グローバルフェスタJAPAN2021でステージイベント

「ILO×道普請人Jambo! 道づくりは仕事づくり」を開催しました!

ニュース記事 | 2021/10/15
2021年10月9日・10日、東京国際フォーラム (東京都千代田区)において、国際協力に関わる官民団体が出展する日本最大級の国際協力イベント「グローバルフェスタJAPAN2021」が、外務省、国際協力機構(JICA)、国際協力NGOセンター(JANIC)により開催されました。2日間累計の来場者数は約3,600人、視聴者数は6,800人でした。
ILOイベントのアーカイブ動画、ぜひご覧ください。

国際労働機関(ILO)と認定NPO法人道普請人(CORE)は、イベント2日目、10月10日(日)15時から15時45分に、メインステージで「Jambo! 道づくりは仕事づくり」と題してリアルとオンラインのハイブリッド・イベントを開催し、ケニアの首都ナイロビの土のうを使った道直しの現場とも生中継で繋ぎました。十分な感染対策を実施の上、会場では70名程、オンラインでは100名を超える方々に参加いただきました。ちなみに、「Jambo(ジャンボ)」とはスワヒリ語で、こんにちは、という意味です。

本イベントでは、これまでILOと多くのプロジェクトで協力し、世界中の国々で日本古来の工法である土のうを用いた生活道路の改善に取り組む道普請人の活動内容を紹介するため、道普請人・理事長の木村亮先生(京都大学大学院工学研究科教授)、理事の福林良典先生(宮崎大学工学部准教授)に登壇いただきました。ステージ上で土のうの「締固め」作業を再現するデモンストレーション、実際の補修現場であるナイロビから生中継を行い、住民が持続的に道路を維持管理するディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の現場を体感できる有意義なイベントとなりました。※参考:ILO駐日事務所ウェブサイト・パートナー

イベントの前には、ILOと道普請人が実施したモザンビークでのプロジェクトのビデオを流し、取り組みの様子を映像で伝えました。

©ILO:モザンビークにおける地元資源を使った土のう技術研修


©外務省

イベント冒頭の主催者挨拶では、高﨑真一ILO駐日事務所代表がILOの活動と、2012年から続く道普請人との連携について紹介しました。

その後、木村先生と福林先生による道普請人の活動紹介と土のうの締固めデモンストレーションを行いました。

道普請人は、途上国の人々が「自分たちの道は自分たちで直す」ことができるよう、土木技術を伝え意識を引き出すための活動を行っています。途上国の多くの農道や生活道路は、雨の影響で通行困難に陥りやすく、貧困の原因にもなっています。道普請人の道直しでは、現地で簡単に手に入る安価な袋に土を詰めた土のうを用いており、高価で複雑な機械は使わず、コンパクター(通称たこ)と呼ばれるシンプルな道具で土のうを締固めます。このような手法なら、コストをかけず、現地の住民が自らの手で道路を補修、維持管理できます。また、女性も作業に参加できるよう比較的軽量のコンパクターも採用しています。

©外務省:道普請人 (CORE)理事の福林氏による解説
 
©外務省:道普請人 (CORE)理事長の木村氏による解説

©外務省:土のうの締固めの様子
 
©外務省:司会はILOインターンの安良城さんが務めました。

これまでILOと道普請人は、ケニアをはじめとするアフリカの国々でプロジェクトを行ってきました。道直しをすることで、市場等へのアクセスが保たれ、商売等による地域住民の収入が向上するという効果があります。また、現地の人々が扱いやすい技術や道具の活用は、道路の持続的な維持管理のためだけではなく、雇用を促進するためにも重要です。労働力を必要とする道づくりは、特に若者の失業率が高い国で若年雇用を創出し、求職者に研修・訓練を行うことで起業を促します。福林先生からは「求職者(job seeker)から雇用創出者(job creator)へ」というわかり易い言葉で説明がありました。多くの道づくりプロジェクトを通して、ILOと道普請人は「ディセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」を促進しています。

続いて、2016年に土のうで補修したケニア・ナイロビ日本人学校前の道路と中継を行いました。道普請人スタッフの岩村由香氏・川合裕己氏に現場の様子を紹介いただき、現地訓練生に実際の補修作業をデモンストレーションしていただきました。また、過去の訓練生で現在は会社を経営しているSimon氏、Mike氏にインタビューを行いました。ケニア政府運輸・インフラ省 からはChristine Nzai氏が挨拶されました。中継のフィナーレでは、現地ナイロビで有名な一人音楽隊「One Man Band」も登場し、明るく賑やかな雰囲気で締めくくられました。

©ILO:ケニアからの中継の様子

生中継から舞台がステージに戻った後、木村先生から自身の開発協力における長年の経験と道普請人の活動についてお話しいただきました。現地で手に入る材料で作った土のうによる持続可能な道づくり・道直しが、途上国の人々に人間らしい働きがいのある仕事(ディーセント・ワーク)を提供していることを、エネルギッシュにユーモアを交えて語っていただきました。最後の質疑応答では、チャットと会場から寄せられた質問に対し先生方から回答いただきました。土のうに使われるプラスティック袋の環境に対する負荷や、訓練生のジェンダー構成についてなど、多くの質問やコメントをいただき、盛況の中でイベントを終了しました。

<<CORE YouTube ビデオ>>イベント終了を飾った道普請人(CORE)のテーマソング

【登壇者】
国際労働機関 (ILO)
・高﨑真一 駐日事務所代表
・安良城(あらき)桃子

認定NPO法人 道普請人 (CORE)
・木村亮(まこと) 理事長 (京都大学大学院工学研究科教授)
・福林良典 理事 (宮崎大学工学部准教授)

ケニア中継参加
・認定NPO法人 道普請人 (CORE) 岩村 由香氏
・認定NPO法人 道普請人 (CORE) 川合 裕己氏 
・認定NPO法人 道普請人 (CORE) 元訓練生 Simon氏
・認定NPO法人 道普請人 (CORE) 元訓練生 Mike氏
・ケニア政府運輸・インフラ省 Christine Nzai氏
・COREケニア事務所スタッフ
・One Man Bandと現地の皆さん

 
今回のイベントに合わせ、土のうで道づくりをするODAマンもできあがりました!(外務省提供)
世界で役立つ日本の政府開発援助(ODA)についての詳細は外務省ウェブサイトをご覧ください。