雇用集約型基盤構造計画

ベイルートの爆発から1年:より安全な都市の形成を手助けするILO

 2020年8月4日にレバノンの首都ベイルートで発生した爆発が同市の一部に壊滅的な打撃を与えたことを受け、ILOは雇用集約型基盤構造計画を動員してがれきの除去を開始し、その過程でレバノン国民とシリア難民双方に働きがいのある人間らしい仕事を創出し、希望を生み出しました。1年経った今もILOは生計回復とより安全な都市の構築に向けて協力を続けています。この活動を紹介する広報動画が制作されました。

2021年8月4日発表・アラビア語・英語字幕付・1分22秒

 2020年8月4日にベイルート港で発生した爆発は、経済崩壊、公的サービスの行き詰まり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する苦闘を既に続けていたレバノンの首都を徹底的に破壊しました。

 ベイルートに住むオマール・アルサイドゥーンさんは、自宅の被害は大きく、割れたガラスで姉妹が足に怪我をしたと語っています。

 迅速対応の一環として、ILOはドイツとオランダの資金協力を受けている雇用集約型基盤構造計画を通じて資金・資源の動員を図り、がれきやゴミの除去を手助けしました。レバノン国民とシリア難民両方を対象に、250人分の働きがいのある人間らしい仕事の機会が創出されました。

 シリア難民のモハマド・イブラヒムさんは、経済支援と就労経験が得られるこのプロジェクトに参加する前は全く働いていなかったたため、「賃金だけでなく新たな技能も習得できるのはこのプロジェクトのおかげ」と評価しています。

 ILOは今もなおレバノン当局及び国連と協働し、ビジネスを支援し、働きがいのある人間らしい仕事の創出、生計手段の回復、建物と基盤構造の復旧を通じて、ベイルートの安全性を高めることを目指しています。

 「ベイルートは自分の町であり、ここで暮らし、育ち、幸せな生活を送ってきた」と語るアルサイドゥーンさんは、この自分の町ベイルートのために働かないとしたら誰のために働くというのかと問いかけています。

ベイルート港爆発の被害者に敬意を払う

 ILOは他の国連機関と共に、昨年発生したベイルート港の爆発における人命の喪失を悼み、財産や仕事、生活の糧を失った人々にお見舞いを申し上げます。悲劇的な爆発の現場で催された追悼式典に参列したルバ・ジャラダットILOアラブ総局長はこの1年間を振り返って次のように語っています。

2021年8月4日発表・アラビア語・英語字幕付・1分29秒

 1年前の今日、2020年8月4日に私たちが立っているここ港で発生した壊滅的な爆発は、レバノンの首都ベイルート中心部の多くを破壊しました。約200人が悲劇的な死を迎え、負傷者は数千人に上りました。近隣全てが壊滅し、多数のベイルート住民が不動産や生計手段を破壊されました。ILOの事務所も爆発の被害を受け、複数の職員が負傷しました。

 爆発の結果として、経済・財政の困難、不安定な政治、失業、新型コロナウイルスの大流行によって既によろめいていたレバノンの苦難は強まりました。爆発の影響は今日でもなお響いていますが、レバノンの民はこの国の復旧に向けた賞賛すべき決意をもって事態に対処しています。

 ILOではこの新たなニーズに対応し、パートナーと協働しています。働きがいのある人間らしい仕事の創出、生計手段の回復、中小企業の支援、損壊した建物や基盤構造の復旧、社会的保護の増強、脆弱な労働者の保護、そしてすべての人にとってより安全でより公正なレバノンの構築などといった複数の分野に焦点を当てた活動を展開しています。