お知らせ:新刊発表オンラインイベント

貿易政策とディーセント・ワークのつながりを強めるILO新刊書発表オンラインイベントを開催(2021年10月5日)

記者発表 | 2021/10/04

 ILO調査研究局はこの度、人間を中心に据えたアプローチに基づき、労働市場に対する貿易の影響をより包括的かつ現実的に分析する道を開く2冊の新刊書を発表しました。

 国際貿易が世界の雇用、そして女性の労働市場参加に正味でプラスの影響を与えるのは周知の事実ですが、総合的にはプラスとなっても影響は企業や労働者毎に異なり、産業内外に勝者と敗者を形成します。したがって、貿易をより包摂的にするさらなる取り組みが必要不可欠です。

 貿易と労働の問題を扱った文献は多数存在しますが、その焦点は一般に雇用と賃金に当てられており、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の他の諸側面と貿易の関係に関する調査研究ははるかに少なくなっています。

 ILO調査研究局は欧州委員会(EC)と連携し、ECの資金協力を受けながら、「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」の呼びかけに沿って、ディーセント・ワークを貿易政策の中心目的に位置づけることを目指す「貿易とディーセント・ワーク統合調査研究計画(INTEGRATE)」を実施しています。この構成要素の一つである「貿易、企業、労働市場の診断と企業レベル評価(ASSESS)プロジェクト」は、このギャップを埋めることを目指しています。この度発表された新刊書はこのプロジェクトの主な成果物です。

 『Trade and decent work: Indicator guide(貿易とディーセント・ワーク:指標ガイド・英語)』は、貿易とディーセント・ワークに関する調査研究を支える分析ツールを提示しています。「ディーセント・ワークを全ての人に」実現することを目指すILOの取り組みは、就労に係わる権利、雇用、社会的保護、社会対話の4本柱で構成されていますが、本書には貿易と労働市場の相互作用を評価するために利用し得るこれらの指標も含まれています。『Trade and decent work: Handbook of assessment methodologies(貿易とディーセント・ワーク:評価方法論ハンドブック・英語)』は、ディーセント・ワークの諸側面に対する貿易の影響を評価する方法論の分析を行っています。

 マーサ・ニュートンILO政策担当副事務局長はこの2冊の新刊書について次のように語っています。「貿易が持続可能な開発、ディーセント・ワーク、社会正義をもたらすには、労働に対する影響と包摂性を強めるような形で貿易政策が設計されていることが基本です。こういった理由から私たちは諸国の貿易政策評価にディーセント・ワークの目標を組み込み続けなくてはならないのです」。

 ILO調査研究局とECは、2021年10月5日日本時間21時~23時半に「貿易とディーセント・ワークの統合:労働市場に対する貿易の影響評価バーチャル・シンポジウム」を開催して、以上のようなASSESSプロジェクトの主な最終成果物を発表すると共に、政労使代表の参加を得て貿易とディーセント・ワークについて意見交換を行う円卓討議を行います。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。