人工知能

仕事奪うのでなく「補完」する 生成AIで報告書

記者発表 | 2023/08/22
ILOは8月21日、コンピュータが学習したデータを基に新しい情報を作り出す、生成AI(人工知能)が雇用に与える影響についての報告書を発表しました。ほとんどの仕事や産業における自動化の影響は部分的で、生成AIが人に取って代わるというよりもむしろ補完する可能性が高いと報告。これらの最新技術による最大の影響は「雇用破壊ではなく、むしろ仕事の質、特に作業強度や自律性を変える可能性が高い」としました。

報告書 Generative AI and Jobs: A global analysis of potential effects on job quantity and quality は、経済構造や既存の技術格差に関し、発展水準が異なる国々では影響に顕著な差があると述べています。高所得国では全雇用の5.5%が自動化の影響を受ける可能性がある一方、低所得国では自動化が及ぶ雇用は全体の0.4%にとどまると試算しました。

また、雇用が増える可能性は大きな差がなく、適切な政策が講じられれば、この技術変革の波が発展途上国に重要な利益をもたらす可能性があることを示すとも述べました。

その上で、報告書は生成AIの潜在的な影響は男女で大きく異なる可能性が高いと指摘。自動化によって影響を受ける可能性のある女性雇用者の割合は男性に比べ2倍以上であるとしました。特に高、中所得国で女性が事務職に就いているためとされています。

報告書は、生成AIの社会経済的影響は、その普及がどう管理されていくかに大きく左右されるとまとめています。一部の国や市場参加者だけが新技術の恩恵を受けることになる危険性を指摘し、秩序ある、公正で、協議に基づいた「移行(Transition)」を支援する政策を設計すべきで、労働者の声、技能訓練、適切な社会的保護が移行を管理する鍵となる、としました。

※以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。