図解物語-在宅形態労働

在宅就労:目に見えない労働からディーセント・ワークへ

 ILOは2021年1月に新型コロナウイルスの世界的大流行の中で増えているテレワークなどを含む在宅形態の労働についてまとめた報告書『Working from home. From invisibility to decent work(在宅就労:目に見えない労働からディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)へ)』を刊行しましたが、その内容を図表を駆使して解説する図解物語を作成しました。

 新型コロナウイルスの世界的大流行が広がる中、世界中で多くの労働者が在宅就労に切り替え、既に何十年も前から在宅形態の労働に従事してきた数億人の労働者に加わりました。しかしながら、労働市場を司る法や政策は自宅を職場に想定して設計されていません。この図解物語では世界中の労働者、使用者、社会にとっての在宅就労の意味を探究します。

在宅形態の労働:目に見えない生産形態

 在宅形態の労働者とは、使用者の示す仕様に従って製品またはサービスを生産して報酬を受け取る労働者です。この就労形態は常に存在してきましたが、個人宅で行われるため長く目に付きませんでした。これには商品生産における縫製や刺繍、組立作業から、テレワークなどの科学技術を用いて遠隔で遂行できる幅広い事務作業や専門業務など、一連の活動が含まれています。

 途上国、とりわけアジアでは、アパレル、電子産業、家庭用品産業のグローバルあるいは地元のサプライチェーン(供給網)の一部であることが多く、富裕国では工業労働者も存在するものの、ほとんどがテレワーカーです。自宅を拠点とするデジタル・プラットフォームの労働者は世界中で見られます。

 在宅形態の労働は工業労働、テレワーク、自宅を拠点とするデジタル・プラットフォーム労働の主に三つの形態に分類することができます。

工業労働

 工業在宅労働者とはしばしば生産の最終段階に当たる製品の生産に従事する家内労働者を指し、手工芸品など手作りの生産を含む場合もあります。

 例えば、12年間自宅で漁網を織る作業に従事してきたタイのアンチャラさんにとって、これは子どもの面倒を見ながら有償の仕事を維持できる手段です。しかしながら出来高給は低く、大きな網を素早く織れる技能があるにもかかわらず、収入は現行の最低賃金を下回っています。非公式(インフォーマル)経済で働いているために労働法制で定められている労働者の権利の大半を享受できず、近い将来、公式(フォーマル)の仕事を得たいと望んでいます。

テレワーカー

 テレワーカーとは、コンピュータその他の科学技術を用いて自宅で遠隔勤務する雇用者を指します。

 例えば、サミュエルさんは長い通勤時間や職場の力関係が決して好きになれなかったため、自宅で遠隔勤務できる仕事を見つけた時には喜びました。しかし、給与や手当は職場の同僚と同じであるものの、孤独を感じ、昇進の機会を逃しているのではないかと心配です。

 ジェシカさんは新型コロナウイルスによる地域閉鎖の期間中、在宅勤務に切り替えました。通勤する必要がなく、子どもと過ごす時間が増えたことは評価していますが、労働時間が家族との時間に進出してきていることにも気付きました。

自宅を拠点とするデジタル・プラットフォームの労働

 写真のラベル付けやウェブサイトの制作からツイッター・アカウントの管理まで、サービス部門の多くの作業がデジタル・プラットフォームを通じてオンラインで遂行されています。プラットフォームあるいは顧客が遂行される作業の内容を明示し、労働者の成績を評価します。こういった労働者は実際には自立しているわけではなく、経済的に従属していても、多くは独立請負人と見なされます。

 例えば、5年前からプラットフォームを通じて微小な作業(マイクロタスク)を請け負ってきたサミーアさんは、プラットフォームにログインして得られる作業を選んで完成させます。顧客が設定する出来高給は通常ささやかなもので、提出した仕事が受け入れられたら銀行口座に振り込まれます。しかし、収入の発生しない何時間もの時間を費やして得られる作業を探さなくてはなりません。

新型コロナウイルスの世界的大流行と在宅形態労働の急増

 新型コロナウイルスの世界的大流行が始まる前の2019年に在宅形態労働者は世界全体で就業者全体の7.9%に相当する2億6,000万人近く存在しました。日本では就業者の10.5%(男性10.2%、女性10.9%)を占めていました。ほとんどが途上国で暮らす個人事業主でしたが、豊かな国を中心にテレワーカーも一部存在しました。新型コロナウイルスの世界的大流行はこの傾向を逆転させ、実際、2020年に新型コロナウイルスがピークを迎えた時には約5億6,000万人が在宅就労していたとILOでは見ています。このほとんどがそれまでは事務所で働いていたテレワーカーです。テレワーカーは世界中どの地域にも見られますが、裕福な国の方が多くなっています。

