IMF/世界銀行年次会合

IMF/世界銀行年次会合向けILO声明:世界が必要としているのは仕事と社会的保護に向けた地球規模の加速装置

記者発表 | 2021/10/14

 2021年10月11~17日に開かれている世界銀行グループと国際通貨基金(IMF)の年次会合に向けて提出した声明で、ガイ・ライダーILO事務局長は、急速に変化しつつある仕事の世界の課題を切り抜ける力を人々に与え、人間を中心に据えたコロナ禍からの回復を確保するために、国連総会の中で9月にアントニオ・グテーレス国連事務総長がILOと共に発表した、普遍的社会的保護、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、環境に優しいグリーンで公正な移行に対する投資の増額に向けた「仕事と社会的保護の世界的加速装置」を支持するよう参加諸国に呼びかけました。ライダー事務局長はまた、14日にオンライン形式で開かれたIMFの国際通貨金融委員会の会合に出席し、包摂的かつ持続可能で強靱な経済回復を刺激する差し迫った必要性に注意を喚起し、国際通貨金融委員会は回復過程をそのように置き換える方向に政治的意思と財源を導く立場にあると唱えました。

 コロナ禍は女性や非公式(インフォーマル)経済で働く人々、子どもを中心に、最も脆弱な人々にとりわけ破壊的な影響を与えており、人々が直面している未来はどこに住んでいるかで全く異なります。2020年に世界の合計労働時間は8.8%減少したとみられますが、これはフルタイム労働者2億5,500万人の1年間の労働時間に相当します。

 世界中で政府は人々の健康、雇用、所得を守るために、雇用と社会的保護に関する前代未聞の対応策を実施していますが、危機の影響の全体を緩和するには不十分であり、世界人口の53.1%に当たる約41.4億人が置き去りにされています。

 「ワクチンへのアクセス、政府の対応力とそのための財政力、情報格差の拡大、行く手に立ちはだかる債務危機の脅威に関して先進国経済と途上国経済の間に存在する大きな違いが拍車をかけて回復は極めて不均一であり、これによって形成されつつある大きな格差は回復そのものを危険にさらし、信頼と連帯を徐々に失わせます」と指摘するガイ・ライダーILO事務局長は、人権原則と社会保障に関する国際基準に沿って、包括的かつ持続可能で十分な社会的保護制度をすべての人に広げるよう投資することによって、社会的保護に向けた「王道」を歩むことを諸国に促しました。そして、十分な財源確保と政治的意思がなかった場合、政府は最小限の給付と適用対象から漏れた幅広い層を特徴とする「邪道」に陥ってしまう可能性に注意を喚起し、「今こそ、連帯を示し、普遍的社会的保護、ディーセント・ワーク、男女平等社会への投資を増額すべき時」と訴えました。

 ILO事務局長は、IMFによる前代未聞の6,500億ドルの特別引き出し権(SDR)割当を、最も必要としている諸国と使途に振り向けることによって、「開発のための財源イニシアチブ」を通じて達成された前進をさらに進め、目前に迫った債務危機への対処のみならず、包摂的かつ持続可能で強靱な回復に対する投資を解き放つようその規模を拡大する必要性を説きました。

 また、「とりわけ、より持続可能で多様化した経済、そして生産的雇用機会の新たな創出に投資することによって、グリーンで公正な移行は全ての国のためになる膨大な潜在力」を秘めているとして、ディーセント・ワークの創出を通じて気候変動と戦うことを提案しました。

 さらに、誰も置き去りにしない回復を主導するに当たってILOが講じている主なイニシアチブとして、◇2021年6月の第109回ILO総会で187ILO加盟国の政労使代表によって「新型コロナウイルス危機からの、人間を中心に据えた、包摂的かつ持続可能で強靱な回復に向けた行動に対するグローバルな呼びかけ」が採択されたこと、◇国連総会会期中に、国連事務総長と共に、主として環境に優しいグリーン経済と保育・介護といったケア経済における少なくとも4億人分の仕事を2030年までに創出し、現在保護されていない40億人超に社会的保護の土台を広げることを目指し、「仕事と社会的保護の世界的加速装置」を発表したこと、◇2022年上半期に、共同イニシアチブや国際機関・地域機関との制度的取り決めの拡充などを通じて加盟国の人間を中心に据えた回復戦略を支える公約をスケールアップし、進捗状況を点検することを目的として、多国間フォーラムを開催する予定であることを紹介しました。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。