第109回ILO総会

第109回ILO総会第1部閉幕:新型コロナウイルスと社会的保護などを中心に議論

記者発表 | 2021/06/19
第109回ILO総会第1部のまとめ(英語・2分5秒)
 6月に開かれた第109回ILO総会第1部が閉幕しました。バーチャル形式で開かれた総会には181ILO加盟国の政府、使用者、労働者を代表する4,500人の参加者がありました。総会は「新型コロナウイルスの世界的大流行からの人間を中心に据えた回復に向けた行動に対するグローバルな呼びかけ」を採択しました。
 「ILO総会はグローバルな労働議会です」(総会議長 モロッコのオマール・ズニベール大使)
 「今日ここで見られる目的の統一は、巨大な一連の課題に楽観的な光をもたらすものです」(シャラン・バロウ国際労働組合総連合(ITUC)書記長)
 「私たちは将来のために全ての人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に向けた課題にもっと真剣に取り組む必要があります。私たちはビジネスとしてそれを公約しています」ロベルト・スアレス・サントス国際使用者連盟(IOE)事務局長
 「人間を中心に据えた回復を通じて初めて人間を中心に据えた経済を築くことができます」(文在寅韓国大統領)
 「我々は労働者に力を付与し、賃上げを行い、組合の権利のために立ち上がり、全ての人を巻き込んだ経済を構築することによってそれを行います」(ジョセフ・R・バイデン米国大統領)
 「より多くのより良い社会的保護への投資を支持する論拠が、ILOの任務とリーダーシップを再確認するのにこれほど説得力を持ったことはありませんでした」(総会社会保障反復討議委員会委員長 カタリーナ・デバンダス・アギラル・コスタリカ政府代表)
 「この達成に向けた、もっと多くの連帯、相互努力が新型コロナウイルスの世界的大流行とその結果に終止符を打つことを可能にすることでしょう」(フェリックス・アントワン・チセケディ・チロンボ・コンゴ民主共和国大統領)
 「私たちはもっと持続可能でもっと包摂的な経済モデルに移行する必要があります」(ルイサ・マリア・アルカルデ・ルハン・メキシコ労働・社会福祉大臣)
 「置き去りにされた方々を忘れ去るという真の危険に私たちは特別の注意を払う必要があります。こういった方々は新型コロナウイルスよりもさらに悪質なウイルス、利己的な無関心というウイルスに攻撃される危険があるのです」(ローマ教皇フランシスコ)
 「コロナ禍は誰も望まなかった問題ですが、私たち皆が学ぶべき教訓となっています」(アントニオ・コスタ・ポルトガル首相)
 「この数週間私たちが行ったことは、この機関をあるべき場所に据え、仕事の世界のこの最も困難な瞬間における挑戦に立ち向かい、私たちにリーダーシップと行動を求める政府、使用者、労働者の期待に添う手立てをこの機関に備えさせることになったと思います」(ガイ・ライダーILO事務局長)

 ILO史上初のバーチャル形式で2021年5月20日に公式に開幕した第109回ILO総会の第1部が2021年6月19日に閉幕しました。187加盟国中181カ国から大臣・副大臣171人、多数のハイレベル労使代表を含む政府、使用者、労働者の代表4,500人近くが参加して開かれた6月の総会では、仕事の世界に対する新型コロナウイルスの影響と人間を中心に据えた包摂的な回復を確保する方法を中心に熱心な議論が繰り広げられました。

 本会議では、事務局長から提出された『新型コロナウイルスの時代における仕事』などの報告書を巡る審議を行い、持続可能で包摂的な地球規模のコロナ禍対応の達成に向けて2019年のILO総会で採択された「仕事の未来に向けたILO創設100周年記念宣言」が提示する人間中心のアプローチを適用するという同報告書の提案に沿って、経済や社会に長く傷跡が残るのを防ぐために、人間を中心に据えたコロナ禍からの回復戦略を形成する措置の概略を示すグローバルな行動の呼びかけを6月17日に全会一致で採択しました。この「包摂的かつ持続可能で強靱な、新型コロナウイルス危機からの人間を中心に据えた回復のための行動のグローバルな呼びかけ」を通じて、諸国は自国の経済及び社会における危機回復が完全に包摂的かつ持続可能で強靱なものであるよう確保することを約束しています。