就業者全体に占める在宅形態労働者の割合(2019年または得られる最新年のデータ、%)
世界地図:就業者全体に占める在宅形態労働者の割合
出典:『Working from home. From invisibility to decent work(在宅就労:目に見えない労働からディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)へ)』。英文記事の図表からはデータ数値が入手できます。

 2020年には在宅形態労働者が2倍以上に増えましたが、これは主に事務所勤務者が多い豊かな国の労働者です。富裕国の在宅形態労働者数は3倍近くに増えたのに対し、上位中所得国の増加率は44%、低所得国及び下位中所得国の増加率はわずか4%のささやかな増加に過ぎませんでした。

在宅形態労働者数の推移(単位:100万人)
図:在宅形態労働者数の推移(2019~20年)
出典:ILO

性別で見た在宅形態労働

 多くの労働者、とりわけ家事と育児や介護といったケア責任の負担を圧倒的に多く担っている女性にとって、在宅形態労働は自宅を出ずに有償労働に参加できる手段になっています。女性が外で働くことを妨げる社会規範が存在し、在宅形態労働が労働市場に参加できる唯一の機会となっている国もあります。

 これは女性の犠牲を伴う場合があります。女性が家事責任と有償労働を組み合わせることを許す一方で、このような責任は女性だけに属するとの時代遅れの観念を補強することにもなります。したがって、自宅の外で働く人々と平等の地歩で競争できない労働者集団を形成するリスクがあります。

 新型コロナウイルスの世界的大流行が始まる前には、全体的な労働力率が低い女性が在宅形態労働に従事する割合は男性の2倍に達していました。2019年の在宅形態労働者を男女別で見ると、女性が1億4,700万人、男性が1億1,300万人を数え、これはそれぞれ女性労働者全体の11.5%、男性労働者全体の5.6%に当たりました。コロナ禍の中、世界中で事務所勤務の労働者が在宅勤務に切り替えた結果、男性の在宅労働者が相当に増加しました。

在宅形態労働の長所と短所

 在宅形態労働には様々な長所と短所があります。

有償労働の機会

 在宅形態の労働はそうでなかったら有償労働に従事できなかったであろう一部の労働者に機会を提供する可能性があります。一部の労働者、主に女性はケア責任や社会規範を理由として自宅を出ることが困難です。自宅外での就労が難しい障害者もいるかもしれません。

 しかしながら、工業在宅労働の場合を中心に、インフォーマル性の重要なリスクが存在します。例えば、中・低所得国では自宅を拠点に働く労働者全体の9割がインフォーマル経済の労働者です。

収入

 在宅形態労働に関連した賃金面のハンディキャップが存在します。統計分析からは、年齢や性別、教育といった属性を考慮に入れると、全ての形態の在宅形態労働者が事務所や工場で同じ仕事に従事する労働者より収入が低いことが示されています。

 類似の仕事を行う非在宅形態労働者の収入と在宅形態労働者の収入を比べると、前者を100とすると、後者は例えば英国では87、南アフリカでは75、メキシコでは51、インドでは50、アルゼンチンでは48といった結果が示されています。

労働時間

 テレワーカーは自らの家事責任や家庭責任を中心に据えて有償労働を編成できる柔軟性を評価しています。しかし、在宅労働は仕事と私生活の境界を曖昧にする可能性があります。

 工業在宅労働及びデジタル・プラットフォームを通じたオンライン労働の場合、納期がきつい集中的な労働の時期があるかと思えば、仕事がほとんどあるいは全くない期間があるといった状況が多くあります。この結果、週35~48時間の通常の労働時間内で働く労働者は、自宅外で働く人の場合は全体の42%であるのに対し、在宅形態労働の場合は全体のわずか34%に過ぎません。

職場における安全

 在宅形態労働の場合でも安全な作業環境を整備する責任は使用者にあります。しかしながら、安全な行為に関する在宅形態労働者の知識不足や不適切な機材が安全衛生上のリスクにつながる可能性があります。化学物質や爆発物その他の危険な材料を伴う仕事の場合、他の家族や時には地元共同体にも重要なリスクが存在します。

