ILO理事会

ILO理事会がミャンマーの問題を扱う審査委員会の設置に合意

記者発表 | 2022/03/25

 現在開かれている第344回ILO理事会は2021年2月の軍事クーデター後に国際労働基準の不遵守が見られるミャンマーの問題を取り上げる審査委員会の設置を決定しました。ILOの中で最上位の審査手続きである審査委員会は一般に、深刻な権利侵害がなかなか解消されず、当該国が繰り返し対応を拒絶した場合に設置されます。これまでに14回設置されており、ミャンマーの問題が取り上げられるのは、「1930年の強制労働条約(第29号)」の適用に関して1997年に設置されたものに続き2回目になります。委員会は第29号条約に加え、「1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」の適用に係わる問題を審査します。

 理事会で採択された決議は、「子どもを含む民間人に対する大規模な殺傷暴力の拡大、マフルワゴネ鉄道組合員のアウン・コ・ラット氏の逮捕と拷問」に対する深い懸念を表明し、かかる行為を即時に終結するよう軍に呼びかけています。また、「労働活動家、労働組合員、その他ロヒンギャを含む人々の人権行使に対するハラスメント、威嚇、恣意的な逮捕、身柄拘束」が続いていることを遺憾としています。そして、ミャンマーに対し、労使団体が自由と安全が保障された環境下で、暴力や恣意的な逮捕と身柄拘束から自由な状態で、自らの権利を行使できるよう確保すべきと記しています。

 審査委員会は申し立てられた苦情の完全な調査を遂行する責任を担う独立した3人の委員で構成され、当該事件のあらゆる事実を確認し、苦情が提起された問題に対処するために講じるべき措置に関する提案を行います。

 理事会はまた、「1928年の最低賃金決定制度条約(第26号)」、第87号条約及び「1976年の三者の間の協議(国際労働基準)条約(第144号)」といったILO条約の不遵守の苦情を検討するために2018年3月に設けられた審査委員会の勧告が実施されていないベネズエラの問題も検討しました。申し立てられた苦情は、とりわけ、使用者団体FEDECAMARAS並びにその指導者及び加盟組織の評判をおとしめるキャンペーン、暴力行為その他の攻撃、迫害、ハラスメントに加え、当局による干渉、政労使協議の欠如、社会対話からの排除といった問題を概説しています。

 審査委員会は政府を支持しない労使団体に対するあらゆる暴力行為、脅迫、迫害、不名誉な烙印、威嚇その他あらゆる形態の攻撃の即時停止などを求めています。理事会は最大の懸念を表明すると共に審査委員会の勧告を受諾するよう政府に改めて求めました。決議はベネズエラで社会対話の場が設けられたことに留意しつつ、審査委員会勧告の全面的実施に向けて政府との関与を続けることをILO事務局長に求めています。

 また、「1947年の労働監督条約(第81号)」、第87号条約、「1949年の団結権及び団体交渉権条約(第98号)」の不遵守に関する苦情が申し立てられているバングラデシュに関しては、残っている問題への対処を意図した行程表の政府による適時の実施に関する報告書が提出されました。理事会は報告書に留意し、さらなる行動に関する決定を先送りして2022年11月の理事会にさらなる進展に関する報告を提出するよう政府に求めました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。