国連総会

国連総会が仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言を承認

記者発表 | 2019/09/16
国連総会における決議の採択

 現在ニューヨークで開催中の第73回国連総会は、6月に開かれた今年のILO総会で採択された「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」を歓迎し、宣言が提案する政策内容を活動に組み込むことの検討を国連諸機関に呼びかける決議を2019年9月16日に採択しました。100周年記念宣言は、ILOの今後の活動の行程表として用いられる文書です。

 決議は社会正義の促進に向けたILOと加盟国政労使の歴史的な役割を歓迎した上で、仕事の未来に向けた人間中心の取り組みの必要性を強調し、「生産的な完全雇用と全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は、持続可能な開発のカギを握る要素であり、したがって諸国の政策及び国際協力の優先目標とすべき」と謳う宣言の姿勢を支持しています。決議はまた、国連の国家レベルにおける主要な計画立案文書である「国連持続可能な開発協力枠組み(従来の国連開発援助枠組み-UNDAFs)」を特に名指しした上で、国連の事業計画、専門機関、基金、金融機関といった国連諸機関に向けて、労使代表と協議の上、宣言の政策内容を活動に組み込むよう検討することを求めています。

 宣言が提案する政策事項には、◇人々が変化する仕事の世界の機会から利益を得られるようその能力を強化すること、◇全ての労働者に十分な保護が確保されるよう労働関連機構・制度を強化すること、◇持続的かつ包摂的で持続可能な経済成長、生産的な完全雇用、全ての人のディーセント・ワークの促進などが含まれています。仕事の未来に関連した事項の重要性と勢いが増すことは、国連諸機関が将来に向けて人間中心の取り組みを促進する機会を提供するものであるため、アントニオ・グテーレス国連事務総長に向けて、関連する報告書を検討する際には100周年記念宣言を考慮に入れることも求めています。

 「ディーセント・ワークの友非公式グループ」の共同議長として、ベルギーの国連常駐代表と共にこの決議の発議人となったジャマイカの国連常駐代表を務めるクルテネイ・ラトレイ大使は、「この決議の採択は、社会対話と国際労働基準の決定的に重要な役割を高めると同時に、多国間主義のさらなる強化に寄与しよう」として、期待を表明しています。

 ガイ・ライダーILO事務局長も決議の採択を歓迎し、次のように語っています。「国連総会による今日の決定は、ILOの活動を評価するものであり、ILOに付託された任務が100年前と同じように今日でもなお時宜を得た重要なものであることを国連全加盟国が認めていることを明らかにしました。この新しい決議が全ての国連加盟国と国連機関に向けて、宣言諸原則の適用を奨励していることは、私たちが仕事の未来に向けた人間中心の取り組みを優先事項とし、生産的な完全雇用とディーセント・ワークを全ての人に生み出すことができるような形で、人々や制度・機構、持続可能な成長に投資することを確保する方向に向けた重要な一歩です」。


 以上はILO国連事務所によるニューヨーク発英文記者発表の抄訳です。