日本の任意資金拠出事業

日本とインドネシアが協力し職場における新型コロナウイルス感染症対策を強化

 新型コロナウイルス感染症はビジネスと労働者に影響を与え続けています。職場における感染防止措置は、ビジネス・仕事・人々の所得を維持する上で不可欠です。ILOは、インドネシア共和国政府および日本国政府と協力し、コロナ禍の中で働く人々の健康を守り、企業活動の維持を支援します。

記者発表 | 2021/07/06
新型コロナウイルス感染症対策としての労働安全衛生措置として社内で使用する機器を消毒 © ILO / F.Latief

【ジャカルタ発ILOニュース】国際労働機関(ILO)は、インドネシア共和国労働省および日本国政府と共に、インドネシアで新たなプロジェクトを開始します。この「職場における新型コロナウイルス感染症拡大防止措置の強化プロジェクト」は、感染症対策を強化し、労働者の安全と健康を向上させることを目的としています。このプロジェクトは、雇用創出の前提となる企業活動の再開・維持に不可欠であり、経営者と労働者の参加を得て実施されます。

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、インドネシアにおいて昨年8月時点で、既存の約700万人の失業者に加え、およそ2,900万人もの労働者に影響を及ぼしました。260万人の労働者が職を失い、2,400万人の労働者の労働時間と賃金がカットされました。ワクチン接種の促進は経済回復への期待を持たせるものですが、雇用の回復は景気回復から数年遅れることが知られています。変異株の流行は速やかな景気回復シナリオを脅かします。インドネシアにおける最近の新規感染者数の増加は、新型コロナウイルス感染症の収束にはまだ時間を要することを示唆しています。インドネシアにおける職場の安全性強化を支援することで、事業の閉鎖や雇用喪失を防ぐことができます。経営者と労働者が協力して、速やかに行動することが求められます。

この共同プロジェクトを通じて、企業に対して労働者の安全を最優先するよう指導します。そうすることが企業活動の維持につながるのです。"

インドネシア労働省ハイヤニ・ルモンダン労働基準監督・安全衛生総局長

 同国労働省のハイヤニ・ルモンダン労働基準監督・安全衛生総局長は、パンデミックが続く中でビジネスと労働者双方のために職場の安全性を確保することは重要だとした上で、「この共同プロジェクトを通じて、企業に対して労働者の安全を最優先するよう指導します。そうすることが企業活動の維持につながるのです。また、労働省は、経営者と労働者に対して、コロナ対策に留まらず、労働のあるゆる側面で安全衛生上の措置を強化するよう促します」と述べました。

日本政府の任意資金拠出を受けてILOの「職場における新型コロナウイルス感染症拡大防止措置の強化プロジェクト」が発進

 2022年3月末までのプロジェクト期間中、インドネシア経営者連盟(Apindo)および労働組合連盟もプロジェクトに協力します。労働基準監督官、労働安全衛生担当者、企業および労働者が新型コロナウイルス感染症への対応のみならず、労働安全衛生の課題に効果的に対処できるよう、能力強化に取り組みます。職場での健康と衛生を重視する文化の向上が企業活動の継続を支え、経済の回復を促進し、インドネシアが持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け前進する契機となります。

このプロジェクトは、インドネシアが関係者の努力によって、この危機を乗り越えることを支援するものと確信しています。"

宮本三知子ILOジャカルタ事務所長

 この新たなプロジェクトは、産業医団体(IDKI)と協力し、1,500の職場における感染症の対策強化を支援します。実施するリスク評価の結果に基づき、産業医が企業に対し、感染症対策を強化するために必要な措置について助言します。「このような危機的な状況において、我々の専門知識を労働者と企業を支援するために提供する用意があります。適切な対策を講じることで、感染拡大のリスクを低減し、職場における労働者の安全を確保することができます」と同団体会長のエディー医師は述べました。

 労働安全衛生はILOのディーセントワーク・アジェンダの主要な要素です。ILOは世界で労働安全衛生に関する知見を深めており、40を超える国際基準および行動原則を採択しています。宮本三知子ILOジャカルタ事務所長は、インドネシアの労働安全衛生分野におけるパンデミック対応へのコミットメントを評価した上で、「我々は皆、コロナ禍が終焉するまで労働者と企業を守るという共通の目標に取り組んでいます。このプロジェクトを通じ、政府・労働者・使用者と労働安全衛生の専門家が力を合わせます。このプロジェクトは、インドネシアが関係者の努力によって、この危機を乗り越えることを支援するものと確信しています」と述べました。

日本国政府は、ILOと共にこのプロジェクトを通じて、インドネシアが新型コロナウイルス感染症対策を強化し、また、将来の危機に備えることを支援します。"

金杉憲治在インドネシア日本国大使

 金杉憲治在インドネシア日本国大使は、日本国政府はインドネシアの長年のパートナーであることを強調した上で、「感染拡大が続く中で、働く人々の安全と企業活動の継続は、雇用の維持と経済回復への鍵となります。日本国政府は、ILOと共にこのプロジェクトを通じて、インドネシアが新型コロナウイルス感染症対策を強化し、また、将来の危機に備えることを支援します」と述べました。

お問い合わせ先:

ILOジャカルタ事務所
Gita Lingga | ILO Communications Officer(広報官) | TEL:+62 815 8845 833 | E-mail: gita@ilo.org

 

在インドネシア日本国大使館
ご連絡先:+62-21-3192-4308

 以上はジャカルタ発英文記者発表の日本語訳です。