 テレワーカーもまた、作業環境における人間工学面の欠陥や作業量増加の可能性、過度の労働時間を理由とする身体的なリスクにさらされるかもしれません。仕事と私生活の境界が曖昧になることや社会的孤立に基づく心理社会的リスクも存在します。

 こういった全てのリスクが在宅形態労働者の労働安全衛生上のリスクを高めています。例えば、英国では疾病による労働損失日数が在宅形態労働者は自宅外で働く労働者の1.5倍になっています。

社会保障

 在宅形態労働者の多くが十分な社会保障を欠き、普遍的保健制度のような非拠出型の制度が自国に存在しない限り、給付の機会が得られません。工業在宅労働者と自宅を拠点とするデジタル・プラットフォームの労働者は独立請負業者に分類されることが多く、したがって社会保障費における使用者負担の恩恵を得ることができません。工業在宅労働者によっては公式に労働者として認定されていない場合さえあります。

声の代弁

 在宅形態労働者はしばしば、法律上も実際上も組合設立あるいは組合加入を阻む障壁に直面しており、必ずしも団体交渉による労働協約が適用されるわけでもありません。代表性の欠如は就労に関わるその他の権利を得ることをより困難にしています。

 例えば、英国では在宅勤務者でない従業員の労働組合組織率は24%であるのに対し、在宅形態労働者の組織率ははるかに低く13.2%に過ぎません。インドネシアではこの差はさらに劇的であり、在宅形態労働者以外の雇用者の場合は約13%であるのに対し、在宅形態労働者の組織率は1%を下回っています。

 労働組合に加入し、団体交渉を行う権利は、就労に関わる基本的な権利であり、全ての労働者は就労の場所にかかわらず、この権利を行使できるべきです。

企業が在宅形態労働者を用いる理由とその使用者責任

 「私の工場が大きいと言われるのは、20数名の労働者がいるからではなく、他の労働を使って毎月2万個の宝石箱を生産できるからです」。これは台湾のある工場主の言葉です。

 企業が在宅形態労働を用いる理由は様々です。工業在宅労働とデジタル・プラットフォーム経由のオンライン労働の場合は、在宅形態労働は企業が季節変動などの製品需要における変動に応える柔軟性を高める手段の一つとなり得ます。在宅形態労働者の使用はコスト節減策にもなり得ます。インドネシアの使用者調査では、工業在宅労働者を用いる理由として、効率性(38%)、高需要期における目標達成の手段(22%)、生産スペースが限られているため(12%)、在宅形態労働者の方が賃金が低いため(11%)、未亡人その他のニーズを抱えている人々に収入源を与えるため(9%)、公式の契約上の義務を回避する手段(7%)といったものが挙げられています。

 テレワークは通勤時間をなくしつつ、勤労生活と家庭生活のより良いバランスを達成できる労働時間の柔軟性を高める機会を提供することによって、企業が有能な従業員を定着させる手段となり得ます。企業はまた、テレワークで事務所スペース費を節減することもできます。

生産性の利点

 新型コロナウイルスの世界的大流行が始まる以前はほとんどのテレワーク勤務が時々行われるものであり、しばしば、既に職場で働いた時間に加えて労働時間を増やす形で用いられていました。従業員に恒常的なテレワークを許す企業は、しばしば従業員を引き寄せ、定着させる特典としてこれを用いていましたが、生産性の利点については確信が持てないままでした。

 しかしながら、在宅形態労働とテレワーク勤務の生産性の利点に関して納得させられる研究が複数発表されています。2015年に行われた中国の大手旅行代理店のコールセンターの従業員を対象にした調査では、無作為抽出の対照群(事務所勤務者)と実験群(自宅を拠点とする労働者)を9ヵ月間にわたって比較しました。どちらも用いる機材、作業の流れは同じであり、同じ賃金制度の下で報酬が支払われました。唯一の違いは勤務地でした。結果として、自宅を拠点とする労働者群には13%の成績向上が見られました。このうち9%は、休憩時間や病欠日数の減少による交替勤務当たりの分単位労働時間の増加によってもたらされました。これは分当たりの対応電話回数の4%の上昇を招きましたが、在宅勤務者はこの理由として、より静かな作業環境を挙げています。全体として、企業は在宅勤務者当たりの年間節減額を約2,000ドルと見積もり、企業全体に在宅勤務の選択肢を広げる決定をとるに至りました。

