条約・勧告を採択した後の義務

総会で条約が採択されたとき賛成しようと反対しようと、また棄権しようと、こうしたことに関係なく、いったん条約や勧告が出来上がれば、加盟国政府はこれを12ヶ月(特別の場合には18ヶ月)以内に自国の権限のある機関(日本の場合は国会)に提出審議しなければなりません。条約について、もし国会の承認があれば、政府はその批准をILO事務局に通告します。2014年3月現在、加盟国による条約の批准数(議定書を含む)は、7934です。

なお、一般にILO条約は、2つの加盟国による批准がILO事務局に登録されてから1年後に発効し、その後は批准した国ごとに批准登録から1年後に発効しますが、ある発効条約を批准した加盟国は、ILOからの脱退などにより以前に批准した条約を廃棄しようとしても、当該条約の発効後一定期間(通常5年間又は10年間)は廃棄できません。

1. 条約を批准した場合の義務

まず第一に、その条約の諸規定を自国の法令の中に取り入れるため必要なあらゆる措置をとらなければなりません。したがって、もし現行の国内法又は行政措置が条約の規定に抵触する場合は、これを廃止又は改正しなければならず、必要ならば新たに法令を制定したり行政措置を講じなければなりません。

次に、年次報告提出の義務があります。つまり、批准した条約の諸規定を実施するためにとった措置を定期的にILO事務局に報告する義務です。報告の様式は理事会が各条約ごとに決定しますが、その内容は、(1)条約の規定を実施する法律や規則、(2)条約の適用で保護される労働者の数・裁判所の判決・監督官の報告、(3)条約の適用に関する労使団体の意見などです。

先にも述べたように、ILOの条約は他の国際条約と同様、批准という手続によって発効するもので、批准した国にとっては以上のような拘束力をもつことになります。

2. 未批准条約についての義務

まず加盟国は、条約で取り扱われている事項に関する自国の法律や慣行の現況を、理事会の要請する適当な間隔で、ILOの事務局に報告しなければなりません。そしてこの報告には、立法・行政措置・団体協約又はその他によって条約の規定のどの部分がどの程度実施されているか、また実施されようとしているかを明示するとともに、その条約を批准できない理由又は遅延させる障害について述べなければなりません。

3. 勧告に関する義務

勧告についても、勧告で取り扱われている事項に関する自国の法律や慣行の現況を、理事会の要請する適当な間隔で、ILO事務局に報告しなければなりません。

4. 報告の労使団体への送付に関する義務

各国政府はまた、前記のような方法でILO事務局に提出される報告の写しを、国内の代表的労使団体に送付しなければなりません。こうした情報の提供を受けることによって、労使団体は、自国の政府がILOの基準適用についてどのような考え方でいるかを知ることができます。