第17回アジア太平洋地域会議

「シンガポール声明」承認し閉幕

記者発表 | 2022/12/09
第 17 回アジア太平洋地域会議が12月9日、「シンガポール声明」を承認して4日間の会期を終えて閉幕しました。会議にはアジア太平洋地域とアラブ諸国35カ国から政府、使用者、労働者団体の代表計388人が参加。ジルベール・F・ウングボILO事務局長は閉会式で「(声明は)ILO 加盟国の、そしてILO の支援の下で行われる各国の取り組みに向けた、同地域の優先事項を共有するビジョンである」と述べました。

シンガポール声明は、2016年にインドネシア・バリであった前回の第16回アジア太平洋地域会議後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が数百万人の命を奪い、ビジネスと雇用を荒廃させるなどアジア太平洋地域とアラブ諸国に「未曾有の社会・経済危機」をもたらしたと指摘。回復の兆しはあるものの、均衡ではなく、気候関連の自然災害や食料・エネルギー価格の高騰などの危機が労働市場への影響をさらに深刻化させたと述べています。

声明では、アジア太平洋地域とアラブ諸国の課題と新たな機会を見据え、国家レベルでの行動にあたって一連の優先事項を説明。特にILO の中核的労働基準を批准し、政府、使用者、労働者の代表が効果的な社会対話を実践できるようにする必要があるとし、また三者が結社の自由の促進、団体交渉権の適切な認識を通じ、万人のための労働者保護を保証するよう求めました。

声明はまた、ジェンダー格差是正のための行動を求め、ILO加盟国には関連する国際労働基準の批准と効果的な実施を促し、インフォーマル経済からフォーマル経済への移行を加速させ、移民労働者の権利を保護するためのガバナンス(統治)の枠組みを強化するよう呼びかけています。また、気候変動に直面し、環境的に持続可能な経済と社会を構築できるよう支援する「公正な移行(Just Transition)」も訴え、生産性向上と技能開発の活性化を強調。デジタル・トランスフォーメーション(変革)、デジタル・デバイド(格差)、生涯学習にも焦点を当てています。

さらに声明は、社会的・雇用的保護と強じんな回復力(レジリエンス)のため、基盤を強化する必要があると言及。これには全ての労働者への社会的保護の拡大、労働監査制度や労働安全衛生の強化、適切かつ公正で差別のない賃金のための政策を通じた生活費の上昇への対応、あらゆる形態の強制労働と児童労働の撤廃が含まれています。

※以上はシンガポール発英文記者発表の抄訳です。