公正な賃金・労働条件の確保

 多くの企業が在宅形態労働者の公正な処遇に苦労しています。ILOは政府及び使用者による在宅形態労働者の就業に関する好事例指針の設計を支援しています。工業在宅労働者とデジタル・プラットフォームの労働者の多くが出来高給あるいは作業当たりの支払いを受けているため、少なくとも最低賃金の収入があり、類似の労働者の時間当たり賃金額を下回らないよう確保することも大切です。公正な出来高給または生産割当量を設定するツールの一部をなすものとして、時間動作研究を挙げることができます。

時間動作研究の進め方

 時間動作研究は在宅形態労働者の出来高給を設定するカギを握っています。正確な時間動作研究を遂行するための指針には以下のような要素が含まれています。

  1. 工場ではなく、在宅形態労働者が作業を遂行する場所で試験を実施すること。これが実現可能でない場合には、できるだけ在宅形態労働環境を復元すべきです。
  2. 作業速度が最も高い労働者ではなく、代表的な速度で働く平均的な労働者を選ぶこと
  3. 妥当な数の在宅形態労働者について問題の作業を完了する時間を計測すること
  4. 全ての労働者が最低賃金の収入を得られるような水準で、疲労や休憩時間、作業場所の設定に要する時間、材料の梱包・開封に要する時間、定例的な管理作業のための時間を勘案した出来高給水準を設定すること。
  5. 労働者間の作業速度の妥当な差異を許すようなペースを設定すること。

在宅形態労働者の雇用に関する好事例指針

 インドネシアの使用者団体APINDOはILOと協働して在宅形態労働者の雇用のための好事例指針を作成しました。使用者が在宅形態労働者に対する法的責任をより良く理解するためのツールやチェックリストの集合を提供するこの指針はまた、使用者の在宅形態労働者との関係を改善する方法に関する手引きも示しています。

効果的なテレワーク勤務のカギ

 ILOは新型コロナウイルスの世界的大流行の最中及びその後に及ぶテレワーク勤務を支援する実用ガイドを作成しました。この主なヒントには以下のようなものがあります。

  • 経営トップから最前線の監督者に至る管理職の支援を確保。テレワークが効果的なものとなるには、上司、テレワーカー、同僚が互いに信頼し合う必要があります。また、テレワーカーが達成を期待されている成果、雇用条件、連絡を取れる時間、進捗状況を監視・報告・評価する方法を明確に定めることが決定的に重要です。
  • 適切なツールと訓練の提供。上司と従業員の両方について、ラップトップやソフトウエアのような適正なツールのみならず、技術面でのサポートや訓練が必要です。
  • 労働時間の境界設定。テレワークは所属組織の通常の業務時間には連絡を取れるように保ちつつ、自分に最も都合の良い時間と場所で仕事を行う柔軟性を労働者に提供します。しかしながら、たとえ期待が明確であってもなお、テレワーカー自身が有償労働と私生活の境界を効果的に管理する個人的戦略を立てることが必要不可欠です。

在宅形態労働者のディーセント・ワークに向けて

 在宅形態労働者のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)は達成可能な目標です。そのためにはしかし、政府、使用者団体、労働組合のみならず、在宅形態労働者とその団体の共同努力が求められます。

在宅形態の労働に関するILOの条約

 ILOは1996年に在宅形態労働者の状況改善に向けて「1996年の在宅形態の労働条約(第177号)」と同名の勧告(第184号)を採択しました。この基準は社会的パートナーである労使団体と協議の上、在宅形態労働に関する国内政策を採用し、実施することを政府に求めています。

 国内政策は在宅形態労働の特別の特徴を考慮に入れて在宅形態労働者と他の賃金労働者との平等待遇を促進するものでなくてはなりません。平等待遇を促進すべき分野にはとりわけ以下のようなものが含まれています。

  • 結社の自由と団体交渉
  • 雇用・職業上の差別からの保護
  • 労働安全衛生上の保護
  • 報酬
  • 法定社会保障による保護
  • 訓練機会
  • 就業または就労が許可される最低年齢
  • 母性保護

在宅形態労働者への発言力の付与

 在宅形態労働者は集団として組織化された場合、より効果的により良い労働条件を獲得できる可能性があります。使用者団体と国家はこの取り組みを支える助けを提供できます。

  • 在宅形態労働者の団体:在宅形態労働者の団体は草の根レベルで構成員を支援しつつ、意思決定の機関、仕組み、手続きの様々な政策レベルで構成員を代理して広報提言活動に従事します。組織化の第一歩は全ての在宅形態労働者が結社の自由と団体交渉に係わる自らの権利を行使できるよう確保する改革を起こすことです。
  • 労働組合:全国的にまたは産業部門レベルで既に活動しており、社会対話と団体交渉に関する幅広い経験を有する労働組合も在宅形態労働者の重要な味方になり得ます。
  • 労働者協同組合:労働者協同組合は保健医療や保育、貯蓄、保険プログラムなどの社会給付を設け、その機会へ道を開く資金のプールに加え、労働者が市場により良くアクセスできることを可能にします。協同組合はまた、在宅形態労働者の作業遂行やフォーマル経済での転職を手助けする訓練を提供することもできます。
  • 使用者団体:使用者団体は使用者のニーズを代表し、その義務について構成員の意識を高め、法の遵守や法設計への参加を確保する重要な役割を演じています。使用者団体の団体交渉への参加はまた、在宅形態労働者の適切な保護を確保する上で重要です。

決定的に重要な政府の役割

 政府の政策が在宅形態労働者の労働条件改善を助ける分野は多く存在します。

  • 在宅形態労働に関する国内政策:全ての在宅形態労働者の平等待遇の確保、在宅形態労働者のフォーマル化支援、偽装雇用対策といった方策を講じることができます。
  • 結社の自由と団体交渉:在宅形態労働者が法律上そして実際に結社の自由と団体交渉の権利を享受できるよう確保することができます。
  • 在宅形態労働者の可視性:在宅形態労働者が統計データに捕捉されるよう確保し、在宅形態労働者の労働者登録を維持することができます。
  • 啓発活動:在宅形態労働者の自らの権利に関する知識や使用者の自らの責任についての理解の向上を図るキャンペーンを実施し、在宅形態労働者が自らの雇用・労働条件を、理解できる言語で書かれた文書で伝えられるよう確保することができます。
  • 公正な賃金と労働時間の制限:在宅形態労働者が自らの雇用・労働条件を、理解できる言語で書かれた文書で伝えられるよう確保し、在宅形態労働者が少なくとも適用される最低賃金率に対応する公正な出来高給の支払いを受け、平等な待遇を受益するよう確保し、在宅形態労働者の作業量を制限し、妥当な納期を設定し、テレワーカーに接続を切る権利を与えることができます。
  • 安全で健康的な職場:在宅形態労働者が適正な安全訓練・機材を提供され、危険有害物質に暴露しないよう確保し、心理社会的リスクを含み、その作業環境における安全と健康の改善を図る、実施が容易な実際的な措置を開発することができます。
  • 児童労働根絶:子どもの支援に頼る必要がないほどに高い水準の出来高収入が在宅形態労働者に確保され、例えば、通学を奨励する措置としての貧困世帯に対する現金給付や現物支給などの効果が立証された政策を適用し、啓発キャンペーンを実施し、子どもを雇っていることが発見された場合には罰則を適用する労働監督を実施することができます。
  • 十分な執行:労働監督機関による在宅形態労働及びその保護を執行する方法に関する理解の向上を図るために当該機関と協働し、プライバシー規制に配慮しつつ、適切な場合には労働監督官による在宅形態労働者の職場への立入を円滑化し、労使団体と協働して法令等の遵守を促進し、法令等の遵守向上に向けてデジタル技術の潜在力を活用することができます。
  • 社会的保護の適用:既存の労働・社会保障法制の適用を在宅形態労働者に広げ、在宅形態労働者の実際の状況に適した拠出の水準及び仕組みを設けることができます。
  • 訓練及びキャリア開発:在宅形態労働者の訓練機会を拡充し、在宅形態労働者が習得した技能の認定・証明を確保することができます。

目に見えない労働からディーセント・ワークへ

 全ての在宅形態労働者は、インドネシアで籐細工を作っている人もエジプトで写真にタグ付けしている人もウルグアイでマスクを縫っている人もフランスでテレワーク勤務している人も、ディーセント・ワークの機会を得られるべきです。今後、在宅就労が仕事の世界の顕著な特徴となる可能性が高いことに鑑み、政府が労使団体と協力して在宅形態労働者のディーセント・ワークを支える法及び政策を共に設計し、実施していくことが必要不可欠であると言えます。


 以上は2021年1月に出された刊行物『Working from home. From invisibility to decent work(在宅就労:目に見えない労働からディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)へ)』の内容を図表も用いて解説した2021年11月11日付の英文図解物語の簡易版です。