 新型コロナウイルス危機への地球規模の対応の必要性とより良い仕事の未来の構築に必要な行動に焦点を当てて6月17~18日に開かれた仕事の世界サミットでは、ローマ教皇フランシスコ台下、文在寅韓国大統領、アントニオ・コスタ・ポルトガル首相、ジョセフ・R・バイデン米国大統領、フェリックス・アントワン・チセケディ・チロンボ・コンゴ民主共和国大統領などの世界の指導者や労使団体代表の演説が行われました。

仕事の世界サミット初日の模様 © M. Crozet / ILO

 最終日に採択された基準適用委員会の報告書には19カ国の条約適用状況に関する結論が含まれていますが、このうち、ベラルーシにおける「1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)」、エルサルバドルにおける「1976年の三者の間の協議(国際労働基準)条約(第144号)」、ジンバブエにおける「1957年の強制労働廃止条約(第105号)」の適用状況については、特に深刻な問題が見られるとして特記されています。委員会は「1964年の雇用政策条約(第122号)」など雇用分野の条約・勧告を対象とした総合調査報告についても検討し、急速に変わりつつある仕事の世界において雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の促進が重要との点で合意に達し、政府は労使団体及び利害関係者と協議の上、国際労働基準に根ざした政策及び事業計画を形成・実施し、モニタリング・見直しを行う必要があることが強調されました。

 社会的保護に関する反復討議では、新型コロナウイルスの影響と仕事の世界で起こりつつある急速な変化に焦点が当てられ、同じく最終日に採択された委員会の結論は、仕事の世界における展開に適応した、普遍的、包括的かつ持続可能で十分な社会的保護制度に向けた緊急行動の枠組みの概略を示しています。この行動には、社会的保護に関する国家政策の強化、財政ギャップの縮小、統治の強化、そして仕事の未来の文脈に沿って危機後に社会的保護制度の適応を図る措置が含まれています。

 最終日にはまた、労働者グループから提出されたミャンマーに関する緊急決議も採択されました。「ミャンマーにおける民主主義の回復と基本権尊重に向けた決議」は、民主主義の回復、文民統治の再確立、恣意的拘束と人権侵害の終結、就労に関わる基本的な権利と原則の回復を呼びかけています。そして、ILO理事会に対し、ミャンマーの情勢を監視し、決議の実行をフォローアップすることを求めています。

 最終日にはさらに、実質ゼロ成長で予算総額8億5,276万200ドルとなる2022/23年のILOの事業計画・予算が賛成369票、反対ゼロ、棄権6票で採択されました(日本も政労使共に賛成)。海事分野を中心とする時代遅れとなった8条約の廃止並びに未発効の10条約及び11勧告の撤回についてもいずれも賛成多数で承認されました。

 2021~24年の理事選挙も行われ、松井博志使用者側正理事と郷野晶子労働者側正理事はいずれも再選を果たしました。

 総会第1部の閉会挨拶でガイ・ライダーILO事務局長は、「過去数週間の成果は、私たちの組織を必要な場所に位置付け、仕事の世界のこの最も困難な瞬間の課題に立ち向かうよう装備させることになりました。これはいかに多くの政府、労働者、使用者がリーダーシップと行動を求めて私たちを見ているかを表すものです」と語って、この組織の機関としての存続、事業の継続を保証したこの注目すべき総会で得られた結果に満足の意を表明しました。

 2021年11月25日~12月11日に開かれる総会第2部では、不平等と仕事の世界技能と生涯学習の二つの一般討議が行われます。


 以上はジュネーブ発英文記者発表の抄訳です。