第190号条約の実践:労働金庫における役職員のハラスメント防止ガイドライン

労働金庫(以下、「ろうきん」)は、長年にわたり働く人々の金融アクセスを促進してきました。また、職場での暴力やハラスメントに関する国際的な基準の導入に関しても、先陣を切っています。ハラスメントに関する最新のろうきんガイドラインは、ILO第190号条約に基づいて作成され、日本国内の他の法律や規則の制定や、世界中の金融機関の模範となっています。

ニュース記事 | 2021/07/29
ろうきんは、1950年代初頭に労働組合や生活協同組合によって設立されました。働く人々が金融セクターから排除されていた時代に、組合員が金融サービスを利用できるようにするためです。全国労働金庫協会(NALB)とILOには長年にわたる協力関係があります。ILOは2011年に、日本の労働組合とその組合が主導する金融機関が働く人々の金融アクセスを強化した経験をすでに報告しています。そして2019年、ろうきん創立70周年を記念すべく、NALBとILOはろうきんモデルを見直し、競争の激しい金融部門や労働の世界の変化による課題に対処するための戦略を検証しました(報告書はこちら)。
また、同報告書では、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けたろうきんの貢献についても言及されています。



ろうきんがハラスメントに関する取り組みをはじめたのは、ILOが2019年に職場における暴力とハラスメントに関する第190号条約を採択する2、3年前です。条約採択後すぐに、ろうきんは、すべての役職者が安全に働き、能力を最大限に発揮できる快適な職場を目指して、190号条約に基づく規定を作成することを決議しました。この統一されたガイドラインに基づいて、各金庫はハラスメントに関する規則を見直し、必要なシステムを構築していきます。ガイドラインの作成は、金庫の経営側と全国労働金庫労働組合連合会が緊密に連携し、各地域との協議を重ねるなど、徹底したプロセスを経ています。


ガイドラインでは、役職員、インターン、実習生、求職者を、顧客などの第三者を含むあらゆる形態のハラスメントから保護することを定めています。また、内部通報制度を確立することで、幅広い保護を提供します。さらに、被害者のための相談窓口を設置することで、効果的な救済策を提供し報復からの保護をはかっています。

また、ガイドラインは、経営側と労働組合の連携を促進して職場環境を整備することで、より良いモニタリングを可能にしています。ハラスメントの報告は、経営側が、外部の専門機関や労働組合にも照会し、必要な専門知識と権限を持って一元的に監視・対応できる体制になっています。


このガイドラインを導入する以前は、ろうきんに加盟している13の労働金庫が、それぞれ独自の規則やマニュアルを持っていました。現在は、本ガイドラインに基づいて規則やマニュアルを更新しており、2022年3月末までに完了させる予定です。


このろうきんの動きは、すでに日本の他の組織にも刺激を与えています。48の産業別連盟組織を代表する労働組合中央組織である連合(JTUC-RENGO)は、労働組合と使用者の協力を促進し、それぞれの業界のハラスメントガイドラインを策定したいと考えています。(ろうきんのガイドラインはこちらをご参照ください)