢給付及び遺族給付の裁定並びに適当な場合には関係費用の分担のための方法を定める。
第 二 十 四 条
加盟国は、自国の法令に基づいて権利が与えられる障害現金給付、老齢現金給付、遺族現金給付、業務災害に係る年金及び死亡一時金を加盟国の国民又は難民若しくは無国籍者である受給者に対し、その居住地にかかわりなく、必要な場合には加盟国間又は関係国との間の合意により、このための措置をとることを条件として支給することを保証する。
第 二 十 五 条
前条の規定にかかわらず、無拠出制による給付の場合には、関係加盟国は、相互の合意により、権限のある加盟国の領域外に居住している受給者に対して当該給付の支給を保証する条件を決定する。
第 二 十 六 条
第二十四条に定める社会保障の部門の一又は二以上につき千九百六十二年の均等待遇(社会保障)条約の義務を受諾している加盟国で、千九百八十二年の社会保障の権利保全条約の義務を受諾していないものは、千九百六十二年の均等待遇(社会保障)条約の義務を受諾している部門について、同条の規定に代えて同条約第五条の規定を適用することができる。
第 二 十 七 条
関係加盟国は、自国の法令により船員に対し適用を実施する次の社会保障の部門のそれぞれについてその法令に基づいて与えられる権利の維持のための制度に参加するよう努める。医療、傷病給付、失業給付、年金及び死亡一時金以外の業務災害給付、家族給付並びに妊産給付。これらの制度は、権限のある加盟国以外の当該関係加盟国の一の領域内に居住しており又は一時的に居住している者に対し、関係加盟国間の相互の合意により決定される条件により及びその限度内で、これらの給付を保証する。
第 二 十 八 条
この部の規定は、社会扶助及び医療扶助には適用しない。
第 二 十 九 条
加盟国は、二以上の加盟国の間で締結した二国間又は多数国間の文書の枠内で特別の措置をとることをもつて、第十六条から第二十五条まで及び第二十七条の規定に代えることができる。ただし、この特別の措置は、他の加盟国の権利及び義務に影響を及ぼさず、かつ、全体としてこれら各条に定める社会保障と少なくとも同等の好意的社会保障について、外国船員及び移民船員の保護を定めるものであることを条件とする。
第 五 部 法律上及び行政上の保障
第 三 十 条
すべての関係者は、給付が拒否された場合又は給付の種類、水準、量若しくは質に関する不服がある場合に申立てを行う権利を有する。
第 三 十 一 条
立法機関に対して責任を負う官庁によつて医療が管理されている場合には、すべての関係者は、前条に規定する申立てを行う権利に加えて、医療の拒否又は受けた医療の質に関する不服について、適当な機関に対して審査を請求する権利を有する。
第 三 十 二 条
加盟国は、第十三条から第十五条までに定める船舶所有者の責任に関する紛争を迅速かつ低廉に解決することを確実にするための規定を設ける。
第 三 十 三 条
加盟国は、この条約に定めるところにより支給される給付の適正な支給について一般的責任を負うものとし、このために必要なすべての措置をとる。
第 三 十 四 条
加盟国は、この条約の適用に関与する団体及び事業の適切な管理について一般的責任を負う。
第 三 十 五 条
公の機関の規制を受ける団体又は立法機関に対して責任を負う官庁によつて管理が行われていない場合には、
(a) 保護対象船員の代表者は、国内法令の定める条件に従つて、運営に参加する。
(b) 国内法令には、また、適当な場合には、船舶所有者の代表者の参加を定める。
(c) 国内法令には、公の機関の代表者の参加についても定めることができる。
第 六 部 最終規定
第 三 十 六 条
この条約は、千九百三十六年の疾病保険(海上)条約及び千九百四十六年の社会保障(船員)条約を改正するものである。
第 三 十 七 条
この条約の正式な批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。
第 三 十 八 条
1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が国際労働事務局長に登録されたもののみを拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の後十二箇月で効力を生ずる。
第 三 十 九 条
この条約を批准する加盟国は、国際労働機関憲章の規定に従つて自国が国際関係に責任を有する非本土地域にこの条約を適用することを約束する。
第 四 十 条
1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によつてこの条約を廃棄することができる。廃棄は、登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、1の十年の期間が満了した後一年以内にこの条に定める廃棄の権利を行使しないものは、その後更に十年間拘束を受けるものとし、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件に従つてこの条約を廃棄することができる。
第 四 十 一 条
1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告する際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。
第 四 十 二 条
国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規定に従つて登録されたすべての批准及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長に通知する。
第 四 十 三 条
国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総会に提出するものとし、また、この条約の全部又は一部の改正に関する問題を総会の議事日程に加えることの可否を検討する。
第 四 十 四 条
1 総会がこの条約の全部又は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その改正条約に別段の規定がない限り、
(a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、第四十条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
(b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。
第 四 十 五 条
この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。