JICAとILOが協力覚書 「ビジネスと人権」で連携へ

ニュース記事 | 2023/01/06
独立行政法人国際協力機構(以下:JICA)と国際労働機関(以下:ILO)駐日事務所は2023年1月6日、企業活動における人権侵害を防ぐ「ビジネスと人権」の促進のために協力するとした覚書を交わしました。研修や実務者協議を通じ、児童労働の撤廃や移民労働者の人権尊重をはじめとするさまざまな課題に協力して取り組みます。ビジネスと人権分野の包括的な協力覚書を交わすのはJICA、ILO駐日事務所いずれにとっても初めてです。

ビジネスと人権に関しては、日本国内の本社や海外拠点だけでなくサプライチェーン(製品供給網)上での強制労働などの人権侵害リスクがないかを調べ、対応する仕組みづくりが企業に求められています。こうした中、JICAでは、「責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム(JP-MIRAI)」や「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」の会員などとともに、外国人材受け入れやチョコレートの生産プロセス全体における人権侵害リスクの低減に向けた取り組みを推進しています。また、ILO駐日事務所では2020年、日本政府の「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」のとりまとめに参加したほか、2022年には「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」策定にも貢献するなど、ILO多国籍企業宣言や国際労働基準に沿った企業活動の推進のために活動しています。

JICAとILOは今回の協力覚書締結を通じ、双方の専門性や知見を生かしながら、ビジネスと人権の取り組みをより効果的に促進することを目指します。具体的には研修やセミナーに両者の専門家を相互に派遣したり、国内外のステークホルダーに対し共同で働きかけたりと、今後の連携可能性を検討していく予定です。年に一度の実務者協議では、連携に向けた計画やその進捗について話し合いを行います。

協力覚書を手にするJICA・井倉義伸理事(右)とILO駐日代表の高﨑真一=6日午後4時すぎ、東京都千代田区のJICA本部
■独立行政法人国際協力機構(JICA)について
JICAは、開発途上国が直面する課題を解決するため、技術協力、有償資金協力、無償資金協力など日本の政府開発援助(ODA)を一元的に担う二国間援助の実施機関で、150以上の国と地域で事業を展開しています。
国際社会の課題は日本とも密接に関係しています。国内外のパートナーと協力してそれらの解決に取り組み、世界の平和と繁栄、日本社会の更なる発展に貢献します。
詳しくは https://www.jica.go.jp/index.html をご覧ください。

■国際労働機関(ILO)について
ILOは1919年の創設以来、国連機関の中で唯一、政府、労働者、使用者の三者構成をとりながら労働の問題に取り組む国連専門機関です。加盟国は187カ国で、国際労働基準の設定やディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する政策を立案するなどの活動を行っています。