労働安全衛生世界会議

職場で死傷者が出る事態に終止符を打とうとの呼びかけをもって第22回労働安全衛生世界会議が閉幕

記者発表 | 2021/09/23

 仕事を原因とする死傷者や疾病罹患者は毎年数百万人に上りますが、ILOと国際社会保障協会(ISSA)、カナダ労働安全衛生センター(CCOHS)、労働衛生研究所(IWH)が共催して、2021年9月20日から4日間にわたって開かれた第22回労働安全衛生世界会議は、この問題に対する解決策を見つけるために協働することを国際社会に呼びかけて23日に閉幕しました。仕事に関連したリスク因子への一般的な暴露を考慮に入れると、この数字はずっと高くなります。2010年に世界全体で3億4,000万件を数えた非死亡労働災害件数は2016年に3億6,000万件に増加しましたが、この数字にはまだ、新型コロナウイルスの影響も精神衛生(メンタルヘルス)などの健康に対するその直接的な影響も含まれていません。

 「接続の時代における予防:すべての人に安全で健康な仕事を達成するためのグローバルな解決策」のテーマの下、六つの分科会、21のシンポジウムを通じて労働安全衛生分野の重要な問題が検討された会議には、40カ国以上の200人を越える講演者に加え、国際機関や各国政府、労使団体の代表、学者、労働安全衛生専門家など2,000人以上の参加がありました。日本からも仕事の未来世界委員会の委員を務めた清家篤・日本私立学校振興・共済事業団理事長が参加し、9月23日に「明るい仕事の未来へ向けて」と題する基調講演を行いました。

 会議では接続の時代に登場してきた新たな職業性の危害などの重要なテーマが取り上げられました。議論の前面にはテレワークや新技術に関連したリスクなどの問題が登場しましたが、建設業や農業、製造業といった産業部門におけるリスク暴露を原因として人々の命が奪われ続けているため、古くからの職業性の危害も検討されました。

 非公式(インフォーマル)経済で働く人々や移民労働者などの不利な立場の集団や障害者の統合の問題に特に懸念が示されました。グローバル・サプライチェーン(世界的な供給網)における労働安全衛生特有の性格や気候変動と自動化、精神衛生と非伝染性疾患などについても議論が行われました。

 会議では、若い世代に懸念と希望を表明する機会も与えられました。コロナ禍以前の若者就業者の6人に1人がその後働くのを止めており、働き続けた若者の42%が減収を報告しています。ある若手企業家は、若者が就職活動において必ずしも安全と健康を優先事項にしていないことを指摘し、この状況を変える必要性を訴えました。

 コロナ禍に応え、より良い立て直しを図り、将来的な危機に備えて予防し、仕事を人間のプラスの経験にするような強靱な労働安全衛生制度に向けた投資に対する呼びかけも行われました。第23回会議は2023年にオーストラリアで開催されます。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。