新型コロナウイルスと仕事の世界

サプライチェーン危機の最悪の状況に警鐘を鳴らす道路運送事業者ら

記者発表 | 2021/12/06

 新型コロナウイルスの世界的大流行から幾分回復の兆しが見えたグローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)ですが、再び前代未聞の危機にさらされています。グローバル・サプライチェーンの根幹をなす道路運送事業者らは、破産回避と運輸システム全体における安定化を求めて諸国政府に支援を訴えています。

 世界350万の運輸会社を代表する道路運送の国際業界団体である国際道路輸送連盟(IRU)と世界1,900万人の運輸労働者を代表する国際運輸労連(ITF)は、2020年からコロナ禍に関連した運輸労働者の労働条件改善と産業の生き残りに向けた支援を国際機関や各国政府に訴えてきましたが、2021年9月には国際航空運送協会(IATA)及び国際海運会議所(ICS)と共に、国連に共同公開書簡を送り、運輸労働者に移動の自由を回復してくれるよう緊急の嘆願を行いました。IRUは11月に再び、サプライチェーン危機に対する緊急の取り組みを諸国政府に訴える緊急の呼びかけを発しました。

 2021年11月4日にIRUの貨物輸送評議会で全会一致で採択された決議をもとにした呼びかけは、クリスマス・年末年始の休暇シーズンを目前に迎え、劇的な需要増、継続する新型コロナウイルスによる制限、運転手不足、燃料価格の急上昇が、サプライチェーンの混乱をさらに悪化させる可能性のある最悪の状況を形成し、2022年に入っても状況が長く続く危険性に警鐘を鳴らしています。ウンベルト・デ・プレットIRU事務局長は、年末から2022年にかけての商品不足と流通の遅れを避けるために「今行動を起こすこと」を政府に求めています。IRU貨物輸送評議会のアスリ・チャリク議長も懸念を表明し、「他のほとんどの国と同様、ユーラシアと世界の貿易が交差する私の地方でも、サプライチェーンの混乱は日々大きな問題を引き起こしており、物流会社も最善を尽くしていますが、商品の動きを止めないように諸国政府もまた今行動を起こす必要があります」と訴えています。

 スティーブン・コットンITF書記長も、「世界の指導者から顧みられていないにもかかわらず、運輸労働者は世界のサプライチェーンと人々の移動を維持し、国境閉鎖、帰宅不能、保健医療機会の不足、制約的な隔離要件、政府の不手際によって生じている完全な不確実性の中で働き続けてきました」と述べた上で、「率直に言って、もうたくさんです」と説いています。

 ガイ・ライダーILO事務局長は、「道路運送部門、とりわけトラック運転手は経済を動かし続ける巨大な役割を演じてきましたが、きっと今後もそうあり続けることでしょう」として、「今度は政府が、サプライチェーンを開かれたものに保つために必要な、働きがいのある人間らしい労働条件をこの産業部門に確保する自らの役割を演じるべきです」と呼びかけ、「危機に効果的に取り組むには、政府、労使団体、そして荷送人、荷受人、運輸サービスの購入者、仲介業者などのその他の道路運送サプライチェーン関係者の協働が必要であり、公衆衛生機関や国境管理機関なども含め、コロナ禍を抑える努力においてこういった労働者が果たしている決定的に重要な役割を認め、考慮に入れるべきです」と説いています。

 ILOには道路運送における危機体験の幾つかの側面に対処する助けになるツールが存在します。2019年に開かれた政労使三者構成の会議で採択されたILOの『Guidelines on the promotion of decent work and road safety in the transport sector(運輸部門におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と道路の安全性の促進に関する指針・英語)』は、持続可能な支払額の算定、人材の引き寄せ・定着・多様性と産業イメージ、専門職化と公式(フォーマル)化、労働安全衛生、免許発行と福利厚生施設の提供などに関する国際的に合意された規制原則を含む、この産業の最も切迫した課題の幾つかに取り組む堅固な基盤を、加盟国政労使その他荷送人、荷受人、仲介業者、運輸サービスの購入者といった道路運送サプライチェーンの当事者に提供しています。また、今年6月の第109回ILO総会で採択された「人間を中心に据えた回復に向けた行動に対するグローバルな呼びかけ」は、人々、その技能、健康、社会的保護に投資する一連の措置の大枠を示しています